今この時期に「白い暴動」が公開されているという奇跡に考えさせられる“文化”の役割【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

こんにちは、黒田勇樹です。

令和反戦楽団アウトブレイク公演vol.1「おとぎヴェなし」の稽古が始まったんですが、みんなの熱量の大きさに驚いています。

自粛期間中に溜め込まれたものがこれから一気に噴き出されることになるのでしょう。演劇はこれからどんどん面白いものができてきそうです。いや、演劇に限らずか。

で、公演なんすが、ぼちぼち完売の回が出てきています。今回は三密を避けるために席を減らしたりしており、当日券を出せない可能性もありますので、興味のある方はぜひお早めに。

今週は鑑賞気です。
黒田勇樹
 1970年代にイギリスで起こった人権運動「ロック・アゲインスト・レイシズム」を関係者たちが振り返るドキュメンタリー映画なんですが、今まさにアメリカを揺るがしている“人種差別と闘うデモ”の、お話です。

 何に驚くって、この映画、公開されたのが今年の4/3なんですよ。で、今起こっているデモの発端となった事件が5/25、今も2週間近く抗議の活動は続いています。

 50年!50年も僕たちはこんなことを続けているのかと!

 一応言っておきますが、僕は政治的な主義主張はありません。いや、あるんですが、それは政治じゃなくて人間という生き物の心の問題だと思っているので、政治は皆さんにお任せして、それを扱う人たちに“笑顔”とか“感動”を届ける役割に心血を注ぐと決めた感じなんですが、「歴史」を見るときに、文化と政治って切り離せない側面があるんですよね。

 なぜなら“文化”とは、読んで字のごとく“文、つまり言葉にする”ことなんです。
江戸時代にはそれが正義だった「かたき討ちはいけない」と、法律に“文章で書かれた”ときに、僕たちは、平和に向かってまた1歩あゆみを進めたワケです。

 そして、まだ、いや、永遠に法律には載せられないかもしれない僕らの心や人生の問題が、歌詞や音符という文字で音楽になり、演劇の戯曲になり“言葉として未来永劫語り継がれる”からこそ、僕らのやっていることが“文化”と呼んでもらえているんだと思うんですね。

 70年代のデモの発端になったのは、第2次世界大戦後に労働力不足になったイギリスが移民を積極的に受け入れたからだそうです。
WW2と言えば、日本も参加していて、紐解いていけば明治維新、戦国時代、果ては日本神話まで、僕は色々な文化を通して歴史を観てきて、今回もまたひとつ、知らなかった歴史の穴がスっと埋まった気がしました。

 そこを議論されちゃうと今回の本題から逸れてしまうので「良い」「悪い」は、言いません。
是非、皆さんにこの映画を観て「今何が起こっているのか」「過去に何があったのか」、そういうことを知って、考えて、これからを生きていって欲しいです。

 画面もめちゃめちゃポップで見やすかったからさ。おススメです。
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
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