2時間ずっと“愛”しか映っていない傑作映画「浅田家!」【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.10『ウィルス・ブルース』の稽古が始まりました。

 普段よりちょっと台本に難航しました。いろいろやりたいことがあって、書いても書いてもなかなか終わらないという生みの苦しみがありましたが、その分、納得のできるものに仕上がりました。

 ご期待ください。そしてちょっとでも興味が沸かれましたら、ぜひお越しください。

 それでは始めましょう。今週も鑑賞記やります。
黒田勇樹
 二宮和也さんが主演する実在の写真家「浅田政志」さんと、そのご家族の実話をもとに構成された映画「浅田家!」を、観てきました。

 先に、ひとつ。物語後半に「3.11」の描写があります。そろそろ10年経つとはいえ「ちょっとまだしんどい」人もいるとおもうので、それだけご注意を。覚悟していけば内容は全編とても素晴らしいので大丈夫です。僕は、前知識なしでフラっと行ってしまったので、ちょっとビックリしてしまいました。

 さて、映画本編の感想ですが…素晴らしかった!

 2時間ずっと“愛”しか映ってない!

 単純に、構造として「悪いヤツ」が出て来たり、「嫌な思い」をしたりを“主人公”にさせないで「ドラマ」を成り立たせるって、とっても難しいんですよ。

 勿論、世間体だったり、挫折だったり、3.11だったり…主人公の人生にとって“障害”となるものは、沢山登場するんですが、大抵の映画はここで

「主人公に共感している観客は、自分もヤな思いをする」という、過程を経てラストに向かうのに、それが一切ない。

 モデルになったご本人の性質なのか、映画の描写なのかはわかりませんが、ずっと“愛”!!!

 前半のコメディっぽい作風から後半のシリアスまで、切なかったり、悲しかったりはするんですが、全然「ツラく」ない!

 ディズニーファンのクセに「そろそろ“悪役”の出ない映画、作ってくんねぇかな!」と、憤っている筆者は、開始直後から、涙が止まりませんでした。

「映画、かくあるべき!」という素晴らしい、人間賛歌。

 写真家さんを題材としているだけあってか「良いセリフを言うシーンの画が全部良い」のも、凄く良い。

 これ、意外と難しいことなんですよ。

 画というのは、半分景色で、半分人間の関係性、つまり位置や距離感なので「なぜその場所でその話をするのか」って、ことに整合性を見つけないと「寒い」んですよね。

 自分も、そこそこに周囲に迷惑をかけながら暮らしている“不良クリエイター”なので、必要以上に感動してしまった気もしますが…そんなこと気にせず、誰が見ても楽しめる超超超大傑作でした!
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23

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