インド映画「ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画」にみるインド映画事情!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 緊急事態宣言で家にいることが多いことから、自然とネットを見ることが増えてきます。

 よく分からない情報がたくさんなんですが、たまに“これはっ”と思わされる情報もあって、全く油断ができません。脚本を書かないといけないのは分かっているんですが…。

 まあ、それはそれということで、今週も始めましょう。鑑賞記です。
黒田勇樹
 さて、今回はインドで起こった実話を基に作られた映画「ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画」を観てきました。

 ストーリーは月面を目指したロケット打ち上げに失敗した宇宙開発チームが「火星探査」という“上手くいかなくて当たり前”という閑職に回され、そこから火星にロケット打ち上げるまでのストーリーという感じ。

 雰囲気は「アポロ13」「アルマゲドン」「オデッセイ」なんかを「シンゴジラ」みたいなチームがやっていると思って頂ければわかりやすいと思います。

 違いがあるとすれば、例に挙げた作品は大体、宇宙に出てからが本筋ですが、この作品は「宇宙に行くまで」がメインというところ。


 今やボンベイを中心にし、ハリウッドをモジった“ボリウッド映画”として有名になったインド映画。製作本数や観客動員数も世界トップクラスの映画文化圏。

 日本で注目され始めたのは「ムトゥ 踊るマハラジャ」ぐらいからでしょうか?その後にウッチャンナンチャンのナンちゃんが「ナトゥ~」みたいなパロディ映画を作って大きく世間に認知されたと記憶しています。

 僕はそれ以前から、深夜の映画番組などで観て「次はインド映画が来る!」とずっと言っていたのですが、何の記録もなく、証明してくれるのが母だけなのでここで言及するのは止めておきますが…

 まずインド映画のイメージと言えば「突然踊る」だと思います。これって“宗教的にラブシーンが描写できないから”とか“言語が多いから視覚や聴覚に訴えるシーンを増やした方がウケる”など、インドならではの事情が色々絡み合っているのですが、今作でも勿論あるダンスシーン。

「アップデートしたな!」と素直に感心しました。


 印象に残っているのは2ヶ所。父母が夜遊びする娘を連れ帰る為にクラブへ行って踊り狂う場面と、仕事場の掃除をする為に女性たちがホウキを持って踊るシーン。


“宗教的な都合で生まれたダンスシーン”がウリになっていたインド映画で「宗教の都合とか関係ないけど踊るよ」と、“強み”を抽出しつつ、ストーリーの邪魔せず観客の期待に応える。

 この感動、伝わるかな!?呪いがひとつ解かれた感じ。


 CGも若干アニメっぽいものの、それが逆に「下手なCG」を見せられるより没入出来て、日々進歩するインド映画を全身で感じることが出来ました。やっぱ本数だよね!


“神と科学の関係”について、言及されたのも「インドの科学モノ」として、凄く良かった。
こういう映画が各国で作られていくことで、文化が混じり合い国境や差別が無くなっていくんじゃないかと…大袈裟な空想をしてしまう傑作でした。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
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