井上芳雄「僕の王子役の集大成」最新主演舞台『首切り王子と愚かな女』が開幕


 休憩を除き、約145分の舞台。斬首、呪い、秘められた関係など、作品を紹介するには重い言葉が連なるが、モノローグや動き、表情などで笑いもある。ただ、何よりも、観客は劇場に足を踏み入れた瞬間に驚くことになる。シンプルなセットを、アクリルで区切られた小さなスペースがコの字型にステージを囲み、一つひとつのスペースにはキャストが陣取る。舞台に登場しない時には、そこで水を飲んだり、メイクを直したり、ストレッチをしたりしている姿が見える。

 蓬莱は「ファンタジーを見に来た人にとって、こういうセットから始まるというのは少し衝撃的かもしれません。演劇の想像力の豊かさをそのまま舞台に上げたいと思うとき、一番いいのは稽古場を再現することなんです。稽古場からスタートし、このシンプルなセットがどんなふうにファンタジーに見えていくか演出をしたい。帝国劇場ではありえません。役者が稽古場を見ているという状態で始まり、出たり入ったりします。オンになっていく役者の姿も同時に見られる芝居です。こうやって演劇が作られていくんだとファンタジーごっこを豊かに楽しんで、見てくれる人にもそう見えてきたらいいなと言う仕掛けをしています」

 キャストは上演時間の5分前から舞台上で準備をすることになっているそう。若村は、それを事前に来場者に伝えることで「ちゃんと時間通りにきているのに、あの人遅れてきたって思われないようにしてほしい」。