日本映画の未来を照らす熱き炎!本格時代映画『燃えよ剣』!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 最近「書けない、書けない」って言ってましたが、脚本と演出を担当する新作公演『ラフ・レターズ』の情報が解禁されました。11月に、もうすぐなくなってしまうd-倉庫で公演を行います。

 8月に予定していた公演が新型コロナの影響で中止になってしまったのですが、その時と同じヴァカーエンターテインメントさんと改めてお仕事ができて、良かったです。

 ほっこり笑えるコメディになってますので、ご興味のある方はぜひ!

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

「そろそろ“本当の戦争映画”は撮れなくなる」と、言われて久しいこの頃。

 理由は“予算”と“実体験をした人がいなくなってしまった”

 様々な原因で、そのジャンルを作る数が減ってしまうと、技術や手法が失われていってしまうのです。

“時代劇”と、言われるものも同じ危機に立たされていて、目に映るのは、名作の再放送か、漫画原作の“ファンタジーアクション”をワイヤーやCGで見せていくようなものばかりになっている印象。

 そこに幕末とはいえ剣で戦う男たちの、この骨太な作品が現れたのが本当に嬉しかった!

 結構キャストに“アイドル”や“芸人”と、分類される人選が多かったのに、全員が浮くことなく、むしろ「あちこちから集まった新選組感」を醸し出していて、殺陣も誰一人見劣りすることなく、観ていてめちゃめちゃ気持ちよかったです。

 僕は「映画は2時間まで。それを超える場合は相応の付加価値がなければいけない」と、思っているんですね。

 たとえば『ボヘミアンラプソディ』が2時間20分なんですが、この“20分”は、あのラストシーンの“伝説の20分”と言われる“ライブエイド”の完全再現。

 今作は2時間40分ぐらいあるんですが“アクション”が、その40分を存分に埋めてくれていました。

 ストーリーパートは「土方の人生」で進み、それだけで大満足なのに、そこに挟まれる「池田谷」「鳥羽伏見」という、新選組の代表的な戦いを中心に、ちょうど全体の40分ぐらいがアクションシーン。

 なんつーんすかね、大勢を一人がぶった斬る“伝統的な時代劇的な王道の殺陣”と“現代的なテンポよく軽快なアクション”が見事に融合されていて、本当に“アッ”と、いう間に時間が過ぎていきました。

 そしてそれがきちんとメインストーリーの「土方の人生を彩る」!!

 映画なんかさ、料金固定なんだから2時間ぐらいの作っときゃスケジュールも予算も抑えられたはずなのに…偉いよ!

 確か、何度か社会的情勢の影響を受け延期になっていたこの作品ですが、世に出てきてくれて本当に良かった!

 主演の岡田准一さん、近藤役の鈴木亮平さん、芹沢鴨の伊藤英明さん、20年後ぐらいに“ミフネ”とか“カツシン”みたいな存在になっている可能性すら感じました。

 タイトルに「燃えよ」が、入っている影響もある気がしますが「時代劇の火はまだ消えてねぇな」と思える傑作でした。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23