黒田勇樹「ネットでは議長がいない会議が延々と繰り広げられている。9割がよしと言うことをやろうと思ったら平和で無難なものしか作れない」〈インタビュー後編〉

(撮影・堀田真央人)

「創作のストレスはない。小劇場をやめられないのはそこ」

 黒田さんは演劇という好き勝手にできる部分を確保しているから、表現者としての心の平静を保っているところはある?
「そうですね。創作のストレスはないです。小劇場をやめられないのはそこにあるんだろうなとは思います」

 2020年からのコロナ禍の中でも演劇は続けてきました。
「演劇については、コロナ以降、中止にしやすい空気ができてしまったのが作っている側としては…。特に助成金が出ている頃は、制作側は早くやめればやめるほどコストを抑えられるという面もありまして、いつ中止になるかも分からないものを一生懸命作っているのはすげえしんどかったです」

 コロナによるやむを得ない中止ですから助成金は返さなくてもいいんですね。
「命がけで作っていて、ラストシーンまでできて“やったー”というところで、“出演者もしくは関係者から発熱した人が出ました。中止です”と言われる。僕は下請けなので“どうにかやる方法を考えませんか?”とも言えない。これが一番しんどかったですね。

 僕の中ではコロナは3期あって。何が起こるか分からない期と、いつでも中止にしてもいい期と、今の“もう大丈夫なんじゃね?”と言っている人たちへの不安期。この間まですごく気にしてたのに、全然気にしなくなっちゃったじゃないですか。“何の根拠が? あなたは医学とか科学を勉強した人なんですか?”って。気をつけられるところは気をつけ続けたほうがいいんじゃないですか、みたいなところはありますよね」

 そういう人たちの不安はコロナにかかることではなく、コロナにかかることで誰かに何かを言われることなんですよね。
「そうです。いろんな人がいます。このコロナの3期、僕はずっとストレスでした」

 かつて、寺山修司さんなどは演劇において、差別的なものをアンチテーゼといった形であえて取り上げていたようにも思います。黒田さんは?
「確固たるやる意味があるときにしか扱わないです。この人が片腕がなくてとか目が見えなくて、それで心無い人たちに心無い言われ方をしていた時代があったことがストーリーに必要だったらですね。一時期、刺激を求めるためだけに、そういう過激な言葉を使うモノがあったから、それとは区別しなければいけないと思っています。確固たるテーマに即したもの。それを作りたいのなら、それを作って批判を受ければいい。なんか“俺ってこういう言葉も使っちゃうぜ、かっこいいだろう”って奴いませんでした? ああいう奴らのせいで、そうじゃない人たちも言うようになったように思うんです」

 こういった規制を叫ぶ声の中には子供に対する影響を挙げるケースもあります。子供を持つ身としては?
「まだ2歳なんですが、単語くらいではコミュニケーションが取れるようになってきた感じで、いやいや期もそろそろ始まりそうです」

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