小池百合子東京都知事インタビュー「『未来の東京』戦略」はバージョンアップだけでなくゲームチェンジするくらいの勢いが必要

 年頭の記者会見で岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」に言及するなど、改めて少子化対策や子育て政策に注目が集まっている。 6月13日には政府が「こども未来戦略方針」を決定するも、年3兆円台半ばに上る財源の具体策は示されていない。そんな中、いち早く1月に「『未来の東京』戦略 version up 2023」を策定し、少子化対策を強力に推進することを表明した東京都の小池百合子知事に話を聞いた。(聞き手・一木広治)

小池百合子東京都知事(撮影・堀田真央人)

 まずは「『未来の東京』戦略 version up 2023」のポイントについて教えてください。

「世界は変化が激しく、国際情勢もかつてないような複雑な構造になっています。気候変動もここにきて、異常気象の“異常”という言葉が普通になりつつあります。一方、日本の昨年の出生数は80万人を下回りました。コロナの影響もあると思いますが、いま、日本全体の人口が加速度的に減少しています。これまでの取り組みをただ進めるだけでは事態は好転しません。一度リセットして、新たなイノベーションでゲームチェンジをする必要があります。

 東京都知事として、これまでもいつも『人』中心の政策を考えてきました。第7代の東京市長に後藤新平という有名な方がおられます。東京駅から皇居に続く行幸通りという素敵な通りがありますね。関東大震災後の復興ビジョンを策定する中で、後藤新平が行幸通りをはじめとする東京の主な幹線道路を描き上げたのです。こうしたハードの面、街づくりで有名な後藤新平ですが、実は一番力を入れていたのは人づくりなんですね。今回、東京の未来を描くにあたっても、何よりも人が大事だと考えました。『人』が伸びる、『人』が育つ、『人』が生まれる、そういう東京を目指します。

 もちろん経済を伸ばしていかないといけない。やはりこれも人がなせる業ですから、スタートアップをできるだけ東京から生み育てて、そして世界に輩出したいと思っています。そのキーコンセプトが『SusHi Tech Tokyo=スシテック東京』。サステナブル(Sustainable)とハイテク(Hi-Tech)を重ねると、SusHi(スシ)なんですね(笑)。スタートアップについても世界中が競い合っている中で、このSusHi Techは非常に訴求力があって、外国の方も一発で覚えてくれます。今年2月にはSusHi Tech Tokyoの国際イベントを東京で開催しました。来年あたりには、アジア一のスタートアップイベントにさせる、そういう思いでやっています。世界中から人と投資を呼び込んで、都市間競争を勝ち抜いていきたいと思っています。

 そして、安全・安心でサステナブルな東京づくりという点では、先ほど申し上げた後藤新平が活躍したのも関東大震災直後の帝都復興院総裁としての業績なんですね。コロナ後の東京でも、かつての日常を取り戻すだけでなく、サステナブル・リカバリー(持続可能な回復)を成し遂げる。再エネ利用の拡大など施策を総動員し、脱炭素社会を築いていきます。

 コロナ禍では働き方もいろいろと変わりました。そういった中での『「未来の東京」戦略』は、バージョンアップはもちろん、バージョンを上げるだけではなく、ゲームチェンジを行うくらいの勢いが必要だと思っております」

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