自転車・トラック競技 今村駿介、兒島直樹ペア 『執念の金メダル』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:西村尚己(2023年9月29日 杭州アジア大会)
中国・杭州で開催されたアジア競技大会(2023年9月23日~10月8日)。
40競技481種目もの競技が行われ、数多くの感動シーンが生まれた。
私が撮影したのは日本人アスリートを中心に14競技44種目。
感動したシーンを一つ挙げるとすれば、自転車トラック競技の男子マディソン決勝で金メダルを獲得した今村駿介、兒島直樹ペアが思い浮かぶ。
 
男子マディソンとは、二人一組のペアで自由に交代しながら50km(1周250mのトラックを200周)を
走行する自転車レースだ。
選手交代では、二人が高速で並走しながら、繋いだ手を支点に、前走が加速をつけて次走を送り出す。
 
11組で争われた男子マディソン決勝。
レース序盤、残り190周でアクシデントが発生。
今村、兒島ペアが選手交代時に転倒、落車したのだ。
レース集団から大きく離された二人。
裂けたユニフォームと露出した擦り傷が痛々しい。
しかし、絶対に諦めないという二人の強い気魄が勝負を動かした。
痛みをこらえ、死力を尽くした猛追劇。
そして迎えたラスト1周。
ついに先頭を走る韓国ペアを捉えた。
“執念の金メダル”獲得。
劇的な幕切れであった。
 
その3日後、日本に帰国した今村選手は自身のインスタグラムでこう報告した。
“やはり折れていました 鎖骨が、4つに”
 
 
■カメラマンプロフィール
撮影:西村尚己
 
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも
どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
 
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
 
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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