今夏の参院選を前に超重要な東京都議会議員選挙が 6月22日に投開票

2021年の東京都議選の風景(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 アメリカのトランプ大統領の関税政策、未曽有の物価高など現在、日本の政治は内憂外患ともいえる状況にある。そんな時こそ強いリーダーシップを持った政権による迅速な政策決定が望まれるのだが、今の日本はそういう状況にはない。

 長く盤石な体制を保ってきた自公政権だったが、2023年の年末に噴き出した自民党の安倍派の議員を中心とする裏金問題によって国民の不信感が高まり、支持率は一気に低下。岸田首相が辞任し、自民党は総裁選挙で国民人気が高い石破茂元幹事長を総裁に担ぎ上げ、裏金問題が未解決のまま、昨年秋に衆議院の解散総選挙に打って出るが、選挙前の247議席を191議席に減らす大惨敗で政権は「少数与党」に。これまで安倍一強時代は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認するといった重要事項まで「閣議決定」で決めるという横暴がまかり通っており、その点においては「議会で議論される」という当たり前の状況が日本の国会に戻ってきたのは喜ばしいことなのだが、予算・法案の国会通過のために国民民主党や日本維新の会といった野党と取り引きを行わねばならず、スピード感やダイナミックな政権の運営という面ではやや難のある状況になっている。

 そんな中、今年7月には参議院議員選挙が行われる。現在、参議院の勢力図は総定数248のうち、与党の自公は140で過半数を確保しているのだが、今回の非改選議席は75。自民党の森山裕幹事長は年初に勝敗ラインを「与党で過半数死守」と設定しており、過半数を確保するためには50議席の獲得が必要になる。

 昨秋の衆院選では国民民主党ら野党が躍進。というより自民党が自滅。公明党も道連れとなり、合わせて64議席も減らし、過半数の233に18足りない215議席にとどまった。しかし野党間の調整が上手くいかず、自公は政権の座に居座ることになったという経緯がある。今回の参院選で「与党で過半数死守」という低めに設定した勝敗ラインを割るようだと、自公+維新、国民民主といった新たな枠組みでの連立や野党による連立政権という流れになるのは確実で日本の政治はより一層混迷することになる。どちらを選ぶにしても有権者にとっては熟慮が必要な選挙になりそうだ。

 この参院選に先駆け、東京では6月22日に都議会議員選挙が行われる。参院選まで約1カ月という短期間しかないことから、この選挙の結果が参院選に直結すると言っても過言ではない。自民党は国会議員の裏金問題が都議にも飛び火。政治資金収支報告書の不記載問題で今も都議会で追及を受けているような状態。都議会自民党は幹事長経験者6人を非公認とするなど、それなりに手は打っているのだが、都議会公明党の推薦を得られるかも不透明で苦戦は必至。これまでの過去最低議席だった2017年の23を割るのではという予想も出ている。

 都民にはそういったところも踏まえての投票行動が求められよう。