龍聖の生きる上でのモットー「いい時こそ、おごらず小さな感謝を忘れずにコツコツやる」「心の綺麗な人になる」「人を許す心を持つ」

【格闘家プロファイリング】第2回 言葉

 格闘家は何を考え日々過ごしているのか? 記者会見や試合だけでは分からない格闘家の内面を探るインタビュー企画「格闘家プロファイリング」。今回はKNOCK OUTのビッグマッチ「THE KNOCK OUT」(6月22日、東京・国立代々木競技場 第二体育館)に出場する龍聖(BRAID)。1回目は「こだわりor好きなもの。これだけは譲れないものや事」を聞いたのだが、2回目は「教訓とする言葉or生きる上でのモットー」について。(全5回/第2回)

※取材協力「BRAID」(HP: https://braid-gym.com/

教訓とする言葉や生きる上でのモットーを教えてくれた龍聖(撮影・蔦野裕)

 教訓とする言葉や生きる上でのモットーなどはありますか?
「三つあって、一つは自分で気づいたことでもう二つは人に教わったことなんですが。まずひとつ目は自分が波に乗ってる時やいい時こそ、おごらず小さな感謝を忘れずにコツコツやっていくということ。これは僕の中で一つの目標です。そのほうが人生上手くいくというか。もう一つは選手として強くなることはもちろんなんですが、心の綺麗な人になること。僕が当時まだ18歳とか19歳の頃、何かの会見だったかインタビューでいわゆる“口撃”をたくさんしていた時に、自分の先生であるノップさん(トレーナーのシン・ノッパデッソーン氏)が“自分の生徒がすごい強い選手だね、ナンバーワンだねと言われるのはすごくうれしいことだけど、それ以上に心が綺麗な人だねと言われることが先生としては一番うれしいことだ”っていうことを言っていたんですよ。それが僕にはすごく響いた。自分の人生の中で響いた言葉のランキングに入っています」

 確かにある時期から会見での言葉が変わった気がします。
「大人になったということもあると思います(笑)。後悔しているとまではいかないですけど、良くないことを俺はしていたなって思ったんですよ。それは直接言われたわけではなくて、ノップさんの本か何かで読んだんです。当時はK-1が一人勝ちの時代だったじゃないですか。TRY HARD GYMはK-1には出られなかったので、どうにかして目立ちたいみたいな、自分で頭を使ってやってるつもりではいたんですけどね。まあ後悔は全くしてないです。ですけど、まあそれからいろいろなことを学んだなって思います。三つ目はモットーではなく“自分はこうなりたいな”と思っていることなんですが、人を許す心を持つこと。人を許せる人が僕は一番強い人だと思うし、どんなものより、その心を持つことを教えてもらったというか」

 それもノップさんに?
「そうです。僕が悪いんですけど、ノップさんとは一度仲たがいというか、そういうことになったことがあって。ずっと気まずくて謝りたいなという気持ちを持っていたんですが、僕はその気持ちを1年以上寝かせていたんです。謝りたいなという気持ちを持ちながらも、拒絶されるのがすごく嫌だったんですよ。“龍聖、来ないで。会いたくないし話したくない”って言われるのがすごく嫌で。そんなこと言われたら終わりじゃないですか。それが怖くて嫌で、ずっと勇気が出なくて行けなかったんですよ。でもいざ行ったら“自分は何とも思ってないし、ずっと待ってたよ”って言ってくれた。僕が本当に先生にしちゃいけないことをしたのに、その過ちを後悔して反省したことによって、そんな自分を許してくれた。で、当時の僕が後輩とかに同じことをされて、その人が謝りに来たとして許せたかといえば、ちょっと分からない。もちろん人を殺されたりといった許せないこともあると思うんですけど、そういう人を許せる心を持っている人が一番強い人だなってその時に思ったんです。だから、僕はそういう人でありたいなって思います」

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