配信希望!SSFFのクロージングで上映された『Voice Activated 音声認識中』が、凄かった!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 今週も絶賛台本執筆中です。プラス雑務もこなしています。楽しくて仕方がありません。いや、本当です。

 そして昨年12月に上映された映画「もしも僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。(おしまい)」がU-NEXTとかAmazonで配信されているようですので、ご覧になっていただけるとうれしいです。

 では今週も始めましょう。

『Voice Activated 音声認識中』

 話題沸騰のSSFF & ASIA 2025のクロージングに参加してきたのですが、そこで上映されたオーストラリアのショートフィルム『Voice Activated 音声認識中』が、本当に面白かった。

 あらすじは、吃音症のある生花店の店員が配達中に、カーナビの音声操作とのやりとりが上手く行かない様子を、ほぼ車内のワンシチュエーションで、描く物語。

 約12分と、短い作品なのですが、構造が非常に素晴らしくて、後部座席には沢山の花、運転席には吃音の男性、ダッシュボードにはカーナビ。

 自然→人間→人工物が、ひとつの画角の中に収まっているのが「ショートフィルム」ならではの、工夫!
「自然」と、「人工」って、人が関わって生まれたかどうかで分類されるそうで、例えば「林」は、人間が作ったもので人工、「森」は、環境の中で生まれた自然みたいな区別が有って、この作品はひとつの画面の中にその全部が映っているんですよ。

 さらに、人類最大の武器である「言葉」、言葉は動物で言えば角とか爪とかと同じぐらい人間にとって重要な武器なんです。だからおしゃべりの上手い芸人さんが、角の大きい鹿ぐらいモテるわけですよ。

 これが、「言葉という武器」を、上手に使えない吃音の男性が、カーナビという、最新の生き物。鹿に例えたらメカヘラジカに、折れた角で勝とうとする物語なんです。

 でも、いいヤツだから花には霧吹きをかけたり、配達時間を守ろうとしたり、「遅い」ってクレームの電話がかかってきたり、こんな素敵な「世界の全部」みたいなモチーフを12分で、やりきってるんですよ!!

 ね、観たいでしょ? 2023年の出品作で、今年はクロージングイベントでの上映でしたが、常設のオンラインシアターもあるそうなのでぜひ今後配信してもらいたいですね。

※編集部注:『SSFF & ASIA 2025』のオンライングランドシアターでは今年の受賞作などを6月30日まで配信中。他、常設のオンラインシアター「ブリリア ショートショート シアター」(https://sst-online.jp/theater/)ではSSFF & ASIA厳選作品を毎週無料で配信中。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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