永遠にも一瞬にも感じる2時間40分!映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』が、ヤバかった!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
昨今のニュースを見ていて、いろいろと創作意欲がわいている黒田です。
あの業界にはキャラが立ってる人が多くて、勝手にサイドストーリーを作っちゃったりしています。
映画会社か配信でもいいので、誰かオファーください。やる気満々です。
では今週も始めましょう。

そもそも、筆者は「2時間を超える映画」を、許していません。どんなに良い座席でもお尻が痛くなるからです。お尻が痛くならない上質なシートの場合、逆に2時間を超えると眠くなります。映画人は、必ず2時間に作品を収めるべきなのですが、唯一の例外が「付加価値」です。
例を挙げるとすれば「ボヘミアン・ラプソディ」は2時間15分弱の作品なのですが伝説の「ライブ・エイド」の完全再現が、20分。完璧な付加価値です。
今回観たワン・バトル・アフター・アナザーは、2時間40分、ライブ・エイドの倍の付加価値が必要です。「寝ちゃうかな」とか、思いながら席についたのですが、一瞬も目が離せないまま、時間が過ぎていきました。
ストーリーは、人種差別というか民族至上主義というか、そういう物を背景に、家族愛や社会の闇を描いていく、複雑でありながら、ずっと何が起こっているのか理解が置いていかれない秀逸なストーリーでした。
何よりも圧巻だったのが、ロケーション。
30秒に1回は景色が変わり、3分に1回はシチュエーションが変わっていきます。これを2時間40分やり続けるということは、よほどの工夫と、膨大なロケーションハントが必要だったはずです。撮影の方法も、ドローンによる空撮から、あえての手持ちでぶれているような質感のものなど多用です。室内、屋外、都会、田舎、荒野と目まぐるしく変わっていく景色の中で、きちんと家族愛の話が繰り広げられていきます。
「誰が正義で、誰が悪なのか」、群像劇の形を取っているので、それすらも景色の一部のようにどんどんと入れ替わっていき、圧倒されます。
あまり残酷な描写は好きじゃないのですが、悪役というか、悪いことをした人が、それ相応の報いを受ける流れも、とても良かったです。ざっくり割ったら1時間800円。こんなに素敵な時間を経験できるのであれば、今すぐ劇場に行くことをオススメします。