東日本大震災から15年 大事にしたい、福島を知り続けること

自分たちが慣れ親しんでいる教室とはまったく違う教室の様子に言葉も少ない

あの日から時間が止まっている請戸小学校では無口になって


 浪江町立請戸小学校の見学は子どもたちに大きな衝撃をあたえたようだった。

 震災前、浪江町には6つの学校があったが全て津波の被害を受けたという。請戸小もそのひとつで、震災が起きた時には校内には既に帰宅した1年生以外の児童82人が残っていて、「高いところへ逃げよう!」と避難場所に指定されている大平山(標高40メートル)まで逃げて、児童も教員も全員が無事だった。

津波が到達した高さに驚いて……

 請戸小は被害を受けた当時の様子を保存している震災遺構だ。見学できるエリアは安全確保のために整備をしてあるものの、教室は全体的に埃っぽく、天井は崩れ落ちて、職員室の分電盤はむき出しだ。印刷室の内部はごちゃごちゃで、校長室にはポツンと金庫が残され、体育館の床はめくれたまま。

 窓はなく冷たい風が吹き抜けていく校舎を周りながら、子どもたちは思い思いの場所でシャッターを切る。「津波はどっちから来たんだろう? 海はあっちだから……?」「周り込んできたのかな?」と身振り手振りを加えながら当時に思いを巡らす。黒板やランドセルを入れるロッカーに、給食室…子どもたちは順路を進むほどに静かになっていた。

 端まで歩き校舎に沿って周ると、15年前に子どもたちが逃げた大平山が見えた。「……ここからあそこまで逃げるのは大変だね」「逃げられる?」という子どもと大人の会話も聞こえてきた。

双葉町「F8」スタジオから、見てきた福島を発信

 

 太陽が傾いて暗くなりはじめてきたころ到着したのは、この日のハイライトとなる「F8」スタジオだ。ジャーナリストの堀潤氏が率いるメディア「8bitNews」と東京大学大学院が組んで、昨年双葉町の産業交流センター「F-BICC」に設立したスタジオで、「8bitNews」をはじめさまざまなメディアが情報発信をしている。

 堀氏と東京大学大学院情報学環准教授の開沼博氏に笑顔で迎えられた子どもたちはチームごとにこの日の1枚を選んでシェア。各チームがそれぞれ写真を選んだ理由を説明し、それに対する堀氏や開沼氏が質問する様子を収録しながら、震災や福島についての理解をより深めた。

 どのような写真を選択するかにはチームごとに個性が出たが、請戸小の写真を選ぶチームが多かったのは、15年前に自分と同じ小学生たちが直面したできごとと今の自分たちの生活と重ね合わせ、東日本大震災を、自分の生まれる前に起きた大きな地震ではなく、自分にも起こりうる自分のこととして考えることができたからだろう。

 開沼氏は子どもたちとやりとりをしながら、大人と子どもの視線の違いに改めて驚かされたよう。請戸小の児童たちが大平山へ逃げた時に、上級生と下級生が手を取り合って逃げたエピソードを紹介すると、子どもたちはかぶりつきで聞いていた。

 収録した番組は「F-BIKEチャンネル」で配信されている。