RIZIN大晦日大会に出場の安藤達也「格闘技をやっていて決めていることがある。噛みつかれて、噛み返せなくなったら終わり」

【格闘家プロファイリング】第3回 将来

 格闘家は何を考え日々過ごしているのか? 記者会見や試合だけでは分からない格闘家の内面を探るインタビュー企画「格闘家プロファイリング」。今回はRIZINの大晦日大会「RIZIN師走の超強者祭り」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ)に出場する安藤達也(フリー)。これまで「こだわりor好きなもの。これだけは譲れないものや事」「教訓とする言葉or生きる上でのモットー」を聞いてきた。今回のテーマは「近い将来と遠い未来」について。(全5回/第3回)

安藤達也、35歳。ベテランの域に差し掛かっているといっても過言ではない

 安藤は大晦日大会では修斗世界フライ級とDEEPフライ級の元王者で、現在はDEEPバンタム級王者の福田龍彌(MIBURO)と対戦する。元修斗世界バンタム級王者の安藤は1990年生まれの35歳、福田は1992年生まれの33歳。ともにプロとしてのキャリアは10年を超え、ベテランの域に差し掛かっていると言っても過言ではない。

 安藤選手は近い将来と遠い未来。自分のキャリアにおいて、どのような展望を描いていますか?
「今回、福田選手と対戦します。もちろん勝つこと、勝ちに行くということが大前提の上での話なんですけど。やっぱり残りの自分たちの時間というのは多分他の選手より少ないと思うし、いつ壊れるか分からない。ですけど、今ここまで来れたということと、ここまで応援してくれた人たちのことを忘れないで、自分がやりたい試合、自分がこだわっている試合ができる限りは全力でそれにベットしようかなって。それをやり切ったり、挑戦するということがしっかりできたら、見てもらった人に何かを伝えられるかなって思うので、それができなくなったりとかしたら…。自分は格闘技をやっていて決めていることがあって。闘犬ってあるじゃないですか。俺は闘犬はあんま好きじゃないんですけど、闘犬って戦って成り立つじゃないですか。ガブッて噛みつかれて、噛み返せなくなったら終わりだなって思っていて、それは結構自分の中でこだわっていますね。“やられちゃう”みたいな瞬間は絶対見せないみたいな。リングの上ではきついのは当たり前なんで。“きついんじゃ?”とか“痛い”みたいなものを見せちゃったら、それは応援してくれてる人に対してちょっと違うかなってなっちゃうので。それだけは自分がやっていく表現の上で絶対にこだわりたいところですかね、格闘技をプロとして見せていくとしたら」

 格闘技を引退した後については全く考えていない?
「俺、結構、福田君の暮らしに憧れてて(笑)。俺は東京生まれ東京育ちで、両親どっちも地元なんですよ。地元の商店街の煙草屋の息子なんで、地元の古い商店街の人とかみんな俺のこと知ってるし。結構田舎に対しての憧れがめちゃめちゃ強かった。ワンパク坊主でずっと外遊びしてる最後の世代ぐらいだったんで、結構、子供の頃から田舎に住むみたいな憧れは強かった。もし自分が引退して、東京を出るってなるんだったら水がきれいなところに住みたいです(笑)」

 ちなみに安藤と対戦する福田は京都の山奥に住み、実生活で狩猟も行う。「やるか、やられるか」の“ヒリヒリ”するファイトを信条とし、試合については対戦相手を「狩りに行く」と語る生粋のハンター。安藤は「怪物」の異名を取り、そのスタイルは常に「野性味あふれる」と形容されるファイター。怪物はハンターに狩られてしまうのか、それとも怪物がハンターを食い殺すのか…。
(第4回に続く)