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ワクチン敗戦:プロジェクト能力の衰退【鈴木寛の「REIWA飛耳長目録」第6回】

2021.06.14 Vol.742

 医療従事者から始まった新型コロナワクチンの大規模接種が、高齢者対象に移って1か月が経過しました。当初おぼつかなかったワクチンの確保も堅調に進みだしたこともあり、5月中旬以後の追い上げペースは加速しました。本稿執筆(6月6日)時点で、医療従事者のうち対象者のすでに99%超が1度目の接種を終え、7割が2度目も打ちました。そして65歳以上のお年寄り約3500万人のうち、2割弱が最初の接種を済ませています。

 とはいえ、世界的にみれば、ご承知のとおり、日本は先進国のなかでは接種が断トツに遅れており、決してほめられたものではありません。米英などの先行した国々が経済再開を本格化。日本はÍ∑まさに「ワクチン敗戦」の様相で、自国で開発したワクチンを新興国に大盤振る舞いしている中国の動きも含めて、我が国の行く末をただ案じるしかない状況には忸怩たるものがあります。

 それにしても、高齢者接種手続きの不備は残念でなりませんでした。私も80代の父と母が対象者。地元の区から指定された日に、インターネットから予約をすることになっていて、私はその日は時間を空けて両親の予約作業を代わりにやるために自宅に待機。4時間かけて接続を試みましたが、ダメでした。仕切り直しで後日、2回目の予約作業にトライし、3時間かかった末になんとか予約することができました。

 私と同じように、ネットができない老親の予約作業を引き受けても、まともに接続すらできずに苦労した人たちが日本国中、何百万人といたはずです。私のケースでいえば、1回目に殺到してシステムが動作しなくなった時点で、区役所は問題がわかっていたはずです。それなのに改善されないとは、役所の担当者も、システム開発を受注したベンダーの側も、想像力が足りないとしか言えません。これはデジタル的な動きというよりも、リアルでアナログな世界で人がどういう動きをするのか想定が甘い。高齢者の一人の予約を、家族総出で行えば、自宅の固定電話や、本人の携帯だけではなく、息子、娘のパソコンやスマホ、あるいは孫のスマホまでも使う世帯がいるでしょうから、アクセスが殺到するのは火を見るよりも明らかです。

 全国各地でもこのような光景が繰り広げられたのを見ていると、かつて役所にいた者としては、日本の行政機構のロジスティック能力がここまで弱体化したのかという衝撃と同時に、利用者の動きを先読みし、前例のない事案でも綿密な段取りを進めていくプロジェクト能力がいかに不足しているか思い知らされた痛恨事でした。

 

ワクチン接種が進むイスラエルではマスクなしでパブでお酒を飲んでいるらしい

2021.05.07 Vol.741

 日本では2月17日から医療従事者を対象に新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まった。しかしその後に予定されていた高齢者へのワクチン接種を、医療従事者が終わらないうちに4月12日から始めるというチグハグな状況となっている。

 4月22日には報道ベンチャーJX通信社の独自の調査結果として全国1741の自治体のうち、約半数で新型コロナウイルスのワクチン接種が年内には終わらないとの見通しを立てていることが分かった。

 一方、海外に目を移すと米国ではバイデン大統領が5月4日の演説で、7月4日の独立記念日までに成人の70%に少なくとも1回の接種を受けさせることと、1億6000万人の接種完了を目標に掲げた。米疾病対策センター(CDC)のガイドラインではワクチン接種を受けた人同士なら屋内でマスクを着用せず、約1.8メートル以上のソーシャルディスタンスも取らずに会うことができるとなっている。

 ワクチン接種で先行する英国やイスラエルでは感染者数が大幅に減少し、街中ではマスクを外し談笑し、パブではお酒を飲む市民の姿も見られるようになった。

 英国は4月に50歳以上への1回目の接種を完了。1月上旬に5万人を超えた1日当たりの感染者数は4月20日には約2500人に減った。1月下旬に1000人以上だった死者数も同日、約30人となった。

 世界最速ペースで接種が進むイスラエルではネタニヤフ首相は4月19日、米製薬大手ファイザー製ワクチン900万回分を追加購入する契約を結んだと発表。人口900万人超のイスラエルは昨年12月に接種を始め、約半数の国民が2回受けた。世界保健機関(WHO)によると、今年1月に1日当たりの感染者数が最大1万人超に上ったが最近は100人未満の日もある。入院者数も激減したもようだ。このため、4月18日には屋外でのマスク着用義務を解除し、学校も全面的に再開した。

 翻って日本の現在のワクチン接種状況はといえば、5月6日の時点で累計接種人数は約279万人で全人口約2.2%に過ぎず、先進国では極端に低い水準となっている。

 4月19日に菅義偉首相がファイザー社のブーラCEOと電話会談し、16歳以上の国民全員分が「9月までに供給されるめどが立ったと考えている」と述べたが、翌日の衆院本会議の質疑で「確約を得たのか?」という質問には明確には答えておらず、ワクチン担当の河野太郎大臣は記者会見で、首相とブーラ氏の協議に基づくファイザー社との契約は完了していないと明かしていた。その後、契約が完了したとしても国内では打ち手不足の問題も横たわっている。

緊急事態宣言を京都、大阪、兵庫ら7府県に拡大。日中の不要不急の外出も「控えて」と訴える

2021.01.13 Vol.Web Original

栃木、福岡の両県も追加

 菅義偉首相は1月13日夜に記者会見を開き、新型コロナウイルス対策となる特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象地域に京都、大阪、兵庫、愛知、岐阜、栃木、福岡の7府県を追加することを発表した。期間は先に宣言が発令された東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県と同じ2月7日まで。

 当初は京都、大阪、兵庫の関西3府県に発令の予定だったが、12日になって愛知と岐阜の両知事が宣言発令を要請、これを受け政府はこの両県に合わせ栃木、福岡の両県も追加することを決めた。

 菅首相は「追加した7府県については新規感染者数、病床の利用率などいわゆる『ステージ4』に相当する指標が多い」などとしたうえで「全国への感染拡大を防ぐために追加した」とその理由を語った。

 感染の拡大予防のための対策として「飲食店の夜8時までの(営業)時間短縮」「テレワークによる出勤者数7割減」「特に夜8時以降の不要不急の外出の自粛」「スポーツ観戦、コンサートなどの入場制限」の4つを挙げた。

「オリンピック、パラリンピックを意識して判断が遅れたということはない」

 今回対象となった地区以外でも感染が拡大している地域については、緊急事態宣言に準じる措置として、飲食店の時間短縮など同じ4つの対策を講じる場合には国として対象地域と同じ支援を行うとした。

 不要不急の外出については夜8時以降ばかりではなく、日中についても「控えてほしい」、昼間の時間帯や夜8時までについてもお酒を飲んで大きな声を出すことや距離を置かずに座ることなどにも「避けてほしい」などと訴えた。

 そして「国と都道府県がしっかり連携することが重要」として、今後、政府と各都府県との連絡会議を新たに設けることも発表した。

 またかねてから疑問視されていた、ビジネス関係者の入国緩和については緊急事態宣言が発令されている間は一時停止することとなった。この方針転換について「東京オリンピック・パラリンピック開催を意識して判断が遅れたのでは?」という疑問について菅首相は「東京オリンピック、パラリンピックを意識して判断が遅れたということはない」と語った。

医療法や感染症法の改正については「検証してから」にとどまる

 病床の転換を進めるための医療法の改正や、新型コロナウイルスを「2類相当」とする感染症法の改正については「検証する必要があるというふうに思っている。そして、そのうえのことだと思っている」と語った。

 現在、新型コロナウイルス感染症は「2類相当」となっていることから、感染した場合は無症状でも入院勧告や隔離、濃厚接触者等にも外出自粛の要請をしなければならない。これが季節性インフルエンザと同じ5類相当となれば、感染者の入院や隔離は不要となり、行政検査や濃厚接触者の追跡もしなくてよくなることから、現在、医療現場で起こっているベッド不足が回避され、保健所の業務の軽減にもつながるとされている。

1月8日から緊急事態宣言発令。飲食店に20時までの営業時間短縮を要請。協力金は1カ月180万円

2021.01.07 Vol.737

スポーツ観戦・コンサートなどは5000人に入場制限

 菅義偉首相は1月7日夕に記者会見を開き、東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県を対象とした緊急事態宣言の発令を決めた。期間は8日から2月7日まで。

 会食での感染リスクが高いとの判断から、今回は第1に飲食店には20時までの営業時間短縮を要請し、酒類提供は19時までとした。そして時間短縮に協力した店には1カ月あたり180万円までの協力金を国が支援する。

 第2には出勤すれば会食や会話の機会が増えるとして、テレワークを推進し、出勤者数の7割減を目指す。

 第3に20時以降の不要不急の外出の自粛。第4にスポーツ観戦・コンサートなどの入場制限については入場者数を厳格化し、一律に入場者数を5000人まで、もしくは収容率50%以下とするよう事業者に求めるとした。

 またこの日、政令も改正したことから、各知事が要請に従わない飲食店の店名を公表することも可能となった。

 今回、飲食店への対策を重点的に行ったことについては会見に同席した新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は東京で6割を占める経路不明の感染の原因について、東京における「匿名性」から追えていないだけで、地方での感染は食事が原因であるものが多いことから、東京の経路不明の6割の中にも会食が原因であるものが多数あるとした。そして会食での感染が家庭内等の感染につながっているとし、そのおおもとである飲食店での会食を制限することになったと説明した。

流行語・新語・トレンド・サービス キーワードで振り返ってみたけど…「結局は、新型コロナか」

2020.12.31 Vol.736

 師走の声が聞こえるとともに目につくようになるのが「今年の〇○」。有名どころといえば、『ユーキャン 新語・流行語大賞』で、2020年の大賞は、大方の予想通り、「3密」で決まった。新型コロナウイルスの影響そのままの結果だが、受賞・ノミネートされたワードを見てみると、一見そうとは思えなくても「結局は、コロナか」と思わされるものばかりだ。

 例えば同じ『ユーキャン 新語・流行語大賞』でトップテンに入った『愛の不時着』や『あつ森』、もしかしたら『鬼滅の刃』。それぞれ素晴らしい作品でありゲームであることには間違いないが、それに気づけたのは、おうち時間が増えて、多くの家庭でNetflixなどに加入したからというのも大きい。『ソロキャンプ』も近年注目度が上昇していたが、さらに広くに知らしめたのは、コロナ禍でキャンプ場がにぎわったことにもつながる。緊急事態宣言が発令されようという時期、さまざまな生活用品などが店の棚から消え、備蓄には最強とキャンプ飯やアウトドアグッズに注目が集まったのも記憶に新しい。

 一般から広く募った2020年を代表する言葉(日本語)から、今後辞書に載ってもおかしくない言葉を三省堂の国語辞典を作る言葉のプロたちが選ぶ『今年の新語』にも、2位に「○○警察」、第3位に「密」、4位には「リモート」が入った。集った候補語もコロナ関連が多く、別にコロナ枠が設けられるほどで、「ソーシャルディスタンス」「ステイホーム」「クラスター」「ロックダウン」などがその枠にまとめられた。「2020年だけにして」「辞書に載る言葉になってほしくない」という願いも込められてのこと。

「JC・JK流行語大賞2020」は、女子中高生のInstagram上の数百万件以上の投稿をベースに分析、選考するもの。新型コロナの影響が色濃く出たのがモノ部門。1位になったのが『鬼滅の刃』。自粛期間中にアニメを一気見した女子中高生が多かったといい、視聴をきっかけに親子の会話が増えたという意見もあったという。2位は「フルーツサンド」で、YouTubeに上げたレシピ動画が大人気という現象もあった。アプリ部門では、Zoomがランクイン。学校の授業や学習塾で活用されているという。

「日経トレンディ」の2020年ヒット商品ランキングでも、「マスク消費」「Zoom」「モバイルオーダー」などが上位にランクインした。

 思っていたのと違う1年になってしまった今年。2021年はどうなるか。

【2020年振り返り 7月編】現職の小池百合子氏が東京都知事選で圧勝。「Go To トラベル」が東京抜きでスタート

2020.12.29 Vol.Web Original

 新型コロナの感染拡大防止に向け「3密」が叫ばれるなか行われた東京都知事選で、現職の小池百合子氏が過去2番目に多い約366万票を獲得し圧勝した。そして新型コロナの感染拡大が収まらない中、「Go To トラベル」がスタート。今となっては…いや、当時から早すぎたの声も…。

角田徹「世の中の流れを完全に止めた感染症」【2020年重大ニュース】

2020.12.20 Vol.736

気になるあの人の2020年重大ニュース

12人の識者が激動の2020年を振り返る
 2020年が終わろうとしている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による緊急事態宣言などで「時間が止まった」こともあり、あっという間の1年だったと思う人も多いのでは? 本来だったら今年は夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、今頃は「beyond2020」を旗印に2020年以降の日本のあり方が議論されていたころだろう。ところが現在は新型コロナウイルスの猛威のせいで日本どころか世界中が「withコロナ」の新しい時代を模索している。後世、語り継がれることになるであろう2020年の重大ニュースを各界の著名人の方々に挙げてもらった。

コロナ禍に負けるな!飲食店を応援しよう

2020.12.14 Vol.736

 新型コロナウイルス感染拡大「第3波」が猛威を振るう中、東京都では17日まで酒類を提供する店への営業時間短縮を呼びかけている。通常は書き入れ時にもかかわらず、大きな打撃を受ける外食産業。コロナ禍で苦しむ飲食店の独自の工夫や応援する取り組みをまとめた。

英国でワクチン接種開始

2020.12.10 Vol.736

2020.11.6〜12.10 NEWS HEADLINE<PHOTO OF THE MONTH>
 目で見るニュース、気になるキーワードの解説、話題を集めた発言などなど、使えるニュースをよりコンパクトにお届け!!

首位争いのロッテで主力含む13人が新型コロナに感染

2020.10.08 Vol.734

 プロ野球のロッテは岩下大輝投手と一軍のチームスタッフが新型コロナウイルスに感染したことから、10月4日に一軍の関係者全員、5日には二軍の関係者全員がPCR検査を受けた。6日に出た結果で新たに荻野貴司外野手、鳥谷敬内野手ら一軍の7選手を含む11人がPCR検査で陽性と判定されたことを発表した。これで感染者は13人となった。

 二軍の選手は全員が陰性だったことから、6日のオリックス戦は二軍の選手を昇格させて臨んだが、オリックスのエース山本の前に打線が沈黙。0-3で完封負けを喫した。

 翌7日には井上が初回に13号先制3ランを放ち4-1で勝利を収め、意地を見せたが、ソフトバンクとの首位争いを続けるうえでは今回の主力の大量離脱で苦しい戦いが続きそうだ。

 今回の感染拡大について松本尚樹球団本部長は「感染経路は全く分からない。うちとしては感染防止対策を徹底してやってきた」と苦渋の表情。こまめな手洗い、手指消毒はもちろんのこと、ロッカールームでのマスク着用の徹底など、あらゆる対策を講じてきたという。

 また9月24、26日に実施した月に1度の定期PCR検査では、育成を含む全選手、首脳陣、スタッフら計161人が陰性だったことから約10日間で感染が広がったとみられている。

Let’s Social distance!身の回りのソーシャルディスタンスサイン

2020.08.10 Vol.732

 新型コロナウイルスによる感染症対策として「3密」の回避から「ソーシャルディスタンス」という言葉が聞かれるようになって久しい。

 各企業や施設では壁や床にソーシャルディスタンスを示す張り紙などをし、人と人との距離を保つことの習慣づけを促してきた。

 当初はシンプルな通り一遍の表現のものが多かったのだが、徐々に一ひねりを加えたものが増え始め、あるパチンコ店などはタレントの壇蜜がキャラクターとなっている新台のパチスロ機のポスターとコラボする形で「断密」をうたい文句とした予防対策をアピール。

 語呂としては今のところこれが最強か?

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