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令和で「昭和」を終わらせるためのカギは?【鈴木寛の「2020年への篤行録」第68回】

2019.05.13 Vol.718

 令和への改元は八ヶ岳で迎えました。東大教養学部の学藝饗宴ゼミの学生たちとの合宿。落ち着いた環境と、澄み切った空気が心身をリフレッシュし、学生たちと、藝術と学術を駆使して、新たな未来を提示する、ワークショップを行いました。

 一方、東京都内の連休中は、さながら“今年2度目のお正月”といったムードでしたが、お祭り気分にいつまでも浸れる余裕はありません。平成の30年間、昭和型の社会システムをアップデートしきれないまま迎えた新時代です。

 平成の初めと終盤の世界の時価総額ランキングが話題になりました。平成元年当時、世界の上位50社のうち日本企業は32社も入っていましたが、時が経ち、上位はGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アマゾン)をはじめとする米国勢が占め、中国勢が対抗馬に浮上。日本勢はトヨタ自動車が41位にランクインするのがやっとの「凋落」ぶりでした。

 デジタルエコノミーへの移行に日本企業が乗り遅れ、一方で、経済至上主義を超える新たな価値観の提示もはかばかしくない現実は、凡百の専門家に言い尽くされた通りです。今は、その理由を突き詰め、変えていくことの方が重要です。

 近年の政治報道で「岩盤規制」という言葉が注目されています。既得権者が既存のルールを固守し、新規参入による健全な競争やイノベーションの創出を阻害する有様を言い表しています。タクシー業界の影響力が強く、ウーバー等のライドシェアが先進国で唯一実現しないことがよく引き合いに出されます。

 ただ、「岩盤規制」は、国や経済界の視点で語られますが、消費者、生活者、就業者一人一人の「変わりたくない」マインドも意外に“岩盤化”しているのではないでしょうか。

 世界的にキャッシュレスが普及する中で、いまだ現金主義が幅を利かせています。若い人はスマホのキャッシュレスアプリを使っているという反論はあるでしょうが、その彼らも留学や海外勤務に後ろ向きでグローバル対応に不安を残します。

 このマインドの背景には、社会人になってからの学び直しの不足があると思います。新たな真理、概念、知識、手法を学べば、それらを使って世の中を変えてみたくなるはず。働き方改革で生まれる自由時間を学びの時間にしましょう。昭和期の成功体験に基づいた“岩盤マインド”を令和の早い時期に、どこまで払拭できるか。「新 学問のススメ」の成否に日本の命運がかかっています。

(東大・慶応大教授)

【インタビュー】なべおさみが教える人生を娯楽にする方法「必要以上に後ろを振り返るな」

2019.04.28 Vol.Web Original

 山田洋次監督の喜劇「吹けば飛ぶよな男だが」で主演を務めるなど、昭和から平成をコメディアン・俳優として駆け抜けてきたなべおさみが、『昭和疾風録~興行と芸能~』(イースト・プレス)を上梓した。力道山、美空ひばり、水の江滝子、片岡千恵蔵など、錚々たる大スターの興行を展開した昭和の大物興行師・古池慶輔氏の生き様を通じて、 興行と芸能の醍醐味に迫った本作は、“故きを温ねて新しきを知る”だけにとどまらない示唆に富んだ一冊となっている。

 娯楽が少なかった時代、人々はどのようにエンターテインメントと接していたのか。興行とは何か、そして人生を楽しむ方法とは――。生き字引であるなべさんに話を聞いた。

【平成昭和物語 半世紀前の秋葉原を想う ~松波無線~】秋葉原は家電の街ではなくインドアホビーの街 時代時代によって、何度でもよみがえる

2018.12.08 Vol.Web Original

 変わりゆく東京の景色。同じ場所で、今昔を見続けた人にしか分からない、その街の移ろいがあるのであれば、訊いてみたい。

「秋葉原と言えば、“家電の街”というイメージがあるかもしれませんが、そうではない。秋葉原は今も昔も“インドアホビーの街”なのです」

 松波無線がラオックスに吸収合併された際、ラオックスの常務取締役を務めた松波道廣さんは、秋葉原を知るエキスパートの一人だ。現在は、NPO法人「秋葉原観光推進協会」理事として秋葉原の未来を見据える松波さんに、秋葉原の変移を伺った――。

ジャニーズ WEST濵田崇裕主演『歌喜劇/市場三郎』最新作が7日開幕!

2018.11.06 Vol.Web Original

 11月7日に開幕する舞台『歌喜劇/市場三郎~グアムの恋』のプレスコールが6日、新宿区の東京グローブ座で行われ、主演のジャニーズ WESTの濵田崇裕、キャストの大和田美帆、そして演出の河原雅彦が取材に対応した。

 濵田と河原、そして劇作家で演出家の福田転球がタッグを組み、2016年に上演した『歌喜劇/市場三郎~温泉宿の恋』に続くシリーズ第2弾。

「前作の終わりかたもちょっと続いたらいいなと思っていたし、またやったら楽しいんだろうなという雰囲気の中で今作ができるのですごいうれしい」と、濵田。「前回と(自分は)いい意味で、変わってはいないと思いますけど、前回よりも視野をできたらいいなと思っていて、ちょっとだけ周りを見られるようになったかな(笑)」。

【平成昭和物語 半世紀前の渋谷を想う ~神泉・千羽~】ファミリーの街から若者の街、そして一坪2000万円の街へ 変貌し続ける街「渋谷」

2018.09.26 Vol.Web Original

 変わりゆく東京の景色。同じ場所で、今昔を見続けた人にしか分からない、その街の移ろいがあるのであれば、訊いてみたい。

 渋谷区神泉町にのれんを掲げる「串焼き 千羽」は、約40年間、神泉、渋谷を見続けてきた知る人ぞ知る名店だ。主人の酒井健次さんは80歳を越えた今なお、 奥さんである女将・貞子さんとともにお店を切り盛りし、包丁を握り続けている。

 二人の眼には、渋谷の半世紀の変移はどう映ったのか――。当事者だからこそ語れる渋谷の変貌を伺った。

昭和の競馬界盛り上げた大橋巨泉さん逝く

2016.07.21 Vol.671

『11PM』や『クイズダービー』などの人気テレビ番組の司会者として親しまれた大橋巨泉(おおはし・きょせん、本名克巳=かつみ)さんが12日午後9時29分、急性呼吸不全のため、千葉県内の病院で死去したことが20日、分かった。82歳だった。

 2005年以降、胃がんや中咽頭がんを患い、手術を受けていた。葬儀・告別式は親族のみで行われ、複数の関係者によると8月下旬に「大橋巨泉を偲ぶ会」が開かれる予定だ。

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