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市川染五郎は「叔母の松たか子さんと同じく額に“第3の目”がある」原作者・湊かなえが絶賛

2025.08.13 Vol.web original

 

 配信ドラマ『人間標本』の制作発表会見が13日、都内にて行われ、俳優の西島秀俊、市川染五郎と原作者・湊かなえ、廣木隆一監督が登壇。現代ドラマ初出演で難しい役どころを演じた市川と叔母の松たか子との共通点を湊氏が語った。

“イヤミスの女王”湊かなえによる禁断の同名小説を実写ドラマ化。「親の子殺し」という衝撃のテーマを描く愛の物語。

 現代劇ドラマ初出演となる市川は「自分にとっても大きな挑戦でした」と振り返りつつ「湊先生の原作の『告白』で叔母の松たか子が主演を務めさせていただいていたこともあり、とてもご縁を感じていました」。

 湊氏も「『告白』のときスタッフさんが“松さんはここ(額)に第3の目がある、眉間で表情を見せるんです”と言っていて、その時はよく分からなかったんですけど、今回、染五郎さんもここに目がある、と思いました」と叔母の松と相通じる演技力を感じた様子で、父親役の西島も「もっと現代劇に出てほしい。また共演したい」と太鼓判。

 本作では、西島が演じる蝶の研究家・榊史郎の息子であり、史郎から標本にされるという衝撃的な役どころを演じた市川。自身をかたどって作られた標本に「顔ももちろんそっくりでしたが…、小さいころから足袋を履いているので足が足袋の形に変形しているんですけど、その足の感じがすごく似ていて。(標本は)裸なので“ちょっと、見ないでよ”みたいな恥ずかしさがありました」と苦笑。

 湊氏も「これを作るためなら一線を踏み越える人がいるかもしれないと思わせる素晴らしい仕上がり」と標本の美術を絶賛しつつ、市川と初対面したのが、顔のアップのシーンを撮るために市川本人が標本役を演じる日だったと言い「初めまして、で“市川さん、ケースに入りまーす”って(笑)」。

 市川も「ちゃんとした至の姿でお会いしたかった。まさかパンツ一丁でケースに入っているところとは…」と苦笑していた。

『人間標本』はPrime Videoにて12月19日よりプライム会員向けに世界配信(全5話一挙配信)。

戸田恵梨香「穏やかな家庭を築きたい」永野芽郁は「まったく自分が母親になるイメージできない」

2022.11.23 Vol.web original

 

 映画『母性』初日舞台挨拶が23日、都内にて行われ、戸田恵梨香、永野芽郁と廣木隆一監督、原作者・湊かなえが登壇。戸田と永野が物語にちなみ「母となること」への思いを語った。

 小説家・湊かなえによる大ベストセラーの映画化。ある未解決事件に隠された母娘の真実に迫るサスペンス。

 娘を愛せない母・ルミ子を演じた戸田は「世代や性別などによってもまったく見かたが変わってくる作品。これから見てくださる方がどう感じられるか、こんなにも興味深い作品になるとは」と観客の感想を楽しみにしている様子。

 その娘・清佳を演じた永野は「戸田さんと過ごす時間がだんだん少なくなってきて」と初日を迎えた喜びとさみしさとともに「戸田さんと初めてお会いした日のことを思い出しながら今日来ました」と戸田との共演を振り返った。

 そんな永野は印象深かったシーンを聞かれると「清佳が手伝うよ、と言って(ルミ子から)触らないでと言われるシーンは、撮影2日目くらいで、まだ戸田さんとそんなに近くなっていなくて。本気でグサっと来たのを覚えています。触らないで!って言われた…って(笑)。そこから戸田さんの懐に入りたいと思って(笑)」と戸田と距離を縮めていったと振り返った。

 難しい役どころを通して“母性”を見つめた戸田と永野。「母になるとしたらどんな母に?」と聞かれると「大地さんを通して母を見ていて、いつでも笑顔でいるお母さんてやっぱり素敵と思ったんですよね。なので自分も笑顔で過ごせるために心のゆとりを持てるようになりたいし、穏やかな家庭を築きたいですね」。

 一方、永野は「全く自分が母親になるイメージはまだできないんですけど、私自身、自分の母と仲がいいので、いいことも悪いことも共有できる母になりたいなと思います」と笑顔で話していた。

 映画『母性』は公開中。

戸田恵梨香 演技振り返り「間違えたな、と思う」原作者・湊かなえに“答え”を確認

2022.11.23 Vol.web original

 

 映画『母性』初日舞台挨拶が22日、都内にて行われ、戸田恵梨香、永野芽郁と廣木隆一監督、原作者・湊かなえが登壇。「難しい役どころだった」と振り返る戸田が「間違った」という演技を振り返った。

 小説家・湊かなえによる大ベストセラーの映画化。ある未解決事件に隠された母娘の真実に迫るサスペンス。

 原作者・湊かなえも「書いているときも映像が浮かんでいたんですが、映画を見たら、こんな表情があるんだと2人に教えてもらった感じ。全部上書きされました」と大絶賛し、娘を愛せない母・ルミ子を演じた戸田とその娘・清佳を演じた永野も「恐縮です」と感激。

「普段は、ある程度時間が経ってから反省点に気づくんですですけど…」と切り出した戸田は「ルミ子が清佳を“愛してる”と言って抱きしめるシーン、あそこ表情を間違えたなと思うんです」と告白。「湊さんがどういう意図で書かれたかは分かりませんが、あそこは大地真央さんが演じた(ルミ子の)母を投影すべきだった、と。どうですか?」と物語の“生みの親”に解釈を確認。

 湊は戸田のもう一つの解釈を肯定しつつ「映画の表情からは、ルミ子がやっと、これが愛しているんだとたどり着いている感じがした」と戸田の演技に感嘆。加えて「“愛してる”の奥に私は大地さんが見えました」と戸田の奥深い表現をたたえ、戸田も「ありがとうございます(笑)」と安どと喜びの表情を見せた。

 最後に戸田は「普通に過ごしていく中で気づかなかったことにハッと気づかされるような作品。自分がいつか母になるとき、いま母として過ごしている方、娘の自分が母をどう見ていたか…自分自身を振り返らざるを得ない作品になってくると思います。ただそれが、前を向くためのきっかけとなったらうれしいです」と思いを語っていた。

 映画『母性』は公開中。

人の心の裏の裏まで描き出す極上のイヤミス6編!!

2016.07.12 Vol.670

 読後、後味が悪く嫌な感じになるがクセになるミステリー“イヤミス”。そのイヤミスの女王といわれているのが、湊かなえ。同書は湊の原点回帰と言われ、6編の短編すべてが読後、心をざわつかせる。

 全編を通して感じられるのが、人間の悪意。ところがその悪意、まき散らしている本人は、善意だと思っているところが恐ろしい。自分はすべて正しい。自分こそ善で、ほかの人から恐ろしいほどの悪意を向けられていると思っている。読み終わると背筋が凍る結末だが、読中はむしろそんな登場人物に共感している自分に気づく。

 表題作の「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」は、それぞれ1編の作品だが、娘と母親側から見た風景を描いている。東京で女優として活躍する弓香の元に、地元の友達から同窓会の誘いがくる。しかし弓香はそれを仕事を理由に断ったのだが、本当の理由は自分の母親。弓香の事をとても心配しているふりをして、弓香を自分の思い通りにさせたい。幼いころは分からなかったが、成長するにつれ、母親のドロドロとした悪意をはっき理解するようになる。そんな母親から逃げるように上京した弓香だが、しょっちゅうかかってくる電話により、神経をすり減らされる毎日。そんな時“毒親”をテーマにしたトーク番組の出演依頼が舞い込み…。弓香は母親の呪縛から解き放たれるのか。

 そして、「ポイズンドータ—」のアンサーストーリーとして同書のために書き下ろされた「ホーリーマザー」には驚くべき結末が書かれている。その2編のほかには、出産のために里帰りした妹と、ずっと実家暮らしで両親の面倒を見ていた姉の関係を描いた「マイディアレスト」。脚本家を夢見てコンクールに応募、最終選考に残った3人の男女の称賛、嫉妬、葛藤などのもやもやした心の動きを追った「ベストフレンド」。同じアパートに住む男の子が母親に虐待されることを知ってしまった女子高生が、何とか彼を救おうとするものの、自分自身も母親と確執を抱えている「罪深き女」など、どれも負のオーラ満載作品ばかり。イヤミスの女王、本領発揮の同書、怪談より怖いと感じる人も多いのでは。夏の夜、寝苦しい時に読むと悪夢を見る事間違いなしのホラーな一冊。

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