【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃだめですか?」】第7回 「生理休暇とっちゃだめですか?」

2019.09.13 Vol.Web Original
 一年ほど前ですが、ソフト・オン・デマンドにも生理休暇の制度が導入されました!  弊社では、子供をもつ女性陣で組織された「すみれの会」という組織があります。  女性を扱うAV業界だからこそ、社内で働く女性の活躍を応援するという目的で、様々な取り組みをしています。  たとえば、定期的に実施される女性社員へのアンケート。  社内での困りごとを吸い上げ、それをもとに社長に対応策を掛け合ってくれています。  困りごとも様々ですが、身近なことでは分煙ルールが徹底されていないという指摘があり、社内に周知するというようなものです。  時にはパワハラの報告を受けて、労働環境の改善へと切り込むこともあります。  その女性社員アンケートの中で、「生理休暇を取得したい」という要望があり、昨年制度がスタートしました。  もしかしたらそれまでも権利はあったのかもしれませんが…入社13年目の私でさえその制度を知らなかったので、おそらくほとんどの社員は認識していなかったと思います。  では実際にどのくらいの人が利用しているかは、制度の特性上明らかにされることはありません。  私はというと……0日です。  これまでにまだ、生理休暇を取得したことはありません。  幸いなことにお休みをとるほどのひどい生理痛や体調不良はないからです。  でも、「いざとなったら生理休暇があるから休んでも大丈夫」という安心が生まれて、それだけでもだいぶ気が楽です。  無理をしなくてもいいと思えるだけで、だいぶ過ごしやすく、働きやすくなったように感じます。  数年前にこんなことがありました。  私は身体的な生理痛はあまりないのですが、気分の浮き沈みが激しくなってしまうタイプです。  ある時、生理中に重要な会議に出なければいけないことがあったのですが、その場でつい感情的になってしまいました。  素直に謝ればよかったのですが、それすら考えが及ばず、「すみません、生理で感情的になってしまいました」と言ってしまったのです。  すると上司はこう言いました。 「お前がしっかりしなければいけないのだから、生理ぐらいで感情的になるな。生理なんてないという顔をしろ」と。  感情的になったのは私が悪かったです。  余計な一言を言ったのは私が悪かったです。  でも、一番生理なんて気にしたくないのは、私自身です。  私が悪いことは百も承知ですが、人間性を否定されるよりもつらく、絶望しました。  こういう悲しい思いをしないためにも、「生理の日は思い切って休む」。  そういう選択肢があること、そういう選択ができることは、とても有意義なことだと思います。  生理痛のつらさは、男性には理解しがたいですし、女性同士でも個人差があるのでわかりあえないこともあります。  症状も様々で、お腹が痛いという人もいれば、頭が痛いという人もいるし、貧血になってしまう人もいます。  手洗いやうがいをすれば予防できるとか、予防接種でなんとかなるというような対策ができないので、生理痛は自己管理ができないと言われてしまうと本当に困ってしまいます。  個人的には、身体的な症状よりも、理解されない苦しさや自分でなんとも制御できないつらさのほうがしんどさを感じます。  特別扱いしてほしいとは思っていません。  いざというときに、自分で責任もって休める気持ちと制度が、当たり前になればいいなと思います。  ちなみに、つらい生理痛の場合、ピルの服用などで症状が改善することもあります。  実際に私はそうでした。  なぜか日本ではピルを飲むことがあまり一般化していないように思いますが、悩んでいる人は一度検討してみてはいかがでしょうか。  そして男性諸君は、ピルを飲んでる女性だからと言って生でヤレると思わないこと!  性感染症の予防のためにも、必ずコンドームは着用しましょう。  と、最後はAV屋らしく締めてみました。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第5回 「女がオナニーしちゃだめですか?」

2019.08.09 Vol.Web Original
 新卒でアダルトビデオ業界に飛び込んで、その後女性向けの事業に配属されたのですが、私にとって「女性に性欲がある」ということは当たり前だと思っていました。  エッチなことに興味があって、アダルトビデオを見たり、アダルトグッズを使ってみたり、ハウツー本を読んだりということは、この仕事をする前からしていたからです。  そもそも物心ついた頃から、オナニーのようなことをしていました。  当時はそれを「オナニー」だと認識していませんでしたが、なんとなくそれをしたくなり、すると気持ちよくなり、家族の目を盗んでこっそりとするようになっていたのです。 (いけないことをしているという気持ちよりも、なんとなく家族にはばれないほうが良いと思っていたんだと思います。)  その後、中学生くらいでしょうか、新聞のお悩み相談コーナーが好きで毎回スクラップしていたのですが、そこに「まだ幼稚園生の娘が角に股間をこすりつけて恍惚とした表情をしているがどうすればいいのか」というお悩みが寄せられたことがありました。  いわゆる幼児自慰というもので、ほかのことに興味がうつると自然にやめるでしょう、という回答でした。  まさに自分は幼児自慰から、そのまま辞めずにし続けて今に至るのだとわかり、ドキリとした記憶があります。  自分が少数派、いや、おかしいと気付いたのは、本当に最近のことでした。  この10年ほど、女性向けのアダルトビデオやアダルトグッズがたくさん生まれ、企業・個人問わず「女性の性の解放」を訴える女性が多くなりましたよね。  なぜみんなこぞって、「女性に性欲があることはおかしいことではない」「女性がオナニーをすることは悪いことではない」と当たり前のことばかり主張するのか?  ずっとそれが疑問でした。  そりゃそうです、私にとっては普通のことだったのですから。 だから、多くの女性が「性欲があることはおかしいことなのか?」「オナニーをすることは恥ずかしいことなのか?」ということに悩んでいるということに気付かなかったのです。  また一方で、それらを発信している人たちが、セクハラの対象になり悩んでいることも知りませんでした。  私自身はオナニーをする側の人間として、異性と対等に話せている(むしろ赤裸々に話しすぎて男性を引かせることもある)と思っていたし、そんなことで悩んだことはほとんどなかったからです。  さらに言うと、オナニーを隠れてすることにも、言い訳が必要だということもわかりました。  オナニーをすると女性ホルモンが分泌されて美容にいい。  オナニーをすれば感度が上がって彼を喜ばせることができる。  美容のため、パートナーのため、自分以外の何かを言い訳にしないと、性欲解消以外の言い訳がないと、怖くてオナニーすらできない。  つまりは、女性がオナニーをするということは、他者に言い訳をしないとできないほど恥ずかしいことで、していることがばれると男性からセクハラを受けたりする行動で、正当化するために「性欲があることはおかしくない!」と主張し続けなければならない。  これって楽しいですか??  自分が自分の性欲を認めて、自己責任のもと欲求を満たしていくのは、何も変じゃないし、欲求を満たすことは楽しいことであるべきだと私は思うのですが。  多分この記事が公開されている頃は、書店にananのSEX特集が並んでいることでしょう。  年に1回のこの特集記事を見て、あなたは「女性の性は解放された」と思いますか? 「まだ解放とはほど遠い」と思いますか?  私は、女性のオナニーが悪いことだとは全く思いません。  でもわざわざ「オナニーしている」ことを明言する必要もないと思っています。  果たして、どれだけの人が自分の性欲に自覚的になっているのでしょうか。  ただ、性は一人一人違うものだからこそ、自分に自信をもって、自分なりの性を獲得していくことが必要で、そのためには自分の性欲をすべて認めてあげることが大切だということは、強く思います。  オナニーを肯定することがそれらの一助になるのであれば、私は大声で「オナニー万歳!!」と言いたいと思います。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第4回 「飲み会で下ネタ言わなきゃだめですか?」

2019.07.26 Vol.Web Original
 アダルトビデオ販売会社「ソフト・オン・デマンド(以下SOD)」で働いて13年目。  SODで働いていることを友人や初めて会った人に伝えたときの反応にもいろいろあります。 (「なんで早稲田大学を出てSODに?」という質問に対しての答えは、第3回の記事で書いたので、ぜひそちらを読んでみてください。)  男性からよく言われるのは「お世話になってます!」という言葉。  AVが好きでSODのことも知ってくださっていて、好きな女優さんや好きなシリーズの話などを聞かせていただけるのはとても嬉しいです。  一方女性はSODという会社を知らない人が多く、「なんの会社?」というところから、どういうものを扱っていて、自分はそこでそんな職種で働いていて…というのを説明します。 「面白そう」と言ってくれる人もいれば、まったくピンとこないという表情の人もいて、女性にとってAVはまだそれほど日常的なものではないのだなと改めて感じることも。  さて以前は、私がSODで働いているということを知っている男性から、しばしば「飲み会に来て」という誘いを受けることがありました。  お酒を飲むのは好きなので、最初は何も考えずに参加していたのですが、次第に気づいてしまいました。  彼らが求めているのは、「私」ではなく「SOD女子社員」であるということを。  AV業界のことを面白可笑しく語ること、セクハラをされること、そしてそのセクハラを笑って受け流すこと。  私に求められていたのはそれだけでした。  こんなこともありました。  初めて会う人なのに、私の名前をインターネットで検索し、プロフィールを覚え、取材記事や連載記事も見てきた上で、会社やアダルト業界の話を根掘り葉掘り聞かれ、最後には「この記事もどうせ自分で書いてないんでしょ?」と言われるという。  全部自分で書いてるんですけどね。  彼らはもしかしたら、アダルトビデオ会社で働く女性は全員女優で、出演以外の仕事がないと誤解しているのかもしれませんね。 (そもそも女優さんもAV出演以外にも、文章を書かれたり、歌や踊りをやられたり、作品の販売促進のために我々が依頼した作業をしたり、ほかにも様々なお仕事があります。)  これって結構失礼な話だと思うんですが、どうでしょう。 「アダルトビデオを販売している会社に勤めている女性がまともな仕事をしているわけがない」 「アダルト業界の女性は、男性の飲み会では都合よくエロい話ができるホステスであれば良い」  そういう価値観で扱われているのだなと感じて、私はすごく腹が立ちました。  おそらく、ほとんどの皆さんは、性の話を真面目にする機会が多くはないのではないでしょうか。  特殊な題材だから、性に関する話題になると、急に人との距離感がわからなくなる。  他の題材で話しているときは、「これを言ったら相手がどう感じるか」「こういう伝え方をしてもいいかどうか」ということを考えられるのに、性の話をする機会が少ないから、その加減がわからない。  それで、飲み会の席などで急に、「ハメを外す」ということが起こってしまうのではないかと思います。  つまりは、普段からもっと性の話をして、力加減を知っていくことが必要なのでは。  だからこそ、実は下ネタって、もっと話したほうがいいのではないでしょうか。  セクハラをするためではありません。  どうすれば他人を傷つけないで性の話ができるかを、もっと練習していくために。  と言っても、最近は前述したような失礼な誘いも減ってきました。  13年もSODで働いていると、さすがにちゃんと仕事をしてるんだなとわかってくれているのかもしれません。  ただ単にまわりの友人たちが結婚・出産したりして、飲み会の開催数自体が減っているのかもしれませんが…。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第3回 「大卒でSOD入っちゃだめですか?」

2019.07.12 Vol.Web Original
 私は現在、ソフト・オン・デマンドというアダルトビデオの販売会社で、「GIRL’S CH」という女性向けの動画サイトの運営をする部署に配属されています。  サイトの広報に関わる仕事をすることも多く、今皆さんが目にしているこの記事のように、文章で仕事のことや、自分自身のことを発信する機会もたびたびあります。  そのようにして発信を続けていると、私自身に対してご意見をいただくこともあります。  肯定的な意見、否定的な意見両方ありますが、先日ひとつ気になるご意見をいただきました。  それが、「大学まで行ってSODに入るなんて親がかわいそう」というものです。  なぜかこのご意見がとてもひっかかったので、今回はその理由を紐解いてみたいと思います。

イケメンフェスティバル2019を開催しました!【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第30回】

2019.04.26 Vol.Web Original
 先日4月21日、「GIRL’S CH presents イケメンフェスティバル2019」を開催しました。  イケメンフェスティバル、通称イケフェスは、2017年に初めて開催してから今回2回目となるイベント。SOD本社を利用して、女性向けのエンターテインメントをちょっとずつ体験できる、まさに「エロ文化祭」的な内容です。 2017年の模様はこちら  http://www.tokyoheadline.com/383066/ http://www.tokyoheadline.com/383465/  設備的な問題もあり、今回は本社2・3階の2フロアのみの開催となりましたが、150名以上の女性客が訪れ、大きな賑わいとなりました。  前回大好評だった体験ブースは、今回も健在。  女性向け風俗店からは4店舗に出展いただきました。 「東京秘密基地」「萬天堂」「ホストロイド」ではそれぞれ個室のプライベート空間で10分間の施術を体験できたり、「SPA White」ではオープンなスペースでハンドマッサージやお話しなどに気軽に参加できるなど、ブースをまわることでそれぞれのお店の特徴を感じることができました。  働いている人の雰囲気が分かって、自分にあったお店を見つける手助けになったのではないでしょうか。

実はみんな混同している「性」の話【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第24回】

2019.01.25 Vol.web original
年末に、女性向け風俗のユーザーさんとお話する機会がありました。 女性向け風俗って何?と、いきなりでびっくりされる方もいるかもしれませんが、いったんそのディティールはおいておくとして。 女性向け風俗を利用するときに、女性はさまざまな思いを抱いて、それぞれの動機で、勇気を出して利用します。 男性不信をなんとかしたいという思いで利用する人もいれば、好奇心が強い人もいますし、ただ単に性的欲求を満たしたいという人もいます。 私は女性なので男性のことはわかりませんが、女性にとって、風俗を利用する理由は本当にさまざまなのだと感じたと同時に、女性向け風俗が叶えなければならない要望もさまざまなのだなと感じました。 さて、「性」とひとことでいっても、性教育、性差、性癖、性欲、セックスでのコミュニケーション、これらすべては全然違うものです。 性教育や性差は、自分と相手を大切にするために知るべき知識だと思うし、性癖や性欲は自分が幸せになるために知っておいたほうがいいこと、そしてその知識を生かすために必要なのがコミュニケーション。 まあざっくりですが。 AV業界にいると、「AVのせいで誤った知識が広まる」というご指摘をうけることが多いのですが、正しい知識をもった18歳以上の大人に向けて作っているエンターテイメントだから、そもそも知識があることが前提で成立している世界です。 だから年齢制限があるし、また、自分の性癖や性欲を知っていればそれにあった作品を選択でき、AVの世界で非現実的な内容を楽しむことができるのだと思います。 性癖という言葉についても、いかにも変態的な嗜好があるように聞こえてしまうかもしれませんが、自分の性嗜好という意味でもっと幅をもった言葉なのではないでしょうか。 「男性のこういう表情を見るのが好き」「夜より昼間のほうが好き」というようなちょっとした好みも性癖だし、決していかがわしいだけの言葉ではないと思います。 自分の性癖を認識することで、もっとこうしたら自分が幸せになる!というのが明確化するので、自分にも相手にも良いですしね。 このように、それぞれ次元が違うところで語られるべきことが、ごちゃまぜで「性についての話」と語られるから、隔たりやねじれを感じます。 先ほどの女性向け風俗の利用の話に戻るのですが、性欲を満たしたいという気持ちと、セックスでのコミュニケーション不全を解決したいという、まったく次元の違う問題を一度に解決しなければならないという、とても難しい役割を、今の女性向け風俗には求められていると思います。 男性向け風俗の場合、多くは射精をゴールにしているのに対して、女性向けはそうではない。 この複雑さによって、女性向け風俗の経営者やキャストたちに求められるレベルが高くなり、それにより利用者の欲求を満たせるハードルも高くなっているのではないかと。 あくまで個人的な意見ですが、今後女性向け風俗市場が拡大するためには(私は広まってほしいと思っているので)、こんなことが必要なのではないでしょうか。 ・女性がコミュニケーションを求めるのか、欲求の解消を求めるのか、またそれ以外のものなのかということを、まず女性が気づくこと。 ・女性の欲求に対して、その解決に特化したサービスが作られること。 もちろんこれだけではないですが、より女性が自分自身に満足できるようになるためには、必要なことだと思います。 というわけで、「性」に関してもやっとしていることがある人は、どの「性」にもやっとしているのか、いま一度自分に問いかけてみるのはいかがでしょうか。

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