【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第3回 「大卒でSOD入っちゃだめですか?」

 私は現在、ソフト・オン・デマンドというアダルトビデオの販売会社で、「GIRL’S CH」という女性向けの動画サイトの運営をする部署に配属されています。

 サイトの広報に関わる仕事をすることも多く、今皆さんが目にしているこの記事のように、文章で仕事のことや、自分自身のことを発信する機会もたびたびあります。

 そのようにして発信を続けていると、私自身に対してご意見をいただくこともあります。

 肯定的な意見、否定的な意見両方ありますが、先日ひとつ気になるご意見をいただきました。

 それが、「大学まで行ってSODに入るなんて親がかわいそう」というものです。

 なぜかこのご意見がとてもひっかかったので、今回はその理由を紐解いてみたいと思います。
新卒1年目、とにかく垢抜けてない頃の筆者

「大学を出てSODに入ること」はいけないことなのか?



 先のご意見を言い換えると、「大学の4年間を自分に投資したのに、わざわざマイナスイメージのある会社に入るなんて理解できない」と言ったところでしょうか。

(自分自身はこの業界にいることで後ろ指をさされているというような感覚は全くないのですが、本筋とそれるので、前提としてアダルト業界=マイナスなイメージが強い、として話を進めます)

 私の場合大学の4年間は、映画を見たりバイトばかりしていて、お金儲けをしたり社会で活躍できる術を学ぶような勉強は全くしてきませんでした。

 そういう意味では、SODに入ろうが入るまいが、大学生活を終えた時点で私自身への投資は失敗だったように思います。

 一方で、映像業界でおもしろい仕事がしたいという気持ちだけは変わらず持っていたので、今「女性向けアダルトビデオ」に関わる仕事ができているというのは目論見通りとも言えます。

 もちろんSODには、私とは違い大学4年間でしっかり学んできた人もいます。

 そういう人は、会社や業界につきまとうマイナスイメージよりも、自分で作品や事業を作っていきたいという意志を持って会社を選んでいる人が多いように思います。


「SODに入ることは親がかわいそうなこと」なのか?



 本人が納得していたとしても、まわりに迷惑をかける場合もあります。

 たとえば、「あの人の身内はアダルト業界の関係者だ」と後ろ指をさされて陰口をたたかれるなど。

 私は経験したことがないのですが、陰で言われて聞こえてないだけで、もしかしたらめちゃくちゃ馬鹿にされているかもしれませんね。

 確かに打ち合わせや日常会話で、公共の場では言えないような卑猥な単語を口にすることはありますし、下品だと言われたら返す言葉はありません。

 ただ、それと「かわいそう」かどうかは別次元の話ではないでしょうか。

 当事者と家族との関係や家族の感情がすべて仮説の上で成り立っている「かわいそう」は、第三者からのおせっかいでしかありません。

 当事者同士の理解が何よりも優先されるべきだと思います。

 そのねじれが、私にとってはとても引っかかるものだったのでした。
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