スガダイロー 4月に東京と京都でジェイソン・モランと奇跡のデュオ
 昨年12月にニューヨークでスガダイローとジェイソン・モランという2人のジャズピアニストがライブを行った。特殊な環境での出来事だったため、目撃した人は限られた。しかし、2人はこのライブを通じ意気投合。4月に東京と京都に場所を移して再び相まみえることとなった。
撮影・蔦野裕
ピアノは10台あったら全部音が違う。弾けば弾くほど育っていく

 ピアノというものは10台あれば10台とも音が違うものだという。

「全然違います。弾いていくうちに育っていくという感じ」

例えば、12月にスタインウェイ工場で用意された2台のピアノもやはり音が違ったという。これも弾き続けていくと、ある程度は作る側が目指しているようなところに収斂していくというもの?

「そのへんは作る人と話したことがないので分からないんですが、山下洋輔さんが経験した話なんですけど、大きいホールってピアノが何台も置いてあって、どれを弾きたいかをピアニストに選ばせるんです。そうすると最初は新品で差がないんですが、弾きこむことによって、少しずつ音が変わってくる。“鳴りだす”というんですが、鳴りだすとみんな“あ、こっちのほうが鳴るな”って気づくじゃないですか。だから鳴らないほうは誰も弾かなくなる。そうなると弾かれないほうは育たない。鳴るほうばかりがどんどん鳴るようになる。そうなるとピアノデュオやるときに2台重ねられても、全然鳴りが違ってくる」

人によって好みは違う?

「違うし、鳴りという面でいえば、言霊というのかな。弾いたピアノの音に魂が宿っていくということは俺はすごく感じます」
ライブで全国を回る時はピアノは持っていかない。毎回鳴りが違ったり個体差があるものを弾いている。

「そう。だから調整は30分くらいする。調整というかひたすら弾くしかないんですが。そのうちにフィーリングが合ってくる」

例えば、リチャード・クレイダーマンといったピアニストがツアーを回る時って、自分のピアノを持って回るもの?

「あれくらいのピアニストだと持って回るかもしれないですね。でもそういう人はなかなかいないですよ」

そういう人でも現地で用意したピアノを使う?

「ケースバイケースだと思います。自分のピアノを持っていく場合もあると思うんですが、それはパフォーマンス性が強いですよね。現実的じゃない。例えば海外から持ってきたら湿度が変わっちゃうから、下手したら壊れちゃう。そんなリスクよりも、そこにあるピアノを使うほうが多い」

常にピアニストはライブ先にあるピアノを弾く。そう思うとピアノ自体が常に即興という運命にある楽器に思える。

「その時その時のフィーリングで全然弾き方も変わっちゃう。ピアノとのセッションです。ピアニストはそういう宿命。でも俺はそういうのは結構楽しいですね。今日はどんなピアノなんだろう?みたいな感じ」

土地土地に彼女がいるみたい。

「ホントにそうですね(笑)。行くのが楽しみな店とかありますよ」

ちなみにホームとする荻窪ベルベットサンのピアノは70年の年季の入った一台。

「あいつはホントもう替えてほしいんだけど(笑)。でも俺もけっこう容赦ないタイプだから、あと30年くらい弾こうかと思っている(笑)」

激しい演奏にもついてくる70歳の…。

「いや、全然ついてこない(笑)。あいつのせいで俺、だいぶピアノがうまくなる機会を逃していると思う(笑)」

ピアノの奥の深さを感じさせるエピソードだ。

「ピアノは楽しいですよ。10公演あったら、ピアノ10台全部違いますから」

変な癖がついているな、とか?

「本当にそうなんですよ。“おまえどうした?”みたいな。そういうのはだいたい誰が弾いたかは分かるんです(笑)。“これ誰が弾きました?” “○○さんが弾いたんですよ” “やっぱりか…”みたいな(笑)。面白いと思いますよ。ピアノを題材に小説を書きたいって言った小説家もいるくらいですから」
撮影・蔦野裕
「スガダイローとJASON MORANと東京と京都」
〈東京公演〉【日時】4月11日(火)開場18時、開演19時【会場】草月ホール【料金】全席指定 前売 7000円、当日 8000円【出演】スガダイロー(Piano)、ジェイソン・モラン(Piano)【ゲスト】田中泯(Dance)

〈京都公演〉【日時】4月15日(土)開場17時、開演18時【会場】ロームシアター京都 ノースホール【料金】自由席前売 5800円、自由席当日 6500円、立見席前売 4500円、立見席当日 5300円、学割前売(立見席のみ) 3500円 ※学生証・証明書など要提示【出演】スガダイロー(Piano)、ジェイソン・モラン(Piano)【ゲスト】鈴木ヒラク(Live Drawing)

〈関連公演〉JASON MORAN SOLO PIANO @HIROSHIMA CLUB QUATTRO」【日時】4月13日(木)開場18時30分、開演19時30分【会場】広島 クラブクアトロ【料金】前売 5,800円+1D、当日 6,500円+1D