流出は止まったが 6万トンの汚染水どうする?

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 東京電力福島第1原子力発電所事故で、高濃度の放射性物質(放射能)を含む汚染水の海への流出はひとまず止まったが、課題は山積したまま。推計6万トンに上る汚染水の排出・回収は難航しているうえ、その先には処理という難題が待ち構える。汚染水は原子炉の冷却機能の復旧にも最大の障害となっており、抜本的な対策を早期に打ち出すことを迫られている。



「止めたからにはどこかで水が噴出することが想定される」



 経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、問題解決にはならないとの認識を示した。通常、発電に利用した低濃度汚染水は濾過や蒸留によって放射性物質を取り除き、再利用したり、基準値以下なら海に放出したりしている。だが、今回は通常運転時の原子炉の水の最大約10万倍という高濃度。東電も「これほど高レベルの水を処理したことはない」と戸惑いを隠さない。



 海江田万里経産相は6日の衆院経済産業委員会で、「(仏原子力大手)アレバに放射性物質除去の技術について協力をお願いした」と述べ、同社のノウハウに期待を示した。ただ、核燃料再処理の専門家は「破損した燃料棒から溶け出した放射性物質を含む水は扱ったことがない」と、その困難さを指摘する。さらに汚染水は最終的にドラム缶に封じ込め、放射性廃棄物処理施設で外部に漏出しないよう貯蔵する必要がある。通常のように蒸留による濃縮ができないと、6万トンならドラム缶30万本にも上り、貯蔵施設の確保も簡単ではない。



原発汚染水放出、事前連絡なし



 低濃度の放射能汚染水を海に放出した問題で、政府は6日、釈明に追われた。関係省庁や野党、漁業関係者らが、事前の連絡がなかったことを批判。韓国などの周辺国も、「国際法上問題ない」とする日本政府の姿勢に懸念や不満を表明したからだ。



「なぜ放出が必要かという詳細な伝達が十分にできていなかった。丁寧な説明が必要だとの指摘は真摯に受け止める。もっと目配りをして、関係機関への連絡や相談の確認をやるべきだった」



 枝野幸男官房長官は6日の記者会見で、事前通報が十分でなかった不手際を認め陳謝した。その後、伴野豊外務副大臣と松下忠洋経産副大臣を呼び、緊密な連携を取るよう指示した。



 この日の各党・政府震災対策合同会議実務者会合でも、「低い濃度とはいえ放出基準の100倍だ。地元自治体や関係省庁、海外にも事前に知らせなかったのは極めて良くない」(自民党の西村康稔衆院議員)、「(放出が)本当に避けられなかったのか疑問だ」(社民党の阿部知子衆院議員)などと批判。保安院の担当者は「反省している」と釈明に追われた。



 汚染水が冷却機能復旧への障害となっていることは明らかだ。しかし、事前通知なしで汚染水を海に放出していいということにはつながらない。菅首相の統治能力、東電の情報公開への不信感が高まるなか、周辺国からの不満も爆発しそうだ。今後、日本政府の姿勢が問われることは間違いない。