野菜に米に鯉…愛情たっぷりの食材ずらり郡山をいただきます!

地元で食べるとやっぱりウマイ! 〜福島・郡山市 編〜

 福島県郡山市。開拓者精神と音楽にあふれるこの街には「おいしい」もあふれている。明治時代からこの地で育てられ続けている鯉を使った鯉料理、 愛情をいっぱい注がれて作られた米や野菜。郡山の「おいしい」を“たら福”いただく。
 東京から新幹線で約80分。東京からアクセスのいい郡山市はかねてから首都圏はもちろん、日本全国に向け多くの農産物を生産している街だ。にぎやかなJR郡山駅周辺を車で少し離れると、あたりは見渡す限りの田園地帯。水不足に悩んでいた土地だが、明治時代に行われた猪苗代湖から水を引く大規模な灌漑事業「安積疏水」の開さくによって、現在も日本で指折りの透明度を誇る猪苗代湖の水が、この地に豊かさをもたらしている。

 さまざまな食材が揃う郡山で、そのシグネチャーとなっているのが鯉。郡山市は全国トップクラスの出荷量と品質を誇る。とはいえ、一般的には、親しみのある食材とは言い難いのも鯉だ。市内で鯉をおいしく食べさせてくれるのが隠れ家的な正月荘。「鯉は調理をする上で手間がかかりますし、難しい食材です。食べていただくのにも、土臭いイメージから避ける方もいます。ただ、郡山の鯉にはそういう土臭さはありません。いろいろメニューを考えて、食べやすい方法でお出ししているんです。お食事を終えて、イメージが変わったという方もたくさんいらっしゃいます」と、店主の鈴木正二さん。

 鯉のうろこを揚げた「鯉のうろこせんべい」はカリッとした食感で手が止まらない。適度に脂がのった「鯉の西京焼き」は言われなければ鯉とは気づかないほど。他にも、中華風甘酢あんかけ、肝時雨煮、オーソドックスな甘煮、そして鯉のあらい、ほかほかの郡山のブランド米「あさか舞」に鯉の漬けを乗せた出汁茶漬でしめるフルコース。鯉の旨さを味覚、嗅覚、視覚など五感で味わわせてくれる。デザートの柚子のシャーベットを口に運ぶころには、「鯉はおいしい」というイメージしかなかった。
 郡山市役所近くにある「福ケッチァーノ」もまた、郡山の「おいしい」を堪能できるレストランだ。日本を代表するイタリアンシェフである奥田政行さんが生産者とともに福島の食材や農産物を県内外に発信する目的で2014年3月にオープン。トレーラーハウスを利用したレストランで、愛情たっぷりに育まれた地元の食材が集まり、奥田シェフの愛弟子が調理、福島出身のスタッフがサーブする。

 店では郡山で育まれた「郡山ブランド野菜」がふんだんに楽しめる。フルーティーな香りと甘味が特徴の「御前(ごぜん)人参」はそのまま絞ってジュースで。口に含むと優しい甘さが広がり、人参というよりもフルーツのような味わいだ。バーニャカウダには、「御前人参」を始め、甘さが広がるサツマイモ「めんげ芋」、エグミのないホウレンソウ「緑の王子」などが並ぶ。さらには、甘さの際立つキャベツ「冬甘菜(ふゆかんな)」のポタージュなど、どの料理もその野菜の持ち味を最大限に引き出されたかたちでサーブされる。

「御前人参」を始め、「めんげ芋」「緑の王子」「冬甘菜」は郡山ブランド野菜協議会の会員が中心となって作付けしている野菜だ。郡山で魅力あふれるブランド野菜を育てていこうという取り組みのなかから生まれた。そのなかから、毎年1品を「郡山ブランド野菜」に認定。現在では11の品種が認定されている。同じ品種でも収穫時期が違うとブランド野菜として認められないなど認定方法は独特だ。また、東日本大震災後は、安全性を徹底的に公開して「失わされた信頼」を取り戻すこと、今まで通りに技術を磨いて替えのきかない価値を生み出すこと、取り組みについて積極的に情報発信をするという取り組みをしており、さらにブランドは磨き上げられている。

 おいしい「郡山ブランド野菜」だが、現在楽しめるのはほぼ郡山市内のみ。「御前人参」を例に挙げれば、一般の人参よりも長く、葉が広がるために機械を入れるような大量生産に向かないのだという。そのため販売は市内の直売所や朝市、市内のスーパーで行われ、ほぼすべて市内で消費される。通信販売も、お歳暮の時期に市内の百貨店で扱われる程度だ。「郡山に来ていただければ直売所もあります。それに福ケッチァーノでも食べていただけますね。郡山で味わっていただければ」と、生産者の藤田浩志さんは言う。

 郡山の「おいしい」は、郡山で。次の週末は郡山の「おいしい」を味わう旅に出てみてはいかが?