7・26修斗 のび太が世界フライ級王座初防衛

 プロフェッショナル修斗の公式戦が26日、東京・後楽園ホールで開催された。
 メーンで行われた世界フライ級チャンピオンシップは王者・内藤のび太が世界ランク3位の挑戦者・澤田龍人を4R4分46秒、肩固めで破り初防衛に成功した。
 内藤は昨年9月に室伏シンヤから王座を奪取して以来の試合。その間、フライ級戦線はアグレッシブに動いていた。
 まずは昨年のインフィニティリーグ。ここでは飛鳥拳と澤田がしのぎを削り、飛鳥が優勝。澤田は準優勝に終わったものの、リーグ戦を通じその実力をファンに大きく印象付けた。
 その一方、世界のベルトに3度挑み、跳ね返され続けた猿丸ジュンジが復活。2連勝でタイトル戦線に再浮上してきた。
 通常なら飛鳥が世界挑戦!となるところなのだが、内藤と飛鳥はパラエストラ松戸の同門とあって挑戦には至らず。
 そこで飛鳥はターゲットを猿丸に変え、5月大会で対戦するのだが、ここで猿丸が1RKO勝利。3連続KO勝ちで一気に挑戦者に浮上し、内藤も試合後リングに現れ猿丸との防衛戦をアピール。しかし猿丸は試合前から足を痛めており、今大会には出場できないことから、澤田に挑戦権が回ってきた。
 こう書くと“棚ボタ”で挑戦権が巡ってきたように見えるが、澤田も2月大会で当時ランキング1位だった正城ユウキに3RTKO勝ちしており、挑戦は時間の問題。今回は松根良太以来の10代での王者誕生という話題もあり、いわば“タイミングの綾”といったところ。
 入場から龍人コールとのび太コールでホールが揺れる。所属するAACCのキッズレスリングの子供たちが澤田の応援に駆け付け、大声援を送るが、内藤の入場曲である『ドラえもんの歌』がかかると、つい笑顔になってしまうのは仕方のないところ。
 試合前には内藤にドラえもん役の声優の水田わさびと、ジャイアン役の木村昴から花束が贈られる。
 試合は1Rから澤田が積極的に打撃で内藤を追い込む。想定外の展開に防戦の内藤。タックルで展開の打破を探るもアマレス出身の澤田はそれを潰しては離れて打撃で勝負する。しかしラウンド終盤にはタックルを潰されてからもぐって片足タックル。ついにグラウンドで上を取り、いつもの“のび太ワールド”に澤田を引きずりこむ。下からパンチを放ち、なんとか脱出した澤田だったが、内藤は再度タックルから上を取り、細かいパンチの連打でなんとか序盤の劣勢を取り戻す。
 2R以降も離れて戦いたい澤田とタックルからグラウンドに持ち込みたい内藤という図式で試合が進む。打撃を当てるのは澤田なのだが、内藤は時にはパンチを被弾しながらも澤田の手を離さず、時にはパンチを交わしタックルを成功させ、とにかくグラウンドへ引きずり込む。
 グラウンドで澤田が上を取りかけても、すぐに体勢を入れ替え、自分に有利なポジションをキープし、こつこつとパウンドや鉄槌を落とし、バックからスリーパーを狙うなどゆさぶりをかける内藤が徐々にペースをつかんでいく。
 1、2R終了後のインターバルではスタミナ回復に時間をかけ、やや不安げな表情を見せた内藤だったが、3R後のインターバルでは落ち着いた表情に。そして、それまではギリギリに装着していたマウスピースを早めに装着し、臨戦態勢をばっちり整え、4Rへ。
 パンチのフェイントからタックルで先手を取る内藤。澤田にとっては未知の領域となる4R目だったが、スタミナ切れを起こすことなく、パンチを放ち必死に立ち上がろうとする。しかし内藤はとにかく引き倒し、サイドについてパンチを放つなど、澤田を削りながら虎視眈々とフィニッシュへ向けたお膳立てを整える。そして残り時間1分30秒、ついに肩固めにとらえ締め上げる。激しくもがく澤田だったが、残り14秒、無念のギブアップとなった。
 試合後、内藤は「自分なんて生きてても死んでてもどっちでもいいような人間だと思うんですけど、みんな楽しんでくれれば別に僕なんてどうでもいいやと思ったんですけど、去年の9月に言って宙ぶらりんのまんまになってる人が1人いるので、砂辺さんと戦おうかなと思ってるんですけど、よろしくお願いします」とパンクラス・フライ級王者の砂辺光久との対戦を口にした。
 会見では1Rの展開について、開口一番「死ぬかと思いました」と語ったうえで「1R終盤に1回上になれたので、それでちょっとだけいけるかなと思いました。あれ(打撃)が続いていたら…。まあその後もしんどかったですけど…。(フィニッシュになった肩固めについては)あれはぎりぎり。外れたら、結構力を使っちゃっていたので、逆にやられていたと思います。本当はちゃんと打撃もやりたかったんですが、完全に押し込まれた。ホント殴られました。痛かったです。(タックルの場面では)ホントにクラッチを切ったら死ぬと思ったので、僕も必死だった。あんなに打撃でくるとは思っていなかったので、びっくりしたし、すごかった。痛かったです」と振り返った。

 セミファイナルでは環太平洋ウェルター級チャンピオンシップが行われ、王者・松本光史が初防衛戦に臨み、ドローでベルトを守った。挑戦者の川名雄生はここまでプロ修斗デビュー以来4連勝で挑戦権を獲得。いま最も勢いのある挑戦者だ。
 1Rから積極的に打ち合う両者。川名はタックルからリフトしてテイクダウン、パンチで松本が腰を落とす場面を演出。印象的な攻撃を見せる。松本は押されながらもタックルで勢いを止め、打撃で応戦。ラウンド終了間際にはフロントチョークも決めてみせた。
 2Rも打ち合いからスタート。ともにタックルを決めテイクダウンも、すぐに立ち上がられるなど、決め手を欠く展開に。
 3Rはここまで判定が微妙な展開が続いたことからともに激しい展開となった。
 いまいち動きが硬かった川名だったが、ここにきてやっとエンジンがかかってきた感じで、パンチからのタックルでテイクダウンに成功。ハーフガードからパウンドを落とす。すきを突いて立った松本の背中に川名が乗るも、前に落とされ松本が逆に上を取り、引き込んでフロントチョーク。しかし川名は頭を抜いて、上を取ると、残り1分、パウンドの連打でゴングを迎えた。
 勝利を確信していた川名だったが、判定は1人が28-30で川名につけたものの、2人が29-29で1-0のドロー。松本が薄氷の防衛を果たした。
 松本はリング上で「今日の試合は負けたと思っているので、川名選手、もう1回やるなら挑戦してきてください。今日はそれだけです」と語った。
 この日は今後のライト級のタイトル戦線を戦いとなる「大澤茂樹vs宇野薫」戦が行われ、2R4分3秒、大澤がKOで宇野を破った。
 大澤は1R序盤、宇野のパンチを交わして組みつくやリフトしてテイクダウン。サイドからバックを取り、強烈なパウンドを放つ。宇野はアームロックを狙うが、大澤は付き合わず離れて、スタンドの展開に。宇野の前蹴りに合わせ、大澤が左ボディーから右フックを顔面にヒット。宇野は前蹴りで距離を取ろうとするも大澤は踏み込んで左ストレートを何度もヒットさせ、完全に主導権を握る。
 2Rは序盤こそ宇野のローブローに大澤が顔をしかめる場面もあったが、宇野のタックルを大澤がつぶしテイクダウン。しかし深入りはせず、スタンドに戻すや、大澤は投げでテイクダウンを奪う。コーナー下で立ち上がった宇野だが、そこに大澤が強烈な左フック。まともに食らった宇野がダウンするとパウンドで追撃。レフェリーが試合を止めた。
 大澤は「そろそろ修斗のベルトを取らせてもらいたいんで、よろしくお願いします」とベルトへの挑戦をアピールした。