米ロックバンド、オブモントリオールでバカみたいに体を揺らした夜【ライブレポ】

 米インディーロック/サイケデリックポップバンドのオブモントリオール(of Montreal)が長野県で行われた音楽フェス「りんご音楽祭2018」への出演を含む、日本ツアーのために来日。東京では9月20と21日の2日間、渋谷のライブハウスTSUTAYA O-nestでライブを行った。

 オブモントリオールは今年で活動歴22年のベテランのバンド。日本でも90年代から音楽ファンのあいだで注目を集めている。26歳の女子ライターが、生まれて初めての海外アーティストのライブに参加、その雰囲気をリアルに感じてきた!


 オブモントリオールは、海外では人気のあるサイケデリックポップバンドだ。ギターボーカルを務めるケヴィン・バーンズがすべての楽曲を作詞・作曲しており、エレクトロニカ、アフロビート、R&B、ファンクなど多彩なジャンルの要素が混在しているが、2018年の新譜『White Is Relic / Irrealis Mood』はよりシンセ・ポップ色の強いアルバムとなっていた。

 バンドは00年代前半からじわじわと流行、2007年発売の『Hissing Fauna, Are You the Destroyer? 』で大ヒット。30代、40代がリアルにオブモントリオールを聽いていた世代かと思われるが、ライブ場の年齢層は思ったより若かった。上は40代もいるものの、20代後半のファンも多かったように感じる。


 この日のライブは長野のバンドのTANGINGUGUN、ケヴィンがプロデュースする米アトランタ出身のLocate S,1とのスリーマンだったが、会場の多くの人々の目当てはもちろんオブモントリオール。「生で見たかった」とライブに足を運んでいた。

 オブモントリオールの出番になると、会場のボルテージが高まった。口笛が鳴り、英語でのラブコールが飛ぶ。海外アーティストはよく「日本人は静かにじっと音楽を楽しんでくれる人が多く、よく聴いてくれているのだなと思う」などと感想を話すが、この日のオーディエンスはは少なくとも静かではなかった。普段のライブハウスではありえない日本人らしからぬ熱狂ぶりに、初めてオブモントリオールを見に来た人もつられてテンションが上がってしまうだろう。記者のように。

 ギターボーカルのケヴィンは盛り上げるのがとても上手い。ギターをぶら下げて楽しそうに踊りだすケヴィンにつられ、会場全体もダンスしてしまうのだ。筆者もライブにはよく足を運ぶが、こんなに体を揺らしたライブは久しぶりだった。英詩の意味を理解できなくてもその雰囲気に十分浸ることができる。

 電子音の心地よさもその横揺れの雰囲気を助長していた。EDMのような本気のダンスミュージックは苦手、という人でも楽しめる。主張はあるのにうるさすぎない、気持ちいい電子音に、若者から大人まで楽しそうに体を揺らしていた。
仮装なしでも異様な空間ができあがる
「孤高のサイケ集団」と呼ばれるオブモントリオールは、本国アメリカでのライブではドラァグ・クイーンのような仮装で登場し、オーディエンスもまた、バンドと同じく好きな仮装で遊びに来るような自由なライブを繰り広げるのだそう。日本公演ではメイク無しだったが、それでも会場を熱狂させる彼らはまさにエンターテイナーだった。MCもほぼ挟まなかったが、誰もが音楽のみを楽しんでいた。

「アメリカでは、誰かのマネごとは流行らないんだ。唯一無二であることが、アメリカで売れるのに重要なポイントだ。Locate S,1も、オブモントリオールのケヴィンのプロデュースアーティストだけど、オブモントリオールのマネごとは一切していない。まったく違う、でもまた別の良さのあるアーティストだ」と、日本公演の主催プロモーター。自由な個性を尊重する、アメリカらしい文化を感じる。だから、オブモントリオールの音楽はアルバムごとにまったく雰囲気が違う。ジャンルに捕らわれない、自由な音楽を楽しめる。



 CDなんて、ライブの余韻を楽しむためのものーー。そう思ってしまうくらい、オブモントリオールのライブは最高だった。オブモントリオールの良さは、ライブでこそ一番良く感られると思う。活動歴が長く曲数も多い彼らのライブでのセットリストは、その日その時しか聴けないオリジナルなプレイリストだ。深く神秘的なシンセサイザーの電子音に不思議と体が揺れてしまうこの感覚は、例えて言うならーー、行ったことはないがディスコ・クラブの夜のような、熱狂的な魅力がある。

 ライブの良さとは何か、と聞かれた時に、オブモントリオールの場合は圧倒的な一つの理由に集約される。それが「非日常的な空気感」だ。音圧の深いサウンド、何層にも重なったケヴィンの独特なボーカルと圧倒的なカリスマ性、そこに熱狂したファンたちの笑顔とダンスが加わると、そこはもうCDで音楽を聞いている時とはまったく違う、踊りださずにはいられない「非日常空間」になる。

 非日常、という言葉は昨今様々なスポットやモノが流行するためのキーワードになっているように感じる。ただ、さまざまな体験をせずに非日常を感じることはできない。最近よく言われている「モノ消費からコト消費へ」もリアルな体験がもたらす経験の量は見聞きしているだけのそれとはやはり違うということを示している。

 オブモントリオールのように海外のアーティストは日本で見られる機会も少ない。自分のお気に入りのアーティストが来日する時は、ぜひ積極的に足を運んでみてほしい。その日を逃したら、次のチャンスは来年かもしれないし、10年後になってしまうかもしれないのだから。

(取材と文・ミクニシオリ)
写真はすべて SHIHO AKETAGAWA
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