石川佳純が平野美宇に2週連続ストレート勝ち【Tリーグ KA神奈川vs日本生命】

 卓球の「Tリーグ」の「木下アビエル神奈川(KA神奈川)vs日本生命レッドエルフ(日本生命)」(2月9日、神奈川・横浜文化体育館)でKA神奈川がマッチカウント3-1で勝利を収め、勝ち点を47に伸ばした。

第1試合のダブルスに出場した長﨑美柚(左)と杜凱琹(撮影・上岸卓史)

海老名出身の長﨑が無念の敗戦
 女子はこの試合まで、KA神奈川が勝ち点44をあげファイナル進出を決めていた。

 現在2位の日本生命はあと勝ち点1を積み上げればファイナル進出を決めることができたのだが、この日はお預けとなった。

 両チームはこの日まで直接対決では2勝2敗と互角の戦いを続けており、この日の試合はリーグ戦の勝敗はもちろん、”次”を見越した戦いでもある。

 Tリーグの試合は1試合のダブルスと3試合のシングルスで行われ、2-2となった場合はビクトリーマッチという延長戦が行われる。

 第1マッチのダブルスは神奈川が長﨑美柚、杜凱琹という初コンビの2人。対する日本生命は常晨晨、蒋慧という女子ダブルスの個人順位の1位と2位を占める強力コンビ。

 第1ゲーム、日本生命は2点先取されるものの、そこから7ポイント連取して一気に試合の主導権を奪うと、11-6で先取。第2ゲームも序盤KA神奈川が3ポイントを連取したものの、日本生命はじわじわと追い上げ、逆転。2-0で第1マッチを勝利でスタートした。海老名出身の長﨑は地元での勝利は次回にお預けとなった。

長いトンネルに入ってしまった平野美宇(撮影・上岸卓史)

平野「気持ちを切り替えられるように頑張りたい」
 続く第2マッチのシングルスは石川佳純と平野美宇が対戦。2人の名前がコールされると会場は大きく沸いた。

 試合は序盤から石川が平野を翻弄。いきなり7ポイントを連取してペースを握る。第1ゲームを11-6で奪うと、その勢いのまま第2ゲームも11-3で石川。第3ゲームも11-5で制し3-0で石川が勝利を収め、マッチカウントを1-1に戻した。

 平野は1月に行われた全日本卓球選手権の女子シングルス5回戦で木原美悠に敗れて以来、調子が上がらない。

 前回(2月2日)の同カードでもシングルスで石川と対戦し、0-3で敗戦。全日本以降は1ゲームも取れておらず、重度のスランプに陥っている。

 平野は試合後の会見で「今日はいい試合ができなかった。内容が良くなかった。ラリーでもサーブでもミスが全体的に多かった。気持ちがしっかり(試合に)入れていなかったのでそこが一番良くなかった。気持ちを切り替えられるように頑張りたい。先週も自滅が多かった。今日はそういうことがないようにもっといい試合ができると思ったが、思ったよりいい試合ができなかった」などとこの日の試合を振り返った。

 今後については「チームがファイナルに行けるように、自分がチームの力になれるように頑張りたい」と話した。3月のファイナルまでにどれだけ調子を取り戻すことができるのか。

KA神奈川の木原美悠(撮影・上岸卓史)

シングルスで14歳・木原が逆転勝ち
 第3試合のシングルスはKA神奈川の木原と日本生命の蒋が対戦。木原は1月に行われた全日本で史上最年少の14歳で決勝進出を果たし、伊藤美誠に敗れたものの堂々の準優勝を成し遂げた。

 木原は第1ゲーム、力強いスマッシュでポイントを連取する場面も見られたが競り合いの中、8-11で落としてしまう。第2ゲームも序盤は蒋にペースを握られたものの、タイムアウトを境に試合の流れがガラリと変わる。木原は立て続けにポイントを奪い、逆転すると11-6でタイに持ち込んだ。第3ゲームも一進一退の攻防を繰り広げた2人だったが、ここも木原が競り勝ちゲームカウントは2-1。

 王手をかけた第4ゲームは序盤から木原が圧倒。11-6で奪い、3-1で木原が勝利を収め、KA神奈川はマッチポイント2-1で逆転した。

最後のシングルスで勝利を収めたKA神奈川の杜 凱琹(撮影・上岸卓史)

日本生命の村上監督が平野について「今日は救えるようなところはなかった」
 第4試合はKA神奈川の杜と日本生命の森さくらが対戦。

 森は第1ゲーム、パワフルな攻撃を見せ、11-8で先取する。第2ゲームは均衡した得点状況の中、森のスマッシュと杜のレシーブの攻防に会場が大きく沸く。ジュースにもつれ込んだが、杜が12-10で制し、ゲームカウントを1-1に戻した。

 第3ゲームも接戦となったが、常に先手を奪ったのは杜。11-9で杜がゲームカウントを2-1とした。第4ゲームは森が先制したものの、杜がジリジリとポイントを重ね逆転。ここでタイムアウトが入るが、その後も杜が得点を重ね、11-8で奪い、3-1で勝利を収めた。

 KA神奈川は初戦のダブルスこそ落としたものの、残るシングルスを3連勝し日本生命を突き放した。

 試合後の会見で日本生命の村上恭和監督は「今日は早田ひながいないので厳しい試合になるとは思っていたが、その通りになってしまった」と試合を振り返った。そして今後については「もう1勝すること。そしてファイナルを確実にして、しっかり対策練習をしたい」などと語った。この日も精彩を欠いた平野については「調子が良くない。今、苦しんでいる。何かきっかけを作ってあげたいと思っている。今日は残念ながら救えるようなところはなかった。まずサーブのコントロールが良くない。サーブが効いてこそ、初めて自分の卓球ができる。早く自信を取り戻して、自分で組み立てをしっかりしたほうがいい。全日本で木原に負けてから、精神的には良くない。なんとか自分で浮上のきっかけをつかもうとしているが、まだつかめていない」などと話した。

ファンの声援に応える石川佳純(撮影・上岸卓史)

初の神奈川での試合に観衆2360人。石川は「雪が降っていたのに」と感謝
 KA神奈川の石川は試合後の会見で「調子は良かった。調子は先週のほうが良かったかもしれないけど、試合内容は今日のほうが良かった。今日はサーブよりもレシーブが良かった。(平野との対戦は)これだけ短い間隔だと気持ちとしてはやりにくい。でもこういうのは久しぶりだったので、すごく新しい経験だった。1週間前とは違ったプレーができて、それは良かった。1週間の練習が良かったのかと思う。今の課題は出足から変化をつけて守りに入らずにやっていこうということ。それが出だしからできたので、1ゲーム目は全体的に主導権が握れたと思う。今日はチキータが良かった」などと平野との試合を振り返った。

 また開幕以来、地方でのホームゲームが続き、この日は初めての地元・神奈川でのホームゲーム。2360人の観衆が集まったのだが「雪が降っていたので大丈夫かなと思ったが、たくさんの方が来てくれた。必ずいいプレーをしなければと思って、いつも以上に一生懸命準備をして、気合を入れて臨んだ。もちろんいつも気合は入れていますけど(笑)。プレーでお返しできたかなとは思う。これだけの方が応援してくださると流れにも乗れるし、一度流れに乗れば、勢いに乗っていけるのは強み」などと話し笑顔を見せた。

 KA神奈川は10日には同所で日本ペイントマレッツと対戦する。

日本生命の森は先制するも惜しくも敗れる(撮影・上岸卓史)
「木下アビエル神奈川vs日本生命レッドエルフ」(2月9日、神奈川・横浜文化体育館)
〇木下アビエル神奈川(3-1)日本生命レッドエルフ●
◆第1マッチ
●長﨑美柚、杜 凱琹(0-2=6-11、6-11)常 晨晨、蒋 慧〇
◆第2マッチ
〇石川佳純(3-0=11-6、11-3、11-5)平野美宇●
◆第3マッチ
〇木原美悠(3-1=8-11、11-6、11-7、11-6)蒋 慧●
◆第4マッチ
〇杜 凱琹(3-1=8-11、12-10、11-9、11-8)森さくら●