真夏の茶の湯ことはじめ【黒谷友香の友香の素 vol.178】

2017.09.02 Vol.697
 背中を流れる汗が止まらな過ぎなのがおかしくて、一人笑ってしまう。暑い。今日の最高気温は32℃。日傘を差して10分ほど歩いていた時はこんな汗はかいていなかったのが、東京・白金台にある、畠山記念館の空調の効いた涼しい館内に入った途端に、どっと汗が噴き出してきた。  茶の湯の美術館として親しまれている畠山記念館。その一階ロビーで汗が落ち着くのを待ってから、お目当ての『茶の湯ことはじめⅡ』が開催されている二階に上がった。最近、茶道にはまっている私にはぴったりの初心者向けの展覧会。  出店目録を見ると、最初の展示物に重要美術品のマークが! 胸が高鳴る。それは何かというと、京都・宇治でお茶の栽培を始めたと言われる明恵上人筆の掛け軸『夢之記切』。茶の湯の入り口に立つ者が最初に見るにふさわしい逸品。  その先にも貴重な茶道具がズラリと展示されている。その数々の素晴らしい逸品を前にする度、息をのんでいた。お客さんもまあまあ入っていたが、一つ一つじっくり拝見できて良かった。中でも茶室を離れて違う場所でお茶を頂く際に抹茶をたてるのに必要な道具一式を入れた「茶箱」「茶籠」(時代:江戸)には、思わず「ほふぁ〜」と変な感嘆の溜息が漏れた。  なんだかずっと息をのむか、溜息が出るかで過ごしていたのでちょっと一息入れようと、展示室の一角に建てられた茶室「省庵」でお薄を頂けるのでそこで休む。ほの暗い四畳半の茶室に入って畳に座り落ち着くと、不思議とスッと辺りが静まり返った気がして、建物の外から聞こえてくるミンミンミンと鳴く蝉の声が、逆に茶室内の涼やかさや、静けさを感じさせてくれた。  床の間の籠花入には、槿の花が入れられている。どこからか水の音が聞こえてくる。それは茶室の脇に露地が造られており、そこにあったつくばいから流れ落ちる水の音であった。また溜息が出る

「お茶」の魅力、深遠なる淵 ーー黒谷友香の『友香の素』vol.177

2017.07.29 Vol.695
 最近、お茶のお稽古に通うことが楽しみになっている。“茶聖”千利休の生まれた地、大阪・堺は私の生まれ故郷でもあるが、お茶を習い始めたのはここ1年ほどの話なので、今よ〜うやく「お茶」の世界、その魅力の深淵の縁に立ち、そろりそろりとのぞき込もうとしている段階である。  月に1〜2回のお稽古は毎回、勉強になることばかりで刺激に満ちている。朝からお昼前までのお稽古が終わると、自分が整えられたような気がする。普段は閉じられている感のある五感の扉が、お茶を頂くことにすべてを賭けた空間の中で数時間過ごすうちに、本来の感覚を取り戻すような気がしている。茶道は、自然に五感が研ぎ澄まされる仕組みになっているのだと思う。お稽古の時間だけ、扉が開くようではいけないので、最近では自宅でもお薄を点てている。  以前、仕事で出雲に行った際、抹茶を入れたお椀に、ポットから直にお湯を注いで茶筅で点てるという風習があるのを知り随分と驚いた。それまで、堅苦しい作法にばかり目を向けがちだったのが、とらわれないでお茶自体を楽しめば良かったのだと目から鱗が何枚も落ちた。初めて抹茶というモノを買い求め、茶筅や茶杓、お椀も揃えた。まずは形から戦法だ。  お稽古では、お茶を頂く前に和三盆や落雁のような干菓子や、薯蕷饅頭のような主菓子(生菓子)を頂くので、そこも食いしん坊な私はしっかりと倣うのである。有名和菓子処が軒を連ねるデパートの地下食品売り場、和菓子の美しさは見ていると思わずヨダレ、ではなく、ほう〜っと溜息が出てしまう。どのお菓子にしようかとぐるぐる見て周り一番綺麗だなと思った物を買って帰途に着く。夏は暑いので、点てたお薄に氷を浮かべてアイスお薄にし、美しい和菓子と供にゆっくりと頂く。多少、お茶の深淵からズレてはいるが、手始めはその辺りをウロウロとしてみようと思う。

馬とトカゲ。 ーー黒谷友香の『友香の素』vol.175

2017.05.22 Vol.691
 今日は暑くもなく寒くもない穏やかな日。馬のラルフ(26歳)の放牧にも良さそうな日和。今日一緒に放牧をする仲間の馬は、エイト君(28歳)。この2頭で放牧するのは、今日がなんと初めて。さて、どちらがリーダーになるのでしょうか? 放牧してみないと分からないので、エイト君の飼い主さんと一緒に、気を付けてしばし2頭の様子を見ます。お互い最初はふんふんと匂いを嗅ぎ合い、ちょっぴり威嚇もしましたが、それもすぐに終わり、すんなり仲良くなりました。ラルフがちょっと移動すると、その後をエイト君が追いかけていきます。どうやらリーダーはラルフのよう。エイト君は誰かの下になりたい性格だそうなので、エイト君よりちょっと強気?のラルフとは、ばっちり相性が合って、放牧コンビとしてマッチしたので良かったです。ラルフに放牧仲間ができました。  馬のお手入れが終わり、次はガーデニングです。お庭を見ると去年の秋に植えた球根類が咲き出していました。紫色のまあるいボールのような形の花が咲くアリウムや、紫色や黄色の花が咲くダッチアイリスやジャーマンアイリスがちょうど見頃を迎えています。ハーブでは、タイムやセージ、ラベンダーが花を咲かせていて、目を楽しませてくれています。セージは葉っぱを卵と炒めると、セージのあの何ともいえない香りがたって、ホント美味しいんですよね。  これからの季節は植物がさらにぐんぐんと成長するので、鑑賞も収穫も楽しみではありますが、その分、雑草もどんどん生えてくるので、庭のお手入れを小まめにしないといけません。さっき、雑草を根っこからゴソっと引き抜いたら、小ちゃなトカゲちゃんも一緒に土からピョロっと出てきました。土の中で休んでいたところ、いきなり陽の光を浴びてびっくりだったね! ごめんよ。今日はさまざまな動植物から刺激をもらった良い一日でした。

コートとマフラーから、Tシャツへ ーー黒谷友香の『友香の素』vol.174

2017.04.24 Vol.689
 先日、1つのドラマ作品を撮り終えました。真冬の2月中旬にインし、気温氷点下の北海道・苫小牧ロケに始まり、はや2カ月。振り返ってみると、あっという間な感じがしますが、北海道以外にも、さまざまな地方にロケで出掛けて行ったので、それぞれの土地でのいろいろな思い出もできて、そうなってくるとたった2カ月の撮影期間でしたが、意外と長かったような気もします。気が付けば、もう5月に突入ですしね。早いですよね、時が経つのは。もうすぐそこまで、夏が来てます。  今回のドラマは、北は北海道から南は静岡県までのロケだったので、真冬の北海道に行く前にスノーブーツを初めて購入。真冬の雪が降りしきる北海道には行ったことがなかったので、氷点下ってどのくらいの防寒対策が必要?!っと、あれもこれもと準備したことが懐かしいです。撮影のインの日に、真っ白な雪に包まれた住宅街の中で、監督が「撮影が終わる頃には、半袖になっています」とおっしゃったその言葉通り、撮影の後半に、バーベキューをしているシーンの撮影で行った静岡県では、夏のような日差しが降り注ぐ中、スタッフの方々は半袖で動かれていました。私の役の衣装も北海道のコートにマフラー姿から、最終的にはシャツ姿になり、富士山を間近に臨む湖の湖畔のバーベキュー会場でシャツの裾を腕まくって撮影をしていました。  季節の移り変わりとともに、作品の中の季節も変化していった今回の作品でしたが、私の役は、どこに居ようと常に北海道弁を話す役で、富士山の麓でも「〜だべさ」「なした?」(どうした?)などの北海道弁で会話していたので、この2カ月間は北海道弁とお付き合いしていましたね?。一番、そうなの?と意外に思ったアクセントは、「早く」です。はやくの「や」にアクセントがある事。ちょっと関西弁に近いかも。それでは今回はこの辺で「したっけ!」(またね!)

チューリップも咲きました! ーー黒谷友香の『友香の素』vol.173

2017.03.27 Vol.687
 だいぶ暖かくなりました。街行く人の装いも軽やかになり、ウインドーショッピングをしていても色合いがパステルカラーのディスプレイやコーディネートが目立ちます。  私はドラマの撮影で2月、3月と北海道の苫小牧に滞在していたので、毎日ダウンコートに毛糸の帽子を被っていました。2月は寒かった〜。天気予報では当たり前に「氷点下」や「マイナス」という言葉が使われていて、ちょっとした小カルチャーショック(笑)。さすがに3月には、道路脇に雪の山がどーんとあるぐらいで、随分アスファルトが見えてましたが、寒いのでおしゃれじゃなくて本気で毛糸帽を着用、しかも耳が寒すぎるので耳まですっぽりイン! そんな冬でしたので、この暖かさにより有り難みを感じます。お花見シーズンも迫っていて、楽しみですよね!  開花といえば、このコラムでよくお伝えしているチューリップが開花。またまた10センチチューリップ〜! 何種類も植えたうち、その品種のチューリップだけが地面から高さ10センチで咲きました。特に背丈の低い品種という訳ではないはずなのですが。他のチューリップはまだニョキニョキと葉っぱを伸ばしている最中で蕾も見えてません。ですがチューリップとしては一番に咲いて楽しませてくれてるし、ムスカリやクロッカスと混ざっておんなじくらいの背丈で咲いてる姿がなんとも可愛いらしい。他のチューリップは今年はどうなるのかな? 茎が伸びてほしいな。後、楽しみにしているのが、ヒヤシンスです。あの香り、本当に良い香りじゃないですか? 花が咲いたらお部屋に飾って天然アロマを思いっきり楽しみたいです。  今からの季節は緑がイキイキとしてくる、生命力あふれる季節。ガーデニングの魅力は、五感を通して、植物パワーのさまざまな形の恩恵を受けられる事。今年も素敵なガーデンを作っていきたいな。

寒いんだか、暖かいんだか。 ーー黒谷友香の『友香の素』vol.172

2017.02.27 Vol.685
 早いもので、もう2月も後半となりました。この原稿を書いている今日は、春一番が吹いて気温も関東は20度を超えて4月並みの気温を観測。4月って! 桜が咲く気温ですよ。でもまた冬の寒さに戻るそう。寒いんだか暖かいんだか、毎日の寒暖差にびっくりです。  そういえば、私の大事なチューリップ、ヒヤシンス、ムスカリちゃんたちは、この気候に土の中で困ってはいないだろうか…。球根類が育つには冬の寒さにあたることが大事なのです。2016年の3月に咲いたチューリップは、なんと、茎の長さが10センチあまりで、その上に普段と変わらない可憐な花が咲きました。茎と花のバランスがすごいことになってたけど、それも可愛かった。なぜ茎が伸びなかったかというと、球根を植えた2015年の冬が暖冬だったからかと思われます。今年、2017年は茎の長いチューリップが見たいなあ。チューリップの背の高さは、30〜40センチくらい。すでに植えてある他のハーブとのバランスも考えて、チューリップが映えるようにガーデンをデザインしているのだが。高さ10センチくらいのビオラとチューリップの取り合わせが素敵になる寄せ植えのプランターも作ってあるんだけどな。2016年秋に植えた球根は257個。ヒヤシンス、ムスカリも寒さが大事なのです。雪が降ったり20度超えたり、忙しいこの冬だけど、今年はぐんぐん伸びてほしいな!  暖かな日差しの中、チューリップが春の風に揺られてサワサワとそよいでいるのが見たいし、花瓶にガッサリと長い茎がしなった色とりどりのチューリップをたくさん生けて部屋でも春の訪れを楽しみたいし、ガーデンでヒヤシンスのあのうっとりとする香りに包まれたい…。植えた者としては、そんな夢があるのだよ。先日植えた場所をチェックしに行ったら、チューリップの芽が出ていました。今年はどうなるかな、楽しみです。

今年は京都で「暑い」と「寒い」 ーー黒谷友香の『友香の素』vol.164

2016.06.27 Vol.669
 今、ドラマの撮影で京都に来ています。いや〜、梅雨ですから雨が多いし、湿度が高いからか、じっとりと暑いですね〜! これを書いてる今は6月下旬なのですが、本当の京都の暑さはこれからなのでしょう。一雨ざざっと降った後、お天気が回復してくるさなかの、地面から湿気が立ち上ってくるようなモワっと感はすごいです。くせ毛の人は堪りませんよ。すぐにクルクルになりそうです。今は私はかつらをかぶっている(撮影しているのは時代劇)ので、その点心配はありませんが、着物を着ているので暑いは暑いですね。先日の着物での立ち回りでは、さすがに汗が噴き出ましたが、これも夏の京都での撮影の醍醐味とでも言うのでしょうか?!   2月にも撮影で京都に来ていたので、今年は寒いのも暑いのも両方経験したことになります。2月に来た時は、いかに防寒するか! がテーマ(笑)。京都の冬は本当に寒いのです。着物用の防寒グッズをこれでもかと投入したおかげで、風邪も引かずに過ごすことができました。ストール、手袋、ネックウォーマー、着物用のダウンコートなどなど。足元は、裏がネル加工になっている足袋の下に、防寒用の薄い足袋を何枚か履いての足袋の重ね履きをしてました。まるで足袋ミルフィーユです。そこにさらに、レッグウォーマーを履く…。それくらいでちょうど良かったのですが、6月の今は、足袋もすっきりと一枚履き! 日傘はもちろんですが、日焼け防止の手袋をしたり、ロケ現場では氷嚢を持ってたりもします。こまめな水分補給をして、熱中症に気を付けないといけません。こう考えると、寒いのと暑いのでは、どっちが良いのか分かりません(笑)。  あ、そうそう! 今日は美味しいものをロケ先で頂きました。2月に来た時もお土産でいただいたなあ。それは、あぶり餅。これは寒くても、暑くてもいつでも美味しゅうございました。

今、私とってもシアワセ ーー黒谷友香の『友香の素』vol.163

2016.05.23 Vol.667
 今、私とってもシアワセなのです。なぜかというと、シェフは自分ですが、晩ごはんのハーブ料理を堪能したからです! 特にディル。本当に美味しかった〜。以前、自分でハーブガーデンから何種類かのハーブを刈り取ってきてハーバルバス(お風呂にハーブを入れること)をした時に、ディルを入れすぎてしまいお風呂に入ってリラックス…のはずが、香りで食欲が刺激され、お腹がグーグー。早くあがって何か食べたーいっとなってしまったことがありました。そんなディルですが、最高でした。メニューはサーモンスープ。ジャガイモ、セロリ、玉ねぎに、サーモン、ローリエ(これもハーブ)、ディルを煮込む簡単料理ですが、サーモンとの相性抜群。食べるハーブではもしかしたら一番好きかも。秋にまた苗を植えて増やしておかねば! あと、セージのスクランブルエッグも作ってみたら良かったです。実はセージって今まであまり食べてこなかったんですが、あの香りはやみつきになりますね。美味しかったです。  ハーブを育てていると良いことがいっぱいです。ガーデニングはどうしても、ちょこっと日焼けはしちゃうけど、その後のお楽しみがたまりません。香りに味に、心身共に深く癒されていきます。今日はカモミールの花がお茶にするのに調度良い開花状態だったので、食後はカモミールティーをいただきました。レモンバーム、スペアミントをブレンドしたカモミールティーは自然の優しい味わいでホっとします。旬のフレッシュのハーブをふんだんに使えるのもガーデニングの醍醐味かな。でもよく洗わないと、たまにちっちゃな虫ちゃんが残っていて、ヒッとなったりするのでそこは注意です(笑)。  さ〜て、今日はミントとユーカリの爽やかハーバルバスにしようかな。ディルは食べたので、この組み合わせだとお腹も空かないはず。ゆっくり浸かってビューティータイムを満喫したいと思います。

伸び悩みのチューリップ、その後。 ーー黒谷友香の『友香の素』vol.162

2016.04.23 Vol.665
 新緑の季節になってきました〜。お天気に恵まれた日中は、半袖で過ごしても丁度良い感じです。ですが、女子には大敵、“紫外線”がきつくなってくる季節でもあります。私の趣味、ガーデニングもこれからが楽しくなるのですが、何せ日焼けが気になっちゃう! 本当は半袖でいたいのですが、ガーデニングする時は長袖を着て、グローブも帽子もUVカット効果があるのを着用。帽子はつばが広くて首や頬の辺りまで覆う布付きのものを。だから出ているところは目元のみ! 我ながらすごい格好だと思いますが、紫外線をカットするためにはいたしかたないんだなぁ…。  あ、そうそう! 先月お伝えした地面から10センチくらいで花を咲かせてしまった茎の短いチューリップですが、あれからしばらくしたらググッと茎を伸ばし例年サイズにまで成長しました! 一時は心配したチューリップでしたが、2〜3週間の間はばっちり目を楽しませてくれました。もう少しで咲き終わりますが、そんな時にお勧めしたいのが、チューリップのドライフラワーです。茎ごと切ってドライフラワーにする方法もありますが、私は花びらだけを取ってきて、簡単ドライフラワーに。カゴにこんもりと取ってきた色とりどりの花びらを、一枚一枚できるだけ重ならないように置いて、何日か乾燥させたら、好きなオイルを垂らして香りを付けて楽しんだりします。手持ちのポプリに混ぜ込んでみると、ポプリがあら不思議、ちょっと表情が変わって生まれ変わります。そんなふうにいろいろ楽しんでますが、あのシャビー感が好きなんでしょうね。これから次々と咲き始めるラベンダーも簡単にドライフラワーにできます。既にたくさんの蕾が膨らみつつありますが、去年の秋に挿し木したラベンダーの苗にも蕾が付き始めたのでもう少したら、大事に摘み取ってドライフラワーにしたいと思っています。