「緑をつなぐプロジェクト」東急不動産グループ

国際森林年 特別連載vol.1 森林保全に取り組む企業

今年は国際森林年ということで、森林の保全に取り組んでいる企業を紹介する。第一回目は、東急不動産グループの「緑をつなぐプロジェクト」。10月より始動したこのプロジェクトについて、東急不動産経営企画統括部 広報・CSR推進部 環境・CSR推進グループ グループリーダー森下芳行さん(写真左)と同係長松本恵さん(同右)に話を聞いた。

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撮影:蔦野裕

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環境ビジョン

 私たち東急不動産グループは、街作りが主軸の会社ですが、その中にはオフィスビルの賃貸、商業施設の運営、ゴルフ場やスキー場、リゾートホテルの運営などが含まれています。つまり都市においての業務と自然に近い所での業務という幅の広さが、弊社の特徴でもあります。その中で私たちの先輩たちは、環境に配慮した街づくりをやっていて、その歴史を受け継いでいかなければならないという使命もあり、都市と自然をつなぐ、そしてそれを人につなぎ、さらに未来につなげていかなければならないということで、「都市と自然をつなぐ。ひとと未来をつなぐ。」という環境ビジョンを定めました。


森林保全

 環境ビジョンを定めて、実際にどのようにそれを実行していくかということで、まず考えたのは、私たちがやっている事業の中で、環境保全の取り組みを実現していくことが大切だということです。そして、それをお客さまや社会の方々に、ご理解いただき、環境保全につなげようと考えたのが「緑をつなぐプロジェクト」です。 

 環境保全の課題は、CO2の削減、生物多様性保全、水資源保全、省資源、健康配慮の5つと一般的に言われていますので、私たちがこれらの課題に取り組むには、何が一番いいかと考えた時に、森林保全というところに行きつきました。

 森林の保全に取り組めば、CO2の削減にもなりますし、生物の多様性も保全できる。水資源のかん養にもなりますし、木材をリサイクルすることで省資源にもつながります。さらに、そこで健康に配慮した住宅やいろいろなものが作られていく。そういう意味で森林保全に着目したわけです。


“つなぐ”ということ

 具体的には、一般社団法人フォレストック協会の活動をサポートさせていただくことで、森林保全に貢献します。この協会は、きちんと整備保全されている森林に対し、認証を与えている機関で、その認証を受けた森林に協会を通じ、サポートしていくということです。

 しかし、私たちは単純にお金を出すのではなく、最初にお話しした環境ビジョンにつながるような活動にしていくために、まずは私たちと一番接点のあるお客さまと協働して取り組む仕組みを作りました。

 つまりマンションをご購入いただく、リゾート施設を利用していただく、商業施設のカード会員になっていただくことで、お客さまが森林保全に貢献したことになりますというメッセージをお渡しするのです。例えば、マンションをご購入いただいたら、私たちがフォレストック協会を通じて資金提供をし、そのお金を森林保全に役立てていただく。そしてお客さまには、ご購入いただいたマンションの広さと同じ面積の森林を10年間保全したことになりますとお伝えするのです。さらにそこで保全された森林から産出される木材を利用することも検討しており、そうなるとそれを使った住居などをまたお客さまにご提供できる。そうやって、全部がつながるようにしていくことが、大切だと考えました。

 一方通行にならず、お客様、株主様、社会の方々など、私たちと接点のあるみなさんと一緒になってやりましょう。手をつないで、緑をつなぎましょうということですね。今後は、1年間で東京ドーム200個分、1000haの森林保全に貢献していきますというのが、この「緑をつなぐプロジェクト」です。一企業のできることには限界があるかも知れません。だからこそみんながつながって、取り組みましょうというのが、東急不動産グループからの発信です。

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