長島昭久のリアリズム

未来に誇れる日本の底力
 ロンドン・オリンピックにおける日本人選手団の健闘に多くの国民が感動したのは、そこに改めて「日本の底力」を実感したからではないでしょうか。個人記録の更新もさることながら、今大会で特に目立ったのが、なでしこジャパンや水泳陣、バレーボール女子、バドミントン、卓球など「チーム力」における日本の強さでした。

 昨年勃発した東日本大震災にタイの大洪水、円高、原油高に電力不安などが重なり、未曾有の試練に立たされた日本経済ですが、主要な経済指標はむしろ日本経済の底力を如実に示しています。実際、今年第1四半期の実質GDP518.0兆円は、1年足らずで「311」以前の水準(514.7兆円)を回復しました。しかも、深刻な打撃を被った日本の輸出競争力は決して落ちていません。昨年度の輸出65.3兆円は、2005年度の68.3兆円と同水準。その間に、為替レートは1ドル120円から80円、原油価格は1バレル50ドルから100ドルを超える厳しい競争環境の悪化があったにもかかわらずです。さらに、日本企業の海外進出は目覚ましく、貿易収支の悪化を所得収支の拡大でカバーしています。その意味からも、アジア太平洋地域40億の市場を取り込むTPPへの参画は日本の繁栄にとって不可欠です。

 実はGDPで測れるのは、各国の財とサービスの流れにすぎず、本来の国力を示す富の蓄積(資産)ではありません。その点で、今年6月に国連が公表した「各国別のバランスシート」は注目に値します。ここでは、人的資産(human capital:教育水準、技術力等)、物的資産(physical capital:機械、建築、インフラ等)、天然資産(natural capital:森林、化石燃料、鉱物資源等)の三つの視点から、真に豊かな国を明らかにしました。それによると、人的資産で群を抜く日本が「一人あたりの富」で米中を抑えて世界第一位に輝いたのです。しかも、洗練された交通インフラや街づくり、豊かな田園や森林など日本の誇る物的資産、天然資産を加えれば、(GDPで日本を凌ぐ)中国より3倍も豊かなのです。

 天然資産については、日本の周囲に広がる海の恵みをまだ十分に活かし切れていません。国土面積で世界第61位の我が国は、海洋資源を管理する排他的経済水域(EEZ)の面積では第6位となります。広大な海に眠る海底資源には、最近発見された新潟沖のガス油田や小笠原諸島沖海底に堆積するレアアース泥など、日本のみならず世界の経済発展に不可欠な可能性に充ち満ちています。潮力、波力、温度差、洋上風力などEEZを活用し切れば、総発電潜在能力は原発487基分にも上るといわれます。

内閣総理大臣補佐官(外交・安全保障担当)衆議院議員 長島昭久