2020年五輪でレスリングが除外の危機

 国際オリンピック委員会(IOC)は12日、スイスのローザンヌで理事会を開き、昨年のロンドン五輪で実施された26競技のうち2020年夏季五輪で実施される「中核競技」として25競技を選び、レスリングを除外した。

 20年五輪では25競技に加え、16年リオデジャネイロ五輪で新規採用されるゴルフ、ラグビー7人制の実施が確定。復活を目指すレスリングは今後、1競技として採用を求める野球とソフトボールや、空手、スカッシュなど7競技と残り1枠を争うが、IOCは大会活性化のため競技の入れ替えを進める方針で、五輪での存続は厳しい情勢だ。

 採用候補の8競技は5月にロシア・サンクトペテルブルクでのIOC理事会で絞り込まれ、9月にブエノスアイレスで開かれる総会で決まる。

 除外の背景にはロンドン五輪実施26競技の中で、人気面や組織体制で国際オリンピック委員会(IOC)からの評価が低く、さらに五輪の「創始競技」であることで危機感がなかったことも影響したようだ。

 13日に東京都内で記者会見した国際レスリング連盟(FILA)副会長も務める日本協会の福田富昭会長は「根幹のスポーツだという安心感のような気持ちはあったと思う」と語った。

 IOCは理事会が20年五輪の中核競技からレスリングを外した理由を説明していないだけに、福田会長はIOCに対し「明確な理由を示していない。(IOCが)持っている数字(評価のデータ)も果たして正しいのか疑問がある」と不満を表明した。