リン・チーリン あの名作が上海で復活!『101回目のプロポーズ 〜SAY YES〜』

SPECIAL INTERVIEW
「僕は死にません!」の流行語を生んだ日本の大ヒットドラマが、上海を舞台に新たなラブストーリーとしてよみがえる。『レッドクリフ』シリーズなどで日本でも人気の美しき演技派女優リン・チーリンが、オリジナルで浅野温子が演じた矢吹薫にあたる葉薫(イエ・シュン)役で新鮮なヒロイン像を生み出した!
リン・チーリン(撮影:蔦野裕)
「本作のオリジナルとなったオリジナルの『101回目のプロポーズ』は何度も見ました。高校生のころも見ていたし、大学に入ってからも見ましたし、今回の撮影前にも改めて見直したりしました」と、微笑むリン・チーリン。超大作映画『レッドクリフ』シリーズや、木村拓哉主演のドラマ『月の恋人〜Moon Lovers〜』などで、その女神のような美しさに魅了された日本のファンも多いはず。
「オリジナルが放送されたとき私は高校生でした。実はとても内気な女の子だったんですけど、他の子同様、私も日本のトレンディードラマを見るのが大好きでしたね。最初に見たときには衝撃を受けて夢中になって見ていましたけど、まさかこういう形でかかわることができるなんて、思いもしませんでした。本当に、内気で恥ずかしがり屋で、少しおっちょこちょいな子でした(笑)」

 サエない中年男が心に傷を持つ美女に恋をし、しだいに彼女の心をつかんでいくというオリジナルの基本設定を生かしながら、現代でも共感できる物語に仕上がった本作は、すでに公開された中国でも大ヒットを記録した。武田鉄矢が演じた星野達郎にあたるホアン・ダー役の人気俳優ホアン・ボーとリン・チーリンは、まさに“達郎”と“薫”。

「オリジナルは22年前に撮影されましたが、あれから時が経って人も社会も大きく変わりました。当時は、男性から女性に思いを告げるのが当たり前でしたけど、今の中国社会では女性もどんどん積極的になってきています。それを反映して今回の映画は、まったく環境の違う生き方をしてきた2人がそれぞれに壁を乗り越え、真の愛をつかむという物語になっています。そういった現代の風潮が反映されているところも、共感を得た理由の1つじゃないかなと思います。実は、ラストのほうでイエ・シュンのほうからプロポーズをするというのは、私のアイデアなんです(笑)。アイデアを出した時、監督とホアン・ボーさんも、ちょっとびっくりしていたみたいですけど(笑)。ホアン・ダーこそが自分の求めている相手だとはっきり気づいたイエ・シュンが自分の思いを伝えることは、とても自然だと思ったんです。今回の映画は、まったく環境の違う生き方をしてきた2人が、互いに努力で壁を乗り越えて、結ばれるという愛の物語になっています」

 互いに認め合っていく過程を、息ぴったりの演技で見せる。

「現場ではたくさん面白いことがありました(笑)。物語の中で、イエ・シュンの車にホアン・ダーが手帳を忘れるというシーンがあるんですが、その手帳は実際にホアン・ボーさんが使っていたものなんでよ。彼がしょっちゅうその手帳を持っていたので何だろうと思ったら、実は彼が、武田鉄矢さんと日本語でコミュニケーションをとりたいと、自分で密かに日本語のあいさつなどを中国語読みでメモしていた手帳だったんです。なんだかすごくカワイくて映画の中で使うことになったんですよ(笑)」

 そう、実は本作には現在の達郎役で武田鉄矢が出演している。

「撮影の日、武田さんが現場に現れた瞬間に、その場の空気が変わったのをよく覚えています。一瞬でスタッフや俳優の気が引き締まって活発になって(笑)。一緒に過ごすことができたのは短い時間でしたが、武田さんのおかげで、その場にいた全員がひとつになることができました。劇中、星野さんがスカーフを使ってイエ・シュンとホアン・ダーを近づけるというシーンがあるんですが、実はそのアイデアは武田さんが、撮影に向かう途中の成田空港で思いついたんだそうです。それで、成田であのスカーフを買ってきたんですって(笑)。それを聞いて改めてすごい方だと思いましたね」

 本作は自分の女優のキャリアのなかでも大切な作品になったと語る。

「この作品について、周囲からも多くの反響をもらいました。結婚している友人は、かつて自分たちがどのように恋愛をして相手に思いを捧げてきたのか思い出すことができたと言ってくれました。主人公たちが一途に相手に向き合うシーンに、勇気づけられたと言ってくれる人もいましたね。結婚相手の条件を一番に考える人が多いですけど、それがすべてではありませんよね。自分自身の心の声に耳を傾けることが大事なんだと思います。この映画は、そんな思いが詰まっているロマンティックコメディーです」

 日本の方に受け入れてもらえるかプレッシャーを感じるけれど気に入ってもらえたら本当にうれしいと語る。この笑顔を見たらどんな壁や違いも乗り越えたくなる。
(本紙・秋吉布由子)
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『101回目のプロポーズ 〜SAY YES〜』
監督:レスト・チェン 出演:リン・チーリン、ホアン・ボー他/1時間46分/ポニーキャニオン配給/10月19日より角川シネマ新宿他にて公開。http://www.101propose.jp/http://www.101propose.jp/