捜査一課の凸凹コンビ、再び登場!

『神様の値段 戦力外捜査官2』似鳥鶏

『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』につづく戦力外シリーズの第二弾。

 警視庁捜査一課火災犯捜査二係所属の海月千波はキャリア組の警部。肩書きは切れ者の女性刑事のようだが実際は、「警察官としての現場の仕事の能力は “素人の平均よりさらにだいぶ下”」で、「本当に大卒かと疑わしくなる童顔の上に身長は明らかに百五十センチ未満」の見た目。加えてメガネっ子で、「方向音痴で天然ボケ、ついでに運動神経は皆無で車の運転も破滅的に下手」だというまさに戦力外の捜査員なのだ。そんなドジっ娘メガネ警部が、取り柄である超一流の推理能力とやる気だけで、お守り役の刑事・設楽恭介と事件に果敢に挑んでいく。

 あるカルト教団が“ハルマゲドン”をたくらんでいるという話を聞いた2人は、公安と手を組み独自に捜査を進めていくが、その中で設楽刑事の妹にカルト教団の魔の手が伸びていることがわかり…。

 本格警察小説でありながら脱力して笑えるキャラクター設定、スピード感のあるストーリー展開、時にホロリとさせる心情描写がぐいぐい読ませるエンターテインメント娯楽作。



『神様の値段 戦力外捜査官2』 【著者】似鳥鶏【定価】本体1400円(税別)【発行】河出書房新社