東京から日本を元気に! TOKYO MOVE UP! Special Interview 石破茂自民党幹事長に聞く

2020年東京五輪決定でテロの可能性は!?

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したことにより、日本、特に東京ではテロ対策の必要性が高まっています。今後の対策、都民レベルではどのようなことに気を付けなければいけないでしょう。

「第一義的には警視庁が対応しますが、スポーツの祭典そのものがテロの標的となりうる、という点でも、1964年の東京オリンピックの時とは事情が違うでしょう。現時点では、警視庁は警察官だけで約2万1000人、民間ボランティアを入れて約3万人という規模の警備計画を組んでいるということですが、先般のソチオリンピックでは約7万人体制だったといわれていますし、ソチに限らずアテネ、北京、ロンドンにおいても、当然、軍隊が投入されたわけです。地対空ミサイルなども配備し、あらゆる事態に備えた上で、結果としてどこも平穏に乗り切ることができました。ですから、まず警視庁が周辺の県警などの応援も受けつつ警備体制を構築した上で、自衛隊をどのように活用するかという議論は必要でしょう。自衛隊は確固たる法的根拠に基づいて周到な準備の上で手続きを踏まなければ適切に展開できませんから、その役割は事前に一つの可能性として考えておくべきものだと思います。また、高度に発達した公共交通機関も十分テロの標的になりうるものです。現在の渋谷駅などは、地下何十メートルにもなりますが、これも1964年には考えられなかったことです。例えば、地下鉄サリン事件の教訓が、本当にすべての地下鉄の駅で生かされているのだろうか、といった検証は必要でしょう。『平和の祭典』なのですから、できるだけ物々しい警備や市民生活に支障が出るといった事態は避けたいところですが、都民の方々には、治安を維持するために多少の不便を我慢していただかなければいけない場面は出てくると思います。私は2003年にイラクに自衛隊を派遣した時の防衛庁長官でしたが、あの時はみなさん、かなりテロを警戒しましたよね。公共交通機関の駅などからゴミ箱が撤去されたりして、“不便だ~”という声も聞かれました。でも、例えばニューヨークのゴミ箱はものすごく頑丈に作ってあって、そこに爆発物を仕掛けてもゴミ箱の中で爆発するだけで飛び散ったりしないそうなんです。ところが日本のゴミ箱は、むしろ「内容物が見えやすいように」という理由で透明プラスチックの窓があったりして、とても脆弱です。もし中に爆発物が仕掛けられたら周り全部吹っ飛んでしまう。あるいはコインロッカーも、爆発物が仕掛けられる確率が高いと言われているのですが、日本ではまだ利便性の高い通路や改札口そばにありますよね。安全を考えれば、多少不便でも、人々が多く集まる所から離れた所に置かなければいけないということになります。このように、想定されるあらゆる事象に対して、治安の維持、多くの生命・財産を守るということを最優先にしていろいろな計画を進める必要があると思います。そうすると、都民のみなさんにはある程度の不便をかけてしまいます。それはきちんとご説明し、納得していただかなければならないと思っています」
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