お前の人生も、破滅させてやる!『「ストーカー」は何を考えているか』

 著者は、ストーカー問題をはじめDVなど、あらゆるハラスメント相談に対処するNPO法人「ヒューマニティ」の理事長で、これまで500人以上のストーキング加害者と向き合ってきた専門カウンセラー。ストーカーの心理と行動、思考パターン、危険度、実践的対応をこれまで手がけた事例とともに説明する。ストーカーをめぐるトラブルは年間2万件も起きているというが、殺人という最悪のケースに至るケースは後を絶たない。難しいのは、ストーカーは決して一括りには考えられないこと。人格も被害者と加害者の関係性も違うので、正解と言える対処法がない。また警察の対応もまちまちだ。厳しく対応しているところもあれば、民事不介入とばかりに逃げ腰のところもある。さらに、いったん収まったかに見える加害者の怒りや憎しみが、いつ何時牙を向いて襲って来るか分からないので、長期間にわたる緊張で、被害者のほうが精神的にボロボロになるケースも多い。同書では、具体的な対策や警察以外の民間相談所のこと、加害者をカウンセリングする必要性を説く。誰もが当事者になりうる問題だが、その闇は深い。



【著者】小早川明子【定価】本体720円(税別)【発行】新潮社