聖職者か、それとも稀代の犯罪者か–読後感強烈ミステリー!!

『神様の裏の顔』著者:藤崎翔

 第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作。選考委員の満場一致で受賞が決まったという同書の著者は、元お笑い芸人ということで、深刻な事件を語る文章の中に、思わずクスッと笑ってしまうユーモアがある。オープニングはお葬式の場面。68歳で突然亡くなった坪井誠造は、教育者としてその人生のすべてを捧げた人物。生徒や同僚の先生ばかりか、近所の人や退職後、経営していたアパートの店子にまで“神様のような人”と慕われていた。それを象徴するように、葬儀には大勢の弔問客が訪れ、故人の死を心の底から悼んでいた。葬儀には喪主である娘の晴美、坪井と喧嘩ばかりしていた次女の友美、後輩教師で教育方針をめぐって対立していたものの内心では坪井を慕っていた根岸、元教え子の斉木、不登校の過去を持つ元教え子の茉希、近所に住む広子、アパートの住人でお笑い芸人の寺島らが参列。それぞれが坪井との思い出を懐かしみながら、涙を流している。しかし、寺島のあるつぶやきがきっかけで、お互いが話を始めると、話は段々妙な方向へ転がっていく。針の穴ほどの疑問が、皆の告白で拡大していき、坪井の隠された犯罪の数々が暴かれ…。神様みたいな坪井の恐ろしい「裏の顔」とは!? 参列者の告白がつながっていくハラハラ感と、笑いと謎がほどよく散りばめられたテンポよく読める文章が、一気にラストまで読ませる新感覚ミステリーだ。その驚愕のラストには、想像もつかない結末が!



【定価】本体1500円(税別)【発行】KADOKAWA