格闘家イケメンファイル Vol.24 戦慄のヒザ爆弾 中島弘貴(なかじまひろき)

撮影・神谷渚

 リングを降りると穏やかでちょっと天然(?)といわれている中島。今年の1月から開催されたKrushー70kgの王者を決める「第3代Krushー70kg級王座決定トーナメント」では、 2月に元同門の松倉信太郎を判定で下し、4月に行われた決勝へ出場。前回負けを喫した山崎陽一と対戦。判定の末、勝利を収め念願のー70kg級のベルトを手にした。

「相手の山崎選手には一度負けていますし、今回の試合の前に3連続KOをしていて、乗っている選手だったので、最後まで気を抜けない試合でした。パンチもすごく強かったし、一発で試合をひっくり返されるというのがあったので、かなり神経を使いました。でも自分の動きがきちんとできて、ベストの力が出せれば絶対勝てると思っていたので、相手がどうとかより、自分のベストを出そうという気持ちで対戦していましたね。しかし、絶対に勝たなければいけない試合だったので、勝てたのは良かったんですけど、試合内容に関しては自分的には納得していません。盛り上がらなかったわけではありませんが、もっといい試合ができたと思う。もっといい試合をして、KOで倒して盛り上がる試合をしたかった。僕は常にそういう選手を目指しています」

 結果だけに満足するわけではなく、試合内容にも自分のスタイルを求める中島。格闘技との出会いは高校時代。

「小学校から中学校まで野球をやっていたんですけど、中1の時にもうプロ野球選手にはなれないぞと気が付いて(笑)。高校に行っても野球を続けようかと悩んでいた時に、夜中にテレビで格闘技を見て、自分もやりたいなと思いました。格闘技は自分が頑張れば上に行けますし、当時はPRIDEが大好きで、ヴァンダレイ・シウバを見て、“コレだ!”って思い、格闘技ジムに入りました。最初のジムに高校1年で入って、高校3年でプロになったんですけど、4戦したところでジムが閉鎖になってしまったんです。理由? 練習がキツすぎて、人が来なくなって潰れちゃった。そこから1年間ぐらいいろいろな所を転々としながら、練習を続け、現在のジムに入ることになりました」

 格闘技にストイックな中島だが、プライベートでは意外な一面も。

「趣味は…最近スケボーを始めたんですけど、まだ2回しかやったことないので、趣味とは言えないし(笑)。まあ、甘いものを食べに行ったりするのが趣味みたいなものですね。今日もジムに行く前にアイスを食べて、帰りにもアイス屋さんがあったので、食べちゃいました。バニラにはちみつがかかっているやつ(笑)」

 4月の試合の勝利会見で、「K-1 WORLD GP 2015〜ー70kg初代王座決定トーナメント〜」への出場を猛アピールした中島。その結果、7月4日(土)に開催される同大会への出場が決定。

「そうですね。アピールはしていましたけど、自分の中では2月と4月に勝てれば出られると信じていましたので。むしろ2月に勝った時点で、7月のK-1に出て優勝するという目標を立ててやってきました。ワンデートーナメントですが、1回戦から全力で倒しに行く。Krushのー70kg級のチャンピオンにもなりましたし、K-1でも優勝して、ー70kgといえば、その中心にいるのは自分だという時代にしたい。ー70kgは多分世界でも一番層の厚い階級だと思いますし、その中心に自分がいたい。そしてもっとK-1もメジャーになってほしいし、そのためにもっといい試合をして盛り上げていかなければいけないと思っています。K-1 MAXのときは電車に乗っていると気づいてくれる人がいたんですけど、今は全然気づかれない(笑)。ですからもっと強くなってもっと有名になりたいですね」

 まずは7月の試合に勝利することと語る中島。将来の夢は。

「自分のジムを建てて、チャンピオンを育てたい。自分が格闘技を始めたジムの先生がブラジル人なんですけど、すごくいい先生だったんです。もうブラジルに帰ってしまったけど、その先生のようになりたいと思っています」

1988年7月5日生まれ、東京都八王子市出身。2006年、シュートボクシングでプロデビュー。デビュー以来10連勝の記録を持つ。2007年、所属ジム閉鎖のため、現在のジムに移籍。Krush ー70kg Tournament 2009 王者。K-1 WORLD MAX 2010日本トーナメント準優勝。今年4月に行われた第3代Krushー70kg王座決定トーナメントの決勝戦で山崎陽一と対戦。延長判定の末勝利。第3代Krush ー70kg級王座を獲得 。バンゲリングベイ・スピリット所属。