トレンド「ビーン・トゥ・バー」の楽しみ方を伝授!

― チョコレートアドバイザー・齊藤奈津子
齊藤奈津子(イタリア料理研究家/チョコレートアドバイザー)料理教室〈イタリア料理教室180℃〉開催中  http://cucina180.com/

— 近年、注目された背景
 多くのチョコレート製品は、製菓用クーベルチュールというすでにチョコレートとして加工されている物を原料としています。それに対しカカオもワインやコーヒーと同じ農作物という視点から、収穫から製造までの全行程を作り手が一貫して行うという動きが広まりつつあります。bean to bar(豆から板)の動きは以前からあったものの、2005年ごろから活発になり2007年NYのブランド「マスト・ブラザーズ」が世界的に大ヒットし、日本でも注目されるようになりました。

— been to bar の楽しみ方
 シンプルに“産地”を味わうのが基本的な楽しみ方です。“ベネズエラ産トリニタリオ種カカオ70%”といったように、シングルオリジン(単一の生産地から1種類のチョコレート)を味わいます。含有量の違いや、砂糖入り・無しで食べ比べてみても面白いでしょう。

— 産地による特徴の違い
 ガーナやコートジボワールなど、アフリカで作られるカカオは、チョコ独特の苦み(タンニン)もあって力強い味わい。ベネズエラはナッツっぽく、酸味もありまろやかな特徴。エクアドルは、固有の希少なカカオ「ナシオナル」などを栽培しており、ジャスミンや花のブーケ、蜂蜜のような香りと味わいが特徴的です。希少なカカオなどと出会ったら、買ってみると良いでしょう。

— テイスティング法&チェックポイント
 まず、水などで口の中の余分な味を取り除きます。ちなみにテイスティングの際、チョコレートとコーヒーは、お互いのフレーバーを消してしまうため一緒には味合わないほうが良いでしょう。目で見て(色ツヤをチェック)音を聞いて(耳元で割ってみてパキッと音がすれば適切にテンパリングされている)、香りを嗅いで(産地の違いをチェック)、味わいます。味わうときは舌の上に乗せ、どのように溶けるかを確認。カカオバターが入っているとゆっくり溶けていきます。そして甘み、酸味、苦み、塩味などを感じましょう。

— 海外のチョコレート食文化
 かつてチョコレートは飲み物として楽しまれていて、今もスペインを始めイタリアなどヨーロッパ各地ではホットチョコレートを一般的に飲む習慣があります。ミルクや砂糖の他、お酒やスパイスを入れるなど、国によって特徴があります。