4・10「Krush.65」山本優弥 引退特別インタビュー前編「どの試合もすべて全力で、これで終わっていいと思ってやってきた。すべての試合が僕の色です」

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 4月10日(日)東京・後楽園ホールで開催される「Krush.65」で引退セレモニーを行う山本優弥の特別インタビュー・前編を公開。

――2月10日に現役引退を発表して約2カ月。周囲の反応・反響はいかがでしたか?
「周りからは『寂しい』や『もっと見たい』と言ってもらえることが多いのですが、僕としてはあんまり“選手”という意識がなかったので、引退を発表してからもそんなに変わることはなかったですね。僕はキックボクシングが好きでやっているので、選手として試合をしようがしまいが同じなんですよね。この間(3・20「Krush.64」)の寺戸(伸近)君のセコンドについたように、ああいう役目の方が自分には向いているのかなと思います」

――ずっとキックボクシングをやっていて、選手というものにピリオドを打つだけ、という感覚ですか?
「はい。これからも練習は続けるし、体型が変わるつもりもないです(笑)。もともと僕は指導者になりたくて、その過程に選手があっただけなんで、引退しても僕は変わらないですね」

――ふとした時に自分のキャリアや過去を振り返ることはありますか?
「僕はあんまり過去を振り返らないんですよね…なんかカッコつけた言い方になっちゃいますけど(笑)。こうやって取材を受けたりすれば、あの時はああだった、こうだったと話せるんですけど。ただ一つ言えるのはいつもその時々で一生懸命やっていたということです。周りからは『あの試合とあの試合じゃ気合の入れ方が違う』と言われることもありますけど、僕はそれを認めたことがないです。どの試合もすべて全力でやったし、これで終わりになってもいいと思ってやってきたんで、僕自身が印象深いと思う試合は…ないですね」

――ある意味、全試合がベストバウトですか?
「あの人だったらこう言うだろうな。この人はあの試合が好きだろうな。と、思うことはあっても、自分の感情でどうこう選ぶということはないです。すぐ倒した試合も好きだし、すぐ倒された試合も好きだし、会場がすごく盛り上がった試合も好きだし、ダラダラやってブーイングも浴びた試合も好きだし…すべての試合が僕の色になっていると思います」

――優弥選手は格闘技を始めたころからそういった感覚なのですか?
「昔からそうですね。僕は先生が厳しかったんで、練習がすごくきつかったんです。でも僕は先生になりたかったんで、ちゃんと練習していたんですけど。それで試合が近づくと試合のための調整だったり計量だったりで練習が休みになるじゃないですか。それが本当にうれしくて(笑)」

――練習よりも試合をやる方が楽なんですね。
「はい。試合は3分3Rくらいやって終わりですからね(笑)。だから僕は練習よりも試合のほうが好きでした」

――では周りから『この試合が好き』と言われることが多いのは誰と戦った試合ですか?
「やっぱりドラゴとやった試合(2009年7月、K-1MAX)ですね。あの試合は地上波でも放送してもらえたし、色んな人から『あの試合は何回も見たよ』や『元気がない時にはあの試合を見る』と言ってもらえることが多いです。僕自身はただ好きなことを一生懸命やっているだけで、リングで戦おうが草むらで戦おうが、どこでやっても同じなんですけど、人に見てもらうことって、こんなに大事なんだなと思いましたね。自分の試合が見てくれた人の役に立っているというか。ちょうどあのくらいから、それが自分の生きがいになっていきましたよね。K-1MAXに出ていた2009~2010年は自分にとっても転機でしたね」
※後編へ続く  https://www.tokyoheadline.com/?p=166472