山田孝之 × 本郷奏多【SPECIAL INTERVIEW】

映画第3作『闇金ウシジマくん Part3』公開! 続く第4作でついにファイナルへ!

 2010年に始まったテレビドラマ『闇金ウシジマくん Season1』から6年。山田孝之主演で絶大な人気を博すドラマシリーズがついにファイナルへのカウントダウン! 待望の映画第3作『Part3』で、山田演じる非合法な悪徳金融屋・ウシジマと出会う青年役には『進撃の巨人』など活躍目覚ましい本郷奏多。人生の一発逆転を狙う青年がハマっていく狂気のマネーゲームの行方は…。気になる最新作を山田&本郷が語る!

山田孝之 ヘアメイク・灯(ROOSTER) スタイリスト・澤田石 和寛(SEPT) 本郷奏多 ヘアメイク・高橋幸一 スタイリスト・川地大介 撮影・蔦野裕

“目がヤバい”2人の共演!

 映画『Part3』で、ウシジマの新たな債務者となるのが“勝ち組”を目指しネットビジネスの深みにハマっていく青年・沢村真司。本エピソードのキーマン役で初参加した本郷奏多もシリーズの大ファン。

本郷奏多(以下:本郷)「もともと原作も読んでいましたし、映画も見ていて大好きな作品だったので、参加できて本当にうれしかったです。最初に現場で山田さんたちを見たときは“あっ、ホンモノがいる!”と思いましたね(笑)。これまでの作品には、すごく強烈なキャラクターがたくさん出てきましたが、今回僕が演じた沢村真司は、わりとどこにでもいるような、ありふれた青年。なので役作りに関しても改めて何か特別な作業をして役に入るということはありませんでした。むしろ特別なものが何もないのが、真司というキャラクターだったんだと思います」

 マネーゲームのコツに気付いた真司は、カリスマ的なネット長者・天生翔に翻弄され、ウシジマにおびえながらも、一歩一歩のし上がっていくが…。

本郷「たぶん真司は自分がだまされたとも、人をだましているという意識もなかったんじゃないかな。根はすごく良い奴なんだと思うんです。それを一つの軸として真司を演じていました。そしてそれが、これまで登場した債務者たちとはまた違うラストにつながった理由じゃないかな、と思います」

 ウシジマ役の山田孝之も、そんな本郷の演技に太鼓判。

山田孝之(以下:山田)「本郷くんは『進撃の巨人』とか『鋼の錬金術師』(2017年公開予定)とか、人気原作の作品に出まくりだよね」
本郷「『ウシジマくん』も加えさせていただきます(笑)」
山田「本当に漫画のキャラクターにいそうなんだよね(笑)。『GANTZ』で初めて対面したとき“やべえ、西くんだ!”と思ったし。キャラクターを自分の中にきちんと落とし込んでいて、すごく良かった。綾野剛と一緒に試写を見たんですけど、2人して“西くんがヤバいね、いいね”と盛り上がっていました。今回のような役でも、本郷くんだったらできるという安心感がありましたね。爆発する瞬間の表情もイメージできる。すごくヤバい目をするでしょ(笑)」
本郷「身に余るお言葉です(笑)。でもウシジマの目のほうがヤバいですよ」
山田「僕は作っているだけだから。本郷くんはマジにヤバいでしょ」
本郷「いえ、僕はありふれた人間なので(笑)」

 と冗談を返す本郷だが、山田へのリスペクトを熱く語る。

本郷「山田さんは、僕が本当に尊敬する俳優さんのお1人。もちろんずっと前から存じ上げていますし、本当に幅の広い芝居をする方だと思っています。ウシジマくんや勇者ヨシヒコのような振り切った芝居をしてもかっこよくて。かっこいい役を演じてかっこいいのではなく、そうではないものを演じてかっこいい人というのは、あまりいないと思うんです」
山田「そこは企業秘密なので。あまりバラさないように(笑)」

 ドラマ第1期から6年という長い期間、山田がウシジマを演じ続けた理由とは。

山田「最初にドラマが始まったとき、ウシジマという役をいま一つ、つかめずにいたんです。監督と一緒に何とか役を作っていきましたが、それでも自分としては、まだつかみ切れていないなという思いがありました。また、原作は人気がありますが、ドラマは深夜帯ということもあってか世間的にそれほど広くは認知されていなかった。そもそも僕がウシジマをやろうと思ったのは、この作品を通して多くの人に大事なことを伝えることができるんじゃないかと考えたからだったので、そのためにも、もっと多くの人に作品を見てもらいたいという気持ちがありました。ウシジマくんというキャラクターを磨き上げていくためにも、作品を広めていくためにも、何回か回を重ねていく必要があるということで、続けてきたんです」

撮影・蔦野裕

“ファイナル”は山田が提案

 今回、ドラマシリーズに続き映画『Part3』そして『ザ・ファイナル』の連続公開を区切りにシリーズの幕を下ろすことになる。実はこれは山田からの提案が契機になったという。

山田「ウシジマの役作りに関しては、もうこれ以上やることが無いというところまで持っていきたかった。中途半端で終わらせたくなかったので、回を重ねながら磨いてきました。映画『Part2』が終わったときにやっと、ウシジマ役を突き詰めるところまで来たと感じることができました。ウシジマは、僕が演じてきた役の中で“ウシジマとそれ以外”に分けられるくらい特殊な役。人物像としても、人間というより昆虫のような感じ。昆虫や機械を演じるような感覚で演じています。通常のキャラクターだと、相手が感情をぶつけてきたら、それに対してどう返すかということも人物を表現する手段の一つになるけど、ウシジマの場合は誰と対峙しても何が起こっても常に同じ。それって他の役ではあり得ないんです。常に同じだからこそ、目線のそらし方だったり、顔の角度だったり、本当に細かいところで表現するという面白さがある。姿勢や、まばたきのタイミングまで決めてあります。疲れてきたり、お昼休憩をはさんだりすると微妙にブレてしまうこともあるんですけど(笑)。無数に“ルール”があるので、すべてのカットで完璧に演じられるようになるまで、やはり回数がかかりましたね」

 不変、不動のキャラクター。しかし6年のうちに、その存在感は絶対的なものになった。

山田「毎回、ウシジマをやるとなると、ひと月近くヒゲを全体的に伸ばしておくんです。で、撮影に入る直前にヒゲを整え、髪を短髪にするんですが、その途端に“またウシジマくんをやるの?”と、いろんな人に言われるんですよ。ということは、それだけ広まったということか、と。役を完成させることと、作品を広めること。当初の目標をある程度、達成できたので区切りをつけよう、と思いました。それに、ウシジマ役のために最低でもひと月はヒゲを伸ばす期間が必要なので、この作品をやっている間は他の仕事ができないんです(笑)。シリーズが続く間、定期的に短髪にしないといけないとなると、他の作品の役作りで少し髪形 で遊びたいと思っても難しくなりますしね」

ダークサイドのリアルに迫る

 山田が磨き上げたウシジマが生きる世界を鮮烈に描写し続けた山口雅俊監督にも絶賛が集まっている。俳優たちにとって山口監督とは?

本郷「僕は、監督から役について言われたことはあまり無かったんです。それは監督のスタイルなんだろうと思うんですけど。ただ印象的だったのが、僕にはよく分からない部分に、こだわりを感じるというか(笑)。スナックの店内の背景に“おでん始めました”という張り紙があったんですけど、監督がそれを見て“おでん、じゃないな。何にしようかな”と10分ほど考えて“湯豆腐始めました”に変えられたんです。僕にはよく分かりませんでしたが(笑)、その10分の間、監督の中でいろいろな議論が交わされていたんでしょうね」
山田「僕もいまだに山口監督が何を考えているのか分からないですよ。ドラマ『ロング・ラブレター~漂流教室~』でオファーを頂いたころからなので、けっこう長い付き合いなんですけど。本当に頭のいい人って何を考えているかよく分からないじゃないですか。あまり仕事の現場以外でお会いしたことも無いですしね。まあ山口監督の普段とか、あまり知りたくないですけど。セレブパーティーにも行っているらしいですよ。リサーチのために(笑)。過去作品で、シャンパンを一気飲みしたら出資する、というエピソードがありましたけど、そういうことをしている場はリアルにあるんですね。どんな人がいて、どんな服を着ているかということも、監督のリアルさへのこだわりが反映されている部分だと思います」

 セレブの世界からアンダーグラウンドまで、ロケにこだわり東京のリアルな表情を映し出しているのも本作の特徴。ちなみに 2人の目に映る東京とは…?

本郷「東京の好きなところは…何かしたいと思ったら大抵のことがすぐにできるところ。苦手なところは人がいっぱいいること。基本的にインドア派なので街を出歩くことはほとんど無いんですけどね(笑)」
山田「僕は鹿児島で育ったんですけど、今では人生の半分以上を東京で暮らしていて、もう好き嫌いは関係ないというか。ただ、東京は強く意志を持っていないと生きていくのが難しい場所だとは思いますね。地元の知人が東京に出てきても、すぐ帰ってしまう人がけっこういるんです。地元にいれば家族や友人もいて居場所もあるけど、東京は何かと複雑だしスピードも速いし、何か目標を持っていないと踏ん張れない場所だと思う。でも、だからこその良さもありますからね。先日、地方の山奥でひと月ほどロケをしていましたが、自分がすっかり東京に慣れ親しんでいることに、改めて気づかされました。数日いただけで、人ごみや車の音がなんか恋しくて(笑)」

 東京の光と闇、表と裏で繰り広げられる怒涛のマネーゲーム。その渦中に飛び込んだ真司を待つのは、勝ち組の栄光か、それとも…。

山田「撮影、多少は楽しめた?」
本郷「本当に楽しませていただきました。作品自体、文句なしに面白いですし、山田さんたちとご一緒できたことも楽しかったです」

 撮影を終えて、お酒を酌み交わしながら役者として語り合いたいこともありそうな2人。

本郷「演技についてとか、2人だけのときに聞きたいこともあるので(笑)ぜひ連れて行っていただきたいです」
山田「うそつけ。出歩くの嫌いなくせに(笑)」(THL・秋吉布由子)

c2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会 
『闇金ウシジマくん Part3』

監督:山口雅俊 出演:山田孝之、綾野剛、本郷奏多、白石麻衣、筧美和子、最上もが、マキタスポーツ、藤森慎吾、浜野謙太、 高橋メアリージュン、崎本大海、やべきょうすけ他/2時間11分/S・D・P配給/9月22日(木・祝)より全国公開

c2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」製作委員会
『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』

監督:山口雅俊 出演:山田孝之、綾野剛、永山絢斗、真飛聖 間宮祥太朗、YOUNG DSIS、最上もが、マキタスポーツ、玉城ティナ、安藤政信、八嶋智人、高橋メアリージュン、崎本大海 やべきょうすけ他/2時間10分/S・D・P配給/10月22日より全国公開

2作連続公開!  http://ymkn-ushijima-movie.com/