‎パルムドール受賞!アカデミー賞ノミネート!話題の「パラサイト 半地下の家族」に観る“面白さ”の本質!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 2月末に、ものすごくお世話になっているカプセル兵団の吉久直志さんの実験的な作品を上演する場であるカプセル兵団超外伝のアクティブイマジネーション朗読劇『中国神話の世界』に出演させていただくことになりました。

 またいろいろと吸収させていただこうと思っています。

 去年はものすごくたくさん仕事をしたんですが、今年もこの作品を皮切りに3月、4月と演劇関係の仕事が続きます。

 1月に言うのもなんですが、2020年もすぐに過ぎてしまいそうですね。

 今週は鑑賞記やります。では始めましょう。
黒田勇樹
今、話題沸騰の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を観てきました。
確かに…面白いっ!

この作品を「あのストーリー展開が面白い」「あの演技が素晴らしい」「あのアイデアが秀逸」と細かく分析して評価することはいくらでも出来ると思うのですが、それ以上に僕は“面白さ”の本質について唸らされ、考えさせられたので、そこについて書かせて頂こうと思います。

皆様、“面白い”というのはどういう感情かご存知でしょうか?僕が何年も前に読んだ心理学書には「“理解できる”と“驚く”の、間にある感情」と書いてありました。

つまり、自分に想像できることの“ちょっと先”の出来事が、人にとっては興味を惹かれ、楽しさを覚え、笑いがこみあげる状況ということなのです。

お笑いブームの変遷を見てみると、この定義はよく裏付けられていて、まずはお笑いがメジャーじゃないところに、日常では言わないことを言う“ボケ”に対して“ツッコミ”が入るオーソドックスなスタイルがウケて、観客がそれに慣れてくると、今度は、オーソドックスなスタイルは観客に「展開が想像できてしまう」ので、更にそれを少し裏切る“シュール系”がウケ始め、どのブームも終焉が近づくと「お笑いでそれヤルんかい!」というリズムネタなんかが流行して、ブーム自体が去っていく。
そして、皆がお笑いのスタイルを忘れ始めると、またオーソドックスなスタイルがウケ始め、お笑いブームがやって来るという流れ、ご記憶にないでしょうか?

この「パラサイト」、実に秀逸に目の肥えた映画ファンたちの想像の“ちょっと先”を裏切り続けていきます。
時にはコメディ、時にはサスペンスやホラーの典型的な手法を使ってストーリーを“先読み”させては裏切り、先読みさせては裏切り!

ラストにズドンと放り込まれる、作品全体を貫いていた、韓国の抱える社会問題と、それに対抗する唯一の方法の提示(これもちょっと、悲しいもので僕は納得いってなかったりしますが…)

コメディと社会風刺はチャップリンさんの時代からその相性の良さを証明されてきていますが、ここまで痛快にそれをやってのけた映画は久々に観た気がします。
アカデミー賞取って劇場が混む前に、どうぞ皆様ご覧ください!
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23

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