【インタビュー】奈緒 角川春樹が最後のメガホン! 映画『みをつくし料理帖』で悲しき太夫を熱演

物語を彩る、江戸時代の手料理たち



 料理人として江戸で奮闘する澪が作る、手料理の数々と、料理を通して描かれる人情劇も大きな見どころ。

「印象に残っているのは、ところてん。私は九州出身なので、ところてんというと酢醤油のイメージなんですが、あまいところてんを食べた瞬間まるで思い出のように、幼い澪と野江の姿が広がりました。2人にとってさぞ心躍るおやつだったろうなと思って、とても印象に残っています」

“とろとろ茶碗蒸し”や“牡蠣の味噌仕立て”など、現代の料理と比べれば素朴だが、だからこそ味わってみたくなる料理ばかり。

「当時のいろいろな料理を食べ比べてみたいですね。とくに一般の人々が普段食べていた家庭料理はどんなものだったのか気になります。また、物語でも西と東の料理の違いが描かれていてとても面白いなと思ったので、もし当時を体験できるなら、自分の出身地の料理など、いろいろな地域の味を食べ比べてみたいです(笑)。今回、撮影で頂いた料理は、どれもとてもおいしかったです。澪があさひ太夫のために作ったお弁当なんて、とても素朴な、おにぎりと付け合わせくらいのお弁当なのですが、本当においしくて、持って帰って母にも食べさせました(笑)。どうしてこんなにおいしいんだろうと思うと、やはりお出汁を丁寧にとっているからなんだろうな、と。それで、普段は普通に食べている料理や買っている惣菜などを、自分で出汁をとって一から作ってみたい、と思いました」

 さまざまな料理が登場するなか、食べられなくて心残りだったものは…。

「松本さんが作ったクッキーです。松本さんが作って差し入れてくださったんですけどその日、私は現場にいなくて…それが今も心残りです(笑)」

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)