どんどん舞台に活気が戻ってくる予感 座・高円寺レパートリー『男たちの中で~In the Company of Men~』


 座・高円寺のレパートリー作品として昨秋、日本で初上演された『男たちの中で~In the Company of Men~』が今年も上演される。

 同作は“反骨の劇詩人”ともいわれるイギリスの劇作家エドワード・ボンドが1980年代に書いた巨大軍需企業を舞台とした作品。

 座・高円寺の芸術監督で本作の演出を務める佐藤信は劇場の演劇学校「劇場創造アカデミー」の研修生の修了上演で、ボンドの8時間に及ぶ長大作『戦争戯曲集 三部作』を上演し続けるなど、かねてからボンドの戯曲に注目してきた一人だ。

 物語は軍需企業の買収を巡り、父と息子、部下、敵対企業といった立場の男たちが二重三重の駆け引きを展開していく。シェイクスピアの『オイディプス王』や『ハムレット』的な人間関係の要素はもちろん、権謀術数にたけた6人の男たちによって繰り広げられるドラマはドラマとして単純に見応えのあるものだ。

 その一方でボンドはこの戯曲のなかで政治権力の構造や権力が人間性を奪っていくさまをスリリングな言葉と言葉の応酬で見せていくのだが、それはネオ・リベラリズムとグローバリズムに支配されつつある現代の我々にとってはただ楽しいと言ってもいられない切実な問題として提示される。さて、見た後に我々は何を感じ、どのような“気づき”を得ることができるのか…。
座・高円寺レパートリー『男たちの中で~In the Company of Men~』

【日時】10月17日(土)~25日(日)(開演は土日水木14時、月火金19時。開場は開演30分前、当日券は開演1時間前)
【会場】座・高円寺1(高円寺)
【料金】全席指定4300円【問い合わせ】座・高円寺チケットボックス(TEL:03-3223-7300=10~18時。月曜休〔HP〕https://za-koenji.jp/home/index.php
【作】エドワード・ボンド
【上演台本・演出】佐藤信
【出演】松田慎也、服部吉次、山口賢人、大森博史、河合龍之介、小須田康人