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どんどん舞台に活気が戻ってくる予感 ミュージカル『ローマの休日』

2020.10.18 Vol.734

 土屋太鳳が朝夏まなととのダブルキャストで主演する日本発のオリジナル・ミュージカル『ローマの休日』が上演中だ。オードリー・ヘプバーンが主演した同名の名作映画を世界で初めてミュージカル化した作品で、上演されるのは約20年ぶりとなる。

 ヨーロッパ歴訪中だったアン王女が、旅の途中のローマで1日だけ自由な時間を過ごす。髪を切ったり、ジェラードを食べたり、スクーターでローマの街を走ったり、船上パーティーでド派手にやらかしたり……これまで経験したことがない時間を過ごす。そしてそこには忘れられない恋も……。土屋と朝夏演じるアン王女、新聞記者のジョー・ブラッドレー、カメラマンのアーヴィングはWキャスト。公演ごとに異なる組み合わせで上演する。好奇心旺盛な少女から凛とした王女へと変化する土屋、堂々たるパフォーマンスでオーディエンスを圧倒する朝夏、そして加藤和樹と平方元基が演じるちょっとワルだけど純情なブラッドレーのやり取り、恋物語に胸を締め付けられる。

どんどん舞台に活気が戻ってくる予感 座・高円寺レパートリー『男たちの中で~In the Company of Men~』

2020.10.12 Vol.734

 座・高円寺のレパートリー作品として昨秋、日本で初上演された『男たちの中で~In the Company of Men~』が今年も上演される。

 同作は“反骨の劇詩人”ともいわれるイギリスの劇作家エドワード・ボンドが1980年代に書いた巨大軍需企業を舞台とした作品。

 座・高円寺の芸術監督で本作の演出を務める佐藤信は劇場の演劇学校「劇場創造アカデミー」の研修生の修了上演で、ボンドの8時間に及ぶ長大作『戦争戯曲集 三部作』を上演し続けるなど、かねてからボンドの戯曲に注目してきた一人だ。

 物語は軍需企業の買収を巡り、父と息子、部下、敵対企業といった立場の男たちが二重三重の駆け引きを展開していく。シェイクスピアの『オイディプス王』や『ハムレット』的な人間関係の要素はもちろん、権謀術数にたけた6人の男たちによって繰り広げられるドラマはドラマとして単純に見応えのあるものだ。

 その一方でボンドはこの戯曲のなかで政治権力の構造や権力が人間性を奪っていくさまをスリリングな言葉と言葉の応酬で見せていくのだが、それはネオ・リベラリズムとグローバリズムに支配されつつある現代の我々にとってはただ楽しいと言ってもいられない切実な問題として提示される。さて、見た後に我々は何を感じ、どのような“気づき”を得ることができるのか…。

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