演劇は世の中を写し出す鏡 方丈の海2021プロジェクト『方丈の海』

(撮影・小田島万里)

 2011年3月11日に起こった東日本大震災から今年で10年が経った。


 本作は仙台演劇界を牽引した劇作家・演出家の石川裕人が2012年に、まさに「東日本大震災の10年後」という設定で描いたお話。津波で流されてしまった三陸の架空の町の中にぽつんと生き残った映画館を舞台に、被災地に生きる人々の思いが語られ、惨状の先にある未来を見つめる人々の心がつづられた。


 石川が主宰を務めたTheatreGroup“OCT/PASS”によって仙台で上演され、多くの反響を呼んだのだが、石川がその翌月に急逝してしまったため、仙台以外で上演されることはなかった。


 今回の上演は2021年3月に同作を再演しようとTheatreGroup“OCT/PASS”のメンバーが呼び掛けた有志により立ち上がった「方丈の海2021プロジェクト」により実現した。


 発生から3〜4年は多くのメディアで被災地の様子や復興の進ちょく、被災者たちのその後を取り上げたが、時間が経つとともにニュースの分量は減ってきた。あらためてあの時の記憶を呼び起こし、さまざまな思いを巡らせるきっかけにもなる作品だ。



方丈の海2021プロジェクト『方丈の海』
【日時】3月12日(金)~14日(日)(開演は金17時30分、土日14時。開場は開演30分前、当日券は開演45分前)
【会場】座・高円寺1(座・高円寺1)
【料金】全席自由 3500円
【問い合わせ】方丈の海2021プロジェクト(〔公演サイト〕https://houjou2021.wixsite.com/home
【作】石川裕人
【演出】渡部ギュウ
【出演】絵永けい(演劇ユニット石川組)、飯沼由和(言言)、片倉久美子(演劇ユニット石川組)、宮本一輝(仙台シアターラボ)、原西忠佑、小出天リ、横山真(丸福ボンバーズ)、武者匠(劇団短距離男道ミサイル)、野々下孝(仙台シアターラボ)、菊池佳南(青年団・うさぎストライプ)、本田椋(劇団短距離男道ミサイル)、宿利左紀子(演劇ユニット石川組)、鈴木孝、佐々木久美子、上島奈津子、篠谷薫子、松崎太郎、渡部ギュウ