開村迎える五輪・パラリンピック「選手村」。コロナ禍での対応は?

6月20日にメディア公開された選手村の居住棟の一室(Tokyo 2020提供)

 東京五輪・パラリンピックの開幕を前に、ひと足早く、7月13日に開村を迎える「選手村」。コロナ禍での運営が求められる中、207の国と地域から選手団を迎えるためのさまざまな準備が進められていた。

 東京・晴海に位置する44haの選手村は、選手団が生活する「居住ゾーン」、大会運営に必要な機能を集約した「運営ゾーン」、大会期間中の選手の生活を支える雑貨店やカフェなど生活施設が揃った「ビレッジプラザ」の3つに分かれている。

 居住練には21棟、約3800戸が集まる。2〜8人部屋まで、すべてのベッドルームには窓があり、二方向での換気が可能だ。ベッドフレームは、段ボール製で100%リサイクル。外廊下は、車いす2台がすれ違うことができる幅で、クローゼットの高さは100cmに設定するなど、車いすユーザーにも配慮された。

 2階建ての食堂「メインダイニングホール」では、約700種類のメニューからハラールやベジタリアン、グルテンフリーなど、各国の文化・宗教や生活習慣に配慮した料理を提供する。感染防止のため、調理スタッフが料理をサーブ。アルコール提供はなく、サラダなどはあらかじめ小分けにしたものをピックアップする。密を避けるため、席数を大幅に削減し、アクリルボードを設置した。

 また、居住ゾーンの中心に位置する複合施設には、五輪初となる女性アスリート科を設けた「総合診療所」を設置。主に婦人科系など、女性アスリートの出場数が増えたことで必要とされる相談窓口の役割を果たすという。館内には、そのほか、大会に備えて選手がコンディションを整える「フィットネスセンター」、おにぎりやお好み焼きなど、日本の日常の味を楽しめる「カジュアルダイニング」も併設されている。

 感染症対策では、仮設の発熱外来を24時間体制で運営。原則毎日行われるスクリーニング検査によって、感染症の疑いのある患者や、症状のある患者に対する診療・PCR検査、濃厚接触者の検査などを実施する。検体の分析は、仮設の医療施設内に設置する検査室により行われ、結果は3時間以内に判明するという。また、検査結果判明までの間の待機場所として、施設内に隔離スペースを設置。陽性者が出た時は、軽症者は隔離専用のホテル、中等症・重症者は感染症対策センター、保健衛生拠点と連携し、対応する。

 選手村は、オリンピック開幕前の7月7日にプレオープンを迎え、13日に開村。パラリンピック期間を経て、9月8日の閉村まで、約2カ月にわたり207の国と地域の選手団をサポートする。

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