オケタニ教授が語る「夜景おじさん」の神髄

 写真家のオケタニ教授の「夜景おじさん」はキレイな夜景をバックにどこにでもいそうなおじさんがポーズを取る。そのなんともいえない味わい深さがいつの間にかSNSで人気となり、やがてテレビ、新聞、雑誌、ラジオといったマスメディアでも多く取り上げられるようになった。そんなオケタニ教授の4回目となる写真展「夜景おじさん4」が9月1日からスタートする。

オケタニ教授(夜景おじさん🄬/オケタニ教授)

写真展「夜景おじさん4」が9月1日からスタート

 オケタニ教授が「夜景おじさん」を撮り始めたのは2017年から。おじさんといえばドラマ「おっさんずラブ」が大ヒットし、おじさんがにわかに注目を集め始めたのはその翌年のこと。「おじさん」についてはいわばオケタニ教授はパイオニア的な存在?

「いや、そんな。別にそんなにおじさんが好きなわけではないですよ(笑)。もともとは知り合いの小劇場の女優さんの写真を撮っていたんです。ある女優さんと夜景をバックに撮る約束をしたんですが、ロケハンと試し撮りを兼ねて知り合いの140キロのおじさんを撮ってみたんですが、これが思った以上の出来だったんです。おじさんのかわいらしさがにじみ出ていて、夜景とのアンバランスさなんかも意外にマッチしていました。そこから知り合いのおじさんに声をかけて写真を撮らせてもらうようになりました」

 その写真をSNSにアップしていたら、そのありそうでなかったアイデアと被写体のおじさんたちの不思議な魅力もあり、じわじわと知られるところとなり、中野にあるカメラメーカー「ケンコー・トキナー」から「個展を開きませんか?」という話が飛び込んできた。それから毎年、同所で個展を開くようになり、今年で実に4回目。

「最初のうちは周りのおじさんたちで足りていたんですが、だんだん足りなくなってきて(笑)。2年前くらいからは路上でおじさんをナンパするようになりました」

 最近、テレビの情報番組やバラエティー番組でこの「夜景おじさん」が取り上げられる時にもその風景が映されていた。しかしこの路上ナンパも昨年来の新型コロナウイルスの影響で中断を余儀なくされる。

「去年は1月に仙台と石巻に行って、これまでとは違ったおじさんと夜景を撮ってきました。そして予定通り東京オリンピックが開催されたら観光客の外国人のおじさんを撮ろうと思っていたんですが、コロナで人は街からいなくなるし、オリンピックは延期になるし…」

 今年は9月1日~13日に中野の「ケンコー・トキナー ギャラリー」で開催される。

「今年はケンコー・トキナーさんに新しくギャラリースペースができまして、それに伴って今回は会期が2週間になりますんで、お間違いなく。でも去年までより個展感が強くなると思います(笑)。今までは展示にあたってはケンコー・トキナーさんのスタッフさんに手伝ってもらって写真を額に入れるところから自分たちでやっていたんですが、今回は『フレームマン』と呼ばれる展示のプロの方にお願いするんです。別の方がフレームマンにお願いしたと聞いて見に行ったら、これがめちゃくちゃキレイで(笑)。初めて聞く人は“誰やねん?”と思われるかもしれませんが」

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