レジェンド芸人「おぼん・こぼん」が語る2人の絆「だから一緒にやってきた」

 今年で芸歴57年目を迎えたベテラン漫才コンビ「おぼん・こぼん」。長らく不仲を囁かれた2人は昨年10月、TBS系「水曜日のダウンタウン」で“奇跡の仲直り”を遂げた。あれから半年、コンビ結成から現在までを振り返る初の回顧録『東京漫才』(飛鳥新社)を出版。レジェンド芸人の仲直りの“その後”を取材した。

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芸歴57年目にして初の回顧録『東京漫才』(飛鳥新社)を出版したおぼん・こぼん(撮影:堀田真央人)

 おぼん・こぼんの主戦場は都内で唯一のいろもの寄席「浅草東洋館」。登場曲「セ・シ・ボン」に合わせてそろいの衣装で登場すると、ハンドマイク片手に歌とタップダンス、楽器演奏を交えて漫才を披露し、観客を魅了する。“大きいボンボン”と“小さいボンボン”がコンビ名の由来だ。

 2人はこの日、とあるテーラーが“仲直り記念に”と仕立ててくれたスリーピースのスーツをまとって撮影に現れた。“肩を組んでもらえませんか”とお願いすると「こんなこと普段はしませんよ」と照れながらも笑顔で快諾してくれた。

「水曜日のダウンタウン」放送後、劇場に足を運ぶお客さんがずいぶん増えたと聞きます。お互いの気持ちのうえでの変化はありましたか。

おぼん「ここ10年間は舞台でも目を合わさなかったし、横にいるのも嫌だなみたいな雰囲気だったんですよ。それが普段から挨拶をするようになったし、出番の前に何のネタをしようかお互いに話し合って、そこはちょっと変わったんだなと感じます(笑)。たとえばテレビの場合“4分間しかないから、これとこれを口合わせしようか”というのをやるようになりました」

こぼん「そういう普通のやりとりができるようになった感じですかね。ネタの細かい部分は忘れているところもあるので、劇場に入る前にネタの組み方を確認しながらちょっと話したり。寄席の場合はやらないですけど、テレビだと出演時間があるので、尺を合わせるために“これはちょっと省かなきゃね”みたいなことはやりますね」

 芸歴57年目にして初の書籍『東京漫才』を出版されました。出版のオファーを受けた際はどう思われましたか。

おぼん「俺は“そろそろ自分で本を書きたいな”と思っていた矢先にこのお話をいただいたので、“いいタイミングだったな”と思ってうれしかったですね」

こぼん「人生を記録できる機会って普通はあまりないじゃないですか。そういう意味で本当にありがたかったですね。まだしゃべっていないことがあれもこれもあって、本当にいろんなことをやってきたんだなと思いました」

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