デビュー30周年の古坂大魔王、育児を頑張りすぎて「唇が腫れてきてしまったことも…」

 今年でデビュー30周年を迎えたお笑い芸人で音楽プロデューサーの古坂大魔王さん。プロデュースを手掛ける盟友のピコ太郎さんもデビュー10周年となる。プライベートでは3歳と1歳のお子さんのパパとして子育てに奮闘し、近年は育児情報番組のMCにも挑戦するなどさらに仕事の幅を広げる古坂さんに、最近の子育て事情やアニバーサリーイヤーに賭ける意気込みを聞いた。

◆ ◆ ◆

今年でデビュー30周年、プライベートでは子育てに奮闘する古坂大魔王さん(撮影:蔦野裕)

育児で“世間には流動的なものしか存在しない”ことを学んだ

 お笑い、音楽に加え、お子さんが誕生してから育児関連の仕事も増えている古坂さん。第2子誕生の際に2週間の育児休暇を取得したことでも話題になった。

「長女が生後半年くらいで“イクメンオブザイヤー”を受賞したんですけど、実はその頃、仕事の都合で週末をほとんど海外で過ごしていたんです。それでも僕なりに育児に参加しているつもりで、妻っち(タレントの安枝瞳さん)に何%くらいできているか聞いたら、“2%”と言われてそうだったのか……と衝撃を受けました。

 きっと世の中のパパはゴミ捨てと保育園の送り迎え、週1回の寝かしつけで育児してると思っているんですけど、それってママがやっていることの100分の1以下なんですよ。育児はママをサポートする“妻サポ”に徹していればいいと思っていたのですが、第2のママになってママとほぼ同等の動きができないといけなかったなと考え直しました。そこから全力で育児に取り組んでいるのですが、頑張りすぎて湿疹が出て唇が腫れてきてしまったことも(苦笑)」

 最近失敗した育児エピソードを聞くと「失敗や苦労は毎日のようにあります」とひと言。

「子どもって昨日通じたものが今日通じないのは当たり前で、方程式でいうと“y=x”ではなく“y=2x+α”じゃないですか。“y”を当てるのは難しいのでなるべく近い方程式を探すしかない。たとえば眠る時に、昨日まで“この曲を流して気温や湿度はこれくらい、パジャマはこれ”が正解だったのに今日は違う場合がザラにあります。でも、よく考えたらそれは世間も一緒。僕は育児を通じて“世間には流動的なものしか存在しない”ということを学びました。

 育児は仕事のうえでも“来年のこの時期に発表するならこれかな”と予測するのに生きています。よく“子どもたちにウケる音楽をお願いします”と言われるんですけど、その音楽って昨日と今日でも違いますよね。子どもというのは音楽が流れれば踊るし、お腹が減ったら泣くし、眠くなったら機嫌が悪い。それは大人もみんな同じで、すべての大人は元お子さんですから、だいたい会社でお昼前に会議するとみんなお腹が減ってイライラしているんです(笑)。そういった物事を予測して先回りする感覚にすごく役立っていますね」

 新型コロナウイルスやウクライナ情勢で激動する世界にも、まずは身近な人を大切にするパートナーシップが重要だと語る。

「子どもが生まれて分かったのですが、ちゃんと時間をかけて接しないと子どもからは愛されません。下の子は今1歳なのですが、夜泣きをあやすのは僕のほうが得意。泣きやまない時にママから“パパ、お願い”って言われた瞬間、“ああ、一生懸命やってよかったな”って思えるんです。これが広がっていけば友人、仕事仲間から市区町村、日本全国、世界各国までつながっていくんじゃないかな。いきなり“国”や“県”という大きな分母の話をするのではなく、そこには必ず人がいるので、“誰が”ということに目を向けるのが大事だと思います」

1 2 3>>>