雪の街【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:松尾憲二郎(2023年1月20日 スキージャンプW杯 札幌大会 公式練習)
雪。
 
札幌は毎年必ず真っ白になる。
 
 
豊富な雪という観光資源を持っている日本に世界中から観光客がきている。日本人が思っている以上にその価値は世界的に有名だ。
 
 
ウインタースポーツをするか否か、生活環境は重要なきっかけだ。雪のエリアではスキー、氷のエリアではスケートが今の時代もそれなりに盛んだ。人口の都市集中は、競技人口のパーセンテージを低下させ続けているが、北国ではそれなりに盛んではある。
 
 
 
冬季オリンピック開催可能都市が減少しているという話題がある。
 
過去2大会、雪がほとんど降らないようなエリアでの開催だった。降るとしてもひと月に数回程度。その一回の降雪がかなりの量にはなるが、冬の街から雪が消えることの方がほとんど。札幌の冬とは違う気候だ。
 
撮影に関して、この雪の降らない状況は楽と言えば楽である。寒さよりも降雪の方が撮影において困ることが多い。とは言っても寒さも大敵なのは間違いない。前回の北京での寒さはトラウマのようにしばらくの間、私の人生に影響を与えた。限度を超えた極寒だった。
 
 
環境問題が身近になった現代。競技やトレーニングできる環境を自然環境を踏まえていかに整えるのかは大問題だ。というのも、雪をコントロールするには莫大なエネルギー消費をすることになってしまう。
 
 
2022年の北京オリンピックは快晴率が高く、会場では雪作りからコース作りがされていた。
 
そのためオンタイムのスケジュールで競技ができる。撮影も予定通りに進む。会場という舞台を作り上げるスタッフは北京は過去最高だ、と楽しげに話してくれた。スロープスタイルに表れた雪像は見事なものだった。
 
北京も平昌もスキージャンプ場の雪はコースのみで撮影するコース脇の階段に雪はない。ただし、前途の通りに猛烈に寒かった。競技の合間ではあたりを走ったり、体を動かし、少しでも体を温めようを必死になっていたのは、辛かった記憶だ。
 
 
かたや日本は天気に翻弄される可能性が高い。天気の周期が欧米とは異なる。寒さは許容範囲だが、降雪の頻度が心配される。
 
数年前の札幌冬季アジア大会。吹雪のスキー場でアルペン競技は1回2回と延期になった。靴にアイゼンをつけ、慎重にコース脇の急斜面を何度も歩いた。これは競技できる天気ではないだろうと頭では考えつつも、現場に行かないと始まらないのが我々の仕事。
 
後日に延期と決まれば、時間を余らせまいとスキージャンプの大倉山へ移動して撮影したのを思い出す。雪だろうが晴れてようが、競技があれば我々は撮る。
 
 
この日もアスリートは白くなった都市を眺めての飛行だった。
 
これからの将来、スキージャンパーは空からどんな景色を見るのだろうか。
 
 
★インスタグラム★
 
撮影:松尾憲二郎
1985年 東京生まれ
都立工芸高校デザイン科卒業
バックカントリースキーの撮影にあけくれ雪山を登ってきた。
2014年より「アフロスポーツ」に所属。現在は様々なスポーツを撮影している。
日本スポーツプレス協会 (AJPS) 会員
国際スポーツプレス協会 (AIPS) 会員
 
 
【取材歴】
2015 冬季ユニバーシアード(スペイン/グラナダ)、EAFF 東アジアカップ(中国/武漢)、柔道・世界選手権(カザフスタン/アスタナ)
2016 スキー遠征(モンゴル/アルタイ山脈)、リオデジャネイロパラリンピック
2017 冬季ユニバーシアード(カザフスタン/アルマティ)、冬季アジア大会(札幌)、夏季ユニバーシアード(台湾/台北)、フィギュアGPシリーズ(ロシア/モスクワ)
2018 冬季オリンピック(韓国/平昌)、夏季アジア大会(インドネシア/ジャカルタ)、体操・世界選手権(カタール/ドーハ)
2019 陸上・世界選手権(カタール/ドーハ)  
2020 東京2020オリンピック 聖火・採火式(ギリシア/オリンピア)
【個展】
2011 冷やしボブ(ボブ東京)
2014 YMK_展(EATME GALLERY 南青山)、YMK_展(UP LAND 札幌)
2016 SKIING MONGOLIA(代官山ヒルサイドテラス)、season(NIKON 新宿フォト・プロムナード)
 
【グループ展】  
2018 AJPS報道展 『鼓動』
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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