映画より怖い?『スイート・マイホーム』監督・齊藤工「子どものころ“玄関にいる人”の絵を描いた」原作・神津凛子「誰もいないのに階段が鳴る音が」

撮影・須山杏

映画さながら! 2人が語る「自宅での恐怖エピソード」  

ー自身が住んでいる長野を舞台に作品をつづっている神津氏。もし東京を舞台にするとしたら?

神津「私は長野県在住なので東京にはまったく詳しくはないんですけど、東京というと本当にたくさんの建物があるので、やっぱり建物の中に興味が向きますね」

齊藤「確かに、建物に何か特別な感覚を抱くことってありますね。僕も、丸の内のような都会的なエリアにポツンと昔ながらの定食屋さんみたいな店を見かけると、すごくいとおしく思えて見かけると入ったりするんです。本当はここに大手不動産が大きなビルを建てたいんだろうな…みたいな場所で、その店が昔からの空間を守っているような気がして。そういう見かたをすると、東京にはまるで意志を持っているように感じられる建物もたくさんあるなと思います」

神津「住んだことがないので東京のことは分からないんですけど、私は宮部みゆきさんの作品も好きで東京が舞台になっている作品も多いので、そこで東京の雰囲気を楽しませていただいてます(笑)。でもやっぱり書きたいのは長野の話なんですよね。東京で暮らしたことがないので土地の肌感覚が分からない。自分が住んでいる長野を舞台にした作品を書きたいと思うのは、やっぱり書きやすいし見えやすい、ということが一番大きい気がします。いつかスティーブン・キングのように、長野に架空の街を作って、そこを舞台にいろいろな作品を書くというのも面白いかもしれませんね(笑)」

―実際に、ご自分の家の中で怖い体験をしたことは?

神津「家が気密性がいいせいなのか、ちょっとした音でもすごく響くんですけど、たまに誰もいないのに階段が鳴ったりするんです。怪奇現象かと思うような音がするので、自分でこういう作品を書いているのに怖くなって(笑)、夜に書くのはやめて明るくなったら書こう、と思ったりしたことはあります」

齊藤「僕は、子どものころの話なのですが。母親が言うには、僕はよく誰もいない玄関に向かって話をしていた少年だったそうで。あるとき、僕が、顔が穴ぼこだらけの人の絵を描いていて“玄関にいた人”だと言うので、母がゾッとしたという…。僕自身はまったく記憶にないんですけど。当時の僕には何かが見えていたんでしょうか(笑)。でも、もしかしたらその“人”からすると、その人の家に僕らがお邪魔していた可能性もあるのかな…なんて考えていたら、この原作でまさに具体的に“自分の家で知らない何かと共存している”ということが書かれていて…。読んでからというもの、自宅の隅々を意識してしまうようになりました(笑)」

 あなたがいる場所は、本当に“安心できるあなたの居場所”なのか…? 一度でも脳裏に浮かんだらもはや、扉の向こうを、天井裏を、気にせずにはいられない。
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)

『スイート・マイホーム』
監督:齊藤 工 出演:窪田正孝、蓮佛美沙子、奈緒 窪塚洋介 他 原作: 神津凛子「スイート・マイホーム」(講談社文庫)
配給:日活、東京テアトル
sweetmyhome.jp

©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社
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