能登半島地震で液状化の石川・内灘町被災者「現実に対する覚悟をしておくことが一番の防災」

床が割れてめくれ上がり、土砂があふれた津幡さんの事務所兼倉庫

「飲み水はもともと能登まで汲みに行っていたので、少しだけストックがありました。車で10分くらいの場所は被害もなく、商業施設が開いていたので何とか食料は買いに行けて、母親にはなるべく普段と変わらないように食事を作っています」

 被災から4日後に金沢市の親族のもとでシャワーを浴び、1週間後にようやく仮設トイレが設置されたが、断水が復旧する目処は立っていない。

「顔を洗ったり歯を磨いたり洗濯したりできないし、ウェットティッシュで拭いても収集がないのでゴミが出せません。高齢者はトイレを我慢して水分を取らないのも心配です」という津幡さん。地震の翌日から窃盗団が出没し、被災者を狙った詐欺の電話やメールが増えていることにも頭を痛めている。

 改めて災害への備えについて聞くと「水と電源、通信環境の確保と簡易トイレ、長靴。寒い時期は暖を取るものがあるといい」と回答。

「もっと問題なのは、住むところはあるけど仕事ができないこと。地震保険は被害の全額を補償するわけではないし、住家ではない事務所や倉庫はカバーされるのか。貸し付けや融資を受けてもどうなるか分からないが、支援金や義援金などは届くのに時間がかかる。こうした現実に対する覚悟をしておくことが、一番の防災になるのではないでしょうか」